2024.11.08
「ユネスコ協会就学支援奨学金」2024年度奨学生からのお便り
東日本大震災で学習の機会が途絶えることのないように、子どもたちの学びを支える活動を行っています。
また、いつ起こるか分からない災害に備え、学校防災の強化を目指した減災教育プログラムを実施しています。
1993年の奥尻島地震、1995年の阪神・淡路大震災、近年では2011年の東日本大震災、2016年の熊本地震など、日本では規模の大きい災害が発生しています。
また世界に目を向けると、2015年にはネパール中央部で大きな震災が発生し、世界遺産の建物が多数倒壊したことも、私たちの記憶に新しいものです。
日本ユネスコ協会連盟では、そのような非常時でも学習が途絶えないように、主に教育面での支援を行ってきました。特に甚大な被害をもたらした2011年の東日本大震災後、被災した子どもたちのために開始した教育支援事業では、子どもたちが被災による経済的な理由で夢や進学をあきらめることがないように、返済不要の奨学金を給付しています。
日本ユネスコ協会連盟のスタッフが被災地を訪問し、現地の方々の声をもとにどのような支援が必要とされているのかについて把握し、支援のミスマッチが起こらないよう活動を組み立てているからこそ、支援を必要とする子どもたちに、いち早く、確実に奨学金を届けることが可能となっています。自治体などを経由せずに子どもたちのご家庭に対し直接支援(送金)を行っていることも、日本ユネスコ協会連盟による支援の特徴です。
東日本大震災子ども支援では、現在、以下の活動を行っています。
2011年3月11日、東日本大震災による甚大な被害を受け、さまざまなNGO・団体が支援を始めました。そんな中、多くの学校が被災し、子どもたちの教育環境が危機に陥ったことを受け、日本ユネスコ協会連盟ならではの被災地支援とは何かを考え、海外支援の経験や現地の声を踏まえ、短期・中期・長期的な視点での支援活動に取り組みました。
短期支援としては、津波被災校及び原発退避校に対する「物資支援(学校への支援)」(2012年に終了)を行い、中期支援として、コミュニティの絆を再生するための「物資支援(街のコミュニティ再生への支援、文化・お祭りへの支援、心のケア支援等)」(2018年に終了)を実施しました。
そして現在は、被災した世帯の子どもへの支援として、主に高校進学を控えた中学3年生を対象とした「ユネスコ協会就学支援奨学金」と、震災で保護者を亡くされた小学校から高等学校までの児童・生徒を対象とした「MUFG・ユネスコ協会 東日本大震災復興育英基金」で、教育復興支援を行っています。
02_MUFG・ユネスコ協会東日本大震災復興育英基金(企業様との協働事業のため、一般の方からの募金の受け付けはしておりません。)
見落とされがちな課題に目を向けて
被災による経済的な理由によって就学への支援が必要になった小・中学生は、数万人にのぼりました。
私たちは、まず初めに、親御さんなど保護者を亡くされた子どもたちへの奨学金支援として「MUFG・ユネスコ協会東日本大震災復興育英基金」を開始しました。
その一方で、親御さんを亡くされた子どもたち以外にも、被災によって経済状況が悪化した多くの家庭の子どもたちが就学危機に陥りかけているというもう一つの重大な課題があることが分かってきました。これは、被災地にさまざまな支援が集まる中で、見落とされていた大きな課題でした。
そこで私たちは、教育費の捻出が難しい家庭の子どもたちを支援するため、もう一つの奨学金制度「ユネスコ協会就学支援奨学金」を創設しました。
教育は、子どもたちへの大切な贈り物
奨学金というと、一般的には大学進学にむけた貸与型の奨学金が多い中、東日本大震災後は、大学の前に、高校に進学することさえ躊躇する子どもたちが増えました。
高校への進学は、子どもたちの夢への大事一歩といえます。高校生活は、子どもたちにとっての日常であり、勉強や部活にいそしみ、友情を育む人生でかけがえのない時間です。
そこで、「ユネスコ協会就学支援奨学金」では、子どもたちが安心して高校生活を送ることができるよう、中学3年生を対象に返済不要の奨学金を3年間支援しています。
迅速に、確実に子どもたちに届けるために
制服や教科書代、通学費、部活用具など、高校入学準備にまとまったお金が必要になる時期にも役立ててもらうため、奨学金は、中学3年次から給付を開始し、一人当たり3年間継続支援します。
また、支援を必要とする子どもたちに、いち早く、迅速に、確実に届けるため、奨学金は、自治体などを経由せずに、日本ユネスコ協会連盟から子どもたちのご家庭へ直接支援(送金)しています。
「ユネスコ協会就学支援奨学金」とは・・・
※企業様との協働事業のため、一般の方からの寄付はお受けしておりません。
東日本大震災により保護者を亡くされた小学生・中学生・高校生を対象にした奨学金制度です。
震災直後に基金を創設
震災前から環境教育事業で協働していた三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)と話し合いを行い、震災直後の2011年4月に「MUFG・ユネスコ協会東日本大震災復興育英基金」を創設しました。
柱となっているのは、震災により両親またはいずれかの保護者が亡くなられている小学生から高校生までの児童・生徒を対象とした奨学金給付事業。ほかにもさまざまなプログラムを通じて、子どもたちの心豊かな成長を目指し、物心両面での継続的な支援を行っています。
震災の遺児・孤児のための奨学金事業
基金の中心事業となっている給付型奨学金プログラムです。基金創設後、三菱UFJ銀行とともに準備を重ね、2011年6月に奨学金の募集を開始。以来、継続して給付を行っています。
子どもたちの学びと成長を支える「育英基金」~これまでの成果~
本奨学金では、開始時に一時金として10万円を給付し、小学校、中学校、高校の在学期間中に月額2万円(年間24万円)を給付しています。
これまでの累計受給者数は1486名にのぼります。2019年3月時点での奨学生は564名となり、そのうち95名が高校を卒業し奨学金の給付を終えました。
この奨学金事業は長期的な生活と勉学の支援を目的とし、奨学金を返還する必要はありません。最終奨学生が高校を卒業する2025年度まで継続します。
このほか、国際交流活動をはじめ、子どもたちを取り巻く環境が少しでも豊かになり、未来への夢を大きく描けるように、心身を育む企画を実施しています。
TOMODACHI・MUFG国際交流プログラムでは、奨学生を含む被災地の中高生がロサンゼルスに招待され、現地の生徒たちと交流し、異文化理解を深める機会となっています。
既に支援は終了していますが、2011年から2018年の間に、学校への緊急物資支援や、文化・お祭りへの支援、心のケアプログラム、コミュニティー支援・社会教育支援などを行いました。
被災地の経験を全国で生かしてほしい
「減災」とは、自然災害において被害を完全に防ぐことが困難であることを前提に、被害をできるだけ最小限に抑えることを目指すものです。
日本各地で自然災害が発生している中、減災への取り組みの重要性が高まっています。
私たちは、2011年から被災地支援を行ってきた中で、現地の方々から、“もう誰も自分たちと同じような辛い思いをしてほしくない。災害はいつどこで発生するかわからないから、今度は、全国の皆さんがしっかりと備えてほしい“とのお声をいただくことがしばしばありました。
そこで、被災地の記憶や教訓をこれからの全国の減災に生かし、災害時に重要な防災拠点となる「学校」の減災教育の強化を通して、地域の減災につなげることを目指し、以下のプログラムを行っています。
※企業様との協働事業のため、一般の方からの寄付はお受けしておりません。
東日本大震災の記憶と教訓を被災地だけのものにせず、日本全国の学校の減災(防災)教育に役立てることを目的に、2014年から実施しています。
小・中・高校を対象に、減災教育を推進するための、助成金支援、教員研修会、活動報告会、減災教育フォーラム等を実施しています。
これまでに、100校を超える学校がこのプログラムの助成を受け、160名以上の先生方が教員研修を受講しました。本プログラムの助成活動に参加した児童・生徒は20,000人を超え、助成活動に携わった教員や保護者、地域住民の方々は17,000人にもおよんでいます。
本プログラムでは、減災教育を、避難訓練や救護演習を中心とした従来型の防災活動・行事にとどまることなく、災害に対して総合的な視点を学び、より実効性の高い減災教育の実践を推進しています。
とりわけ、減災教育を、活動ではなく、子どもたちの今と未来に必要な資質や能力を育む「教育」であることを再認識し、子どもたちがいつかどこで遭遇するかもしれない災害を「生き抜く力」を育む”教育”としての、新しい姿を提案します。
[学校へのサポート]
01_防災教育を見直したいと思う一方で、多くの学校では学校予算が少ないのが現状です。そのような学校の現状を「助成金」でサポートしています。
02_百聞は一見にしかず。被災地を訪れ、現地で見、聞き、感じ、学ぶ「教員研修会」を通じて、これからの減災教育のあり方と被災地の経験を生かした実践のノウハウを提供しています。
03_自校の経験にとどまらず、全国の多様な実践を共有しあい、議論して、よりよい教育のために地域を超えて互いに高めあう「活動報告会」と「減災教育フォーラム」を実施しています。
募集要項やプログラムの詳細は、以下のリンクからご覧いただけます。
私たちの活動には、多くの方々にさまざまなかたちでご協力・ご支援をいただいています。
わたしたちの想いに共感してくださる方を、心よりお待ちしております。ひとりひとりの力を未来の力に。