被災地調査隊レポート⑤「学校再開に向けて・大船渡市(岩手県)」
日本ユネスコ協会連盟では、「東日本大震災子ども支援募金」の支援調査のため、宮城県気仙沼市に続き、岩手県沿岸南部の3市(陸前高田市、大船渡市、釜石市)に調査隊を派遣しました。
■大船渡市
陸前高田市から大船渡へ
海が見える通りでも津波被害の跡はあまり見えず、住宅街は穏やかですらあったが、坂を下るにつれて様相は一変。全てが本来ありえない位置に散乱している光景は、気仙沼・陸前高田でも同様で、改めて被災範囲の広さを見せつけられた。また、この日は高潮でいたる所で冠水。カーナビにも通行止めは表示されるが、表示されなくても実際には通れない道が少なくない。地図を広げて確認しながら進むが、今度は目印になる建物が少ない。現地の状態を目の当たりにした。
海辺の校舎は今
大船渡市教育委員会によると、市内の小中学校22校のうち5校が津波により使用できず、他校校舎を間借りして授業を再開する。うち、特に被害の甚大な1校については、早い段階で新築が決まったものの、どこに建てるかは決まっていない。学区内の高台に移すのか(その場合、高台には広い平地がない)、学区自体の組みなおしを視野に入れるのか、今後の検討が必要とされる。市教委からは新築予定の学校や、津波被害にあった校舎の図書について支援があればありがたいとのお話もいただいた。まずは学校再開後に出てくるニーズに沿って、または市において校舎の再建計画が固まるのに従って、具体的な支援内容・方法を決めていく。
被災した中学校の先生のお話
~みんな助かったのが何より。大変だけど、今はみんなで団結している気がする~
学校内の被災状況を調査中、教員が職員室へ荷物を取りに現れた。
“津波が来たとき、年度末の大切な書類が机に沢山置いてあり、全て流されてしまいました。ここまでの被害にあっては仕方ないけど、あきらめきれない領収証があって・・・。(苦笑)
震災発生時は、翌日に控えた卒業式の予行演習中。全生徒・教員がすぐに裏山へ避難しました。当校は家を失った家庭が多数出たものの、生徒の家族も含めて助かったことが分かりました。これは本当にありがたいことです。今は学校の再開に向けて連日連夜、先生方が車座になって話し合いを重ね、生徒たちの避難先から間借り先の学校までのスクールバスのルート作りをしています。実際にかかる時間や避難所の朝食時間との兼ね合いなど、今後問題が分かったらその都度修正していくことになるでしょう。ただ、大変な状況ではありますが、みんなで沢山のことを話し合う中で、これまでにない団結を感じてもいます。前向きに行きたいと思います。”
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