ソーラーパネル故障!?のドンソック寺子屋で夜の識字教室始まる
2011年11月21日、カンボジア・ドンソック村の寺子屋で識字教室が始まりました。寺子屋がオープンしてちょうど5ヶ月目。日曜日以外の毎日、午後7時から9時まで行われる夜間の教室。カンボジアの寺子屋の中で初めてソーラーパネルが設置されたドンソック寺子屋では、日中溜め込んだ太陽光で充電されたライトが、夜の寺子屋教室で使われることになっていました。しかし、識字教室が始まったこの日、太陽光発電がなぜかうまく作動せず、困り果てた寺子屋運営委員や先生たちは、自宅からバッテリーと蛍光灯ライトを持ち寄り、寺子屋に即席の明かりを灯しました。ライトには蛾やカメムシ、バッタなど無数の虫たちが集まってきましたが、このクラスの開始を楽しみにしていた学習者たちは嬉しそうに席に着きました。
夜間識字教室 授業が始まる前に歌ってアイスブレーキング
識字教室の学習者として正式に登録できるのは、カンボジアで”成人”とされる15歳以上の人たち。7割は女性です。ところが、寺子屋を覗いてみると、15歳に満たない子どもたちが席に着いて一緒に学習しています。5人は小学校に通う7歳から9歳の子どもたち。どうやら塾のような感覚で寺子屋に来ている様子です。さらに、地元の小学校を中途退学してしまった10歳から14歳までの子どもたちも他の学習者たちと肩を並べて学んでいます。正規登録生ではない彼らがどうして寺子屋に来ているのでしょうか?
カンボジアでは、近年小学校の数が増え、93%以上の子どもたちが小学校に入学し、勉強できるようになりました。しかしながら、教員の質の低さ、貧困に苦しむ家庭事情などが原因で、実は半分くらいの子どもたちが、小学校を6年間終えられないのが現状です。寺子屋は、このように基礎教育を受ける機会を持たなかった大人たちだけでなく、学校での勉強を途中であきらめてしまった子どもたちにとっても、救いの場となっています。
ドンソック寺子屋で教壇に立つサムナン先生(20歳 女性)は、家庭の事情で中学校2年生までしか学校に通えませんでしたが、村の中では高学歴。識字教員になる訓練を受け、見事この寺子屋で第一号の先生になりました。彼女は明るい笑顔で言います。「この村中の人たちが勉強できるようにお手伝いをするのが私の役目。毎日楽しく授業をしていきたい。」
書き方のお手本を見ながら、ひとつずつ文字を習得