‘雄勝法印神楽’の春祭り -コミュニティ再生に向けて
宮城県石巻市雄勝町は、昨年の震災により甚大な被害を受けた地域の一つです。
住民の人たちのほとんどが、他地域の仮設住宅への移住し、子どもたちも他地域の学校への通学を余儀なくされています。震災から1年経った今でも、瓦礫の山が残り、津波の恐ろしさを伝えています。
このような中、バラバラになってしまった人たちが一同に会し、コミュニティの絆を取り戻せるよう、宮司や法印神楽保存会が中心となって働きかけ、日本テトラパック株式会社の協力のもと、流出してしまった面や神楽に必要な備品を支援し、雄勝町に伝承されてきた「法印神楽」を復活することができました。
通常、法印神楽は、約14地区の神社の例大祭に奉納されていますが、今年は大須地区・桑浜羽坂地区・立浜地区の3地区にて復活。
5/13(日)は、もっとも甚大な被害を受けた立浜地区にて行われました。ほとんどの建物が流されてしまったため、浜辺に舞台やテントを設置しての開催となりました。
9時頃から御輿渡御が行われ、湯立神事の後、17時頃まで神楽が奉納されました。
『産屋(うぶや)』という演目では、震災時に身重だったお母さんから、無事に誕生した1歳半の赤ちゃんが、雄勝町の復興の象徴として神楽師に抱かれて出演し、会場の涙を誘いました。
今回の春祭りには、バラバラになってしまった人たちのほとんどが集まり、大変な盛り上がりを見せていました。
地域に根づいている伝統芸能の復活によって、人と人との結びつきを取り戻し、コミュニティの再生に向けた一歩を踏み出す姿は、復興に向けた力強いメッセージを伝えてくれています。
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