修復材料づくりをご紹介
2014.02.18
バイヨン寺院で行われているナーガ像・シンハ像彫像修復プロジェクトの修復作業では、さまざまな修復材料が使われています。
石材を修理するためには接着剤や充填(じゅうてん)材、大きく割れてしまった石をくっつける際にはステンレスボルトなどが使われます。
また、修理を終えた石を基壇の上に戻す際には、鉛や特殊配合の土を使ったりします。
この特殊配合の土は、バイヨンの修復用にJASA(日本国政府アンコール遺跡チーム)が開発したオリジナルです。
しかし、レンガやラテライトという石を粉末にするにはかなりの労力が必要です。
写真のように石を人力で砕き、ふるいにかけて必要な大きさの石の粉を作ります。
さらにこれを野外で干して乾燥させ、他の材料と混ぜ…とかなり手間がかかりますが、古代の人々の知恵と工法をできる限り後世へと伝えていく修復にはこれも欠かせない裏方の仕事です。
こうして作られた材料は再設置の際に、高さを調整したり、基壇の危険な隙間を埋めたりするために使われます。
800年前のバイヨン寺院建設現場でも、きっと同じような光景がひろがっていたのではないでしょうか。