3年間の想い ~奨学生の保護者から~
ユネスコ協会就学支援奨学金事業で、3年間(2011年度~2013年度)の支援が完了した気仙沼市の奨学生の親御さんから、支援者の皆さまへ感謝のお手紙が届きました。
お手紙には、被災地のご家庭で奨学金が必要となった背景、奨学金の使い途、現在の生活状況など、この3年間の切実な想いが綴られています。
以下、全文をご紹介します。
悪夢のような現実、東日本大震災から三年が過ぎました。
住まいも、仕事も、全てを一瞬で失ってしまい、先がみえない大混乱の中、長男は中学校に入学しました。子どもも親も、避難所で分けてもらった服しかないのに、学校に通えるのだろうか?お弁当なんか持たせられない状況。どうするの?どうしたら良いの?この町で子どもを育てていけるの?と心の中も、頭の中も不安しかありませんでした。
多くの方々から、たくさんの支援をいただき、なんとか少しずつ日常を取り戻しましたが、問題は山積みでした。目の前の問題をひとつずつ解決していくしかありませんでした。
被災した人と、しなかった人との間に、見えない深い溝のようなものを感じ、戸惑ったことも多くありました。・・・言葉では表せない感情です。
そんな中で、いざという時に子どものために使えるお金があるという安心感は大きく、本当にありがたかったです。
中学生の男の子です。伸び盛り。Yシャツがきつくなった、ジャージが短くなった、靴がきつくなった、部活で使う物が小さくなった等々、このようなうれしい悲鳴が聞こえた時に、奨学金を使わせていただきました。感謝しながら大事に使いました。
びっくりするくらい、食べる量も増えました。本当にうれしいことです。(避難所での1日2食の生活を思い出すと、少し贅沢かなと感じますが・・。)
私たち家族は、避難所から実家での間借り生活を経て、現在、仮設住宅で生活をしています。仮設の途中入居だったため、家電などは自分たちで買い揃えなければならず、大きい出費もありました。夫婦ともに震災解雇されましたが、今は以前の職場に戻ることができました。両職場とも被災しているため、まだまだ問題が多くあります。簡単ではありませんが、頑張っています。
長男は今日15歳の誕生日を迎え、自分の希望した高校に入学が決まりました。自分の夢に向かって一歩前進です。3年間という長い間の支援、感謝いたします。本当にありがとうございました。子どもたちには、大変な時にたくさんの方に助けていただいた事を言い聞かせ、将来自分が仕事をして、収入を得られるようになったら、少しずつでもお返しができるようにしようねと話しています。大きな自然災害がこれ以上起きない事を祈りながら・・・
大震災にあって、仮設住宅での暮らしでも、戦争で苦しんでいる子どもたちに比べたら、少しぐらいの我慢はできます。子どもたちが世界に目を向けられる人になってくれたら良いなと思います。
まだ、あの日のままの場所も多く残る気仙沼です。先は長いです。
子どもたちが安全に遊べ、走り回れる公園が早く整備されることを願っています。 本当に支援を必要としている人たちに、必要な支援が届きますように。