世界遺産の大切さ 寺子屋の子どもたちも学ぶ
2017.03.13
昨年11月30日、世界遺産アンコール遺跡群のひとつバイヨン寺院で、寺子屋に通う120人の子どもたちが修復作業を行った。参加したのは、小学校からの中途退学を余儀なくされた子どもたちを対象にした復学支援クラスのあるシェムリアップ州の5つの寺子屋で学ぶ子どもたちだ。この中で、アンコール遺跡を訪れたことのある子どもは10人ほど。経済的な事情で、ほとんどが地元にいても行くことができないのが現状だ。
当日は、バイヨン寺院の歴史について、チア・ノルさん(JST代表 注1)やJASA(注2)の専門家から説明を受けた後、寺院の一部である”石”をスポンジと歯ブラシで洗浄し、汚れと菌類を落とす作業を体験した。強い日差しが降り注ぐ中、子どもたちは楽しそうに作業を行い、あっという間に終了。
参加者のノイ・スレイニットちゃん(13歳)は、「とっても楽しかった。寺子屋で勉強したアンコール遺跡に来られたことが何より嬉しいし、バイヨン寺院は私たちの祖先が建てた世界遺産で、私たちの大切なたからものなのだと感じた」と語ってくれた。
日本ユネスコ協会連盟では、カンボジア人からカンボジア人への技術移転を行う修復事業とともに、子どもたちへの世界遺産教育を実施し、カンボジアが誇る世界遺産アンコール遺跡群を、カンボジア人自身の手で継承していくことを目指している。
(注1)アンコール人材養成支援機構
(注2)日本国政府アンコール遺跡救済チーム
懸命に石を掃除する子どもたち