荒れ野に祈る 被災地へ行って-後編-
2012.11.19
西片です。
前回(「モコモコ植えてきました」)の続きをお伝えしようと思います。
私は以前、被災地支援とは別の部署に配属されていたので、今回が初めての被災地訪問となりました。
幼稚園の花壇作りを終え、傾き始めた日差しの中、宮城県南端の名取市閖上(ゆりあげ)地区へ向いました。
バスの中で、被災された地元の方が語ってくれました。
「ここ閖上地区は、2000世帯のほとんどが津波によって壊滅状態になりました。
その間、わずか30分です。900人以上の方がなくなりました。
あの日から1年7ヶ月が経ち、一見すると丘のように見えるのは瓦礫です。
撤去できないうちに草が宿りました」。
バスに揺られて、かつては海が見渡せないほど林立していたという、松の木もまばらになってしまった海岸に着きました。
閖上港脇にある7mの高台、日和山には9mの津波が来て、そこにあった神社はもちろん流されました。
石段を登って鳥居をくぐり、津波に呑み込まれ見渡す限り荒れ野になってしまった光景に参加者全員で合掌しました。
東日本大震災の爪あとを見て、自分が何を思うのか不安でした。年を重ねるごとに感性が細ってきたように思えるのです。
ずっと来たかったんです、何をすればいいのかわかりませんでした。被災地を訪れることが出来ない人もいます。でも、あの時分かりました。
忘れないこと、覚えていること、伝えること、自分に出来ることを考え続けること…。
塩害で稲作をあきらめた田んぼにホウキギが焔のように紅葉しているのを車窓から見ながら、そう思いました。