世界寺子屋運動terakoyaitem

ラオスでの世界寺子屋運動、プロジェクト3年目にあたる2010年の活動内容と成果。

2011.03.31

 
ラオスでの世界寺子屋運動の活動をご報告します。

 

建物+αの重要性

90年代に国際機関や他のNGOなどの支援によって作られて支援の終了とともにその多くが使われなくなった地域の学習施設。その原因は政府の財政不足と海外資金に依存しがちな運営体制にあったと言えます。この教訓をもとに、持続可能な寺子屋の構築を目指して2008年にラオス政府が日本ユネスコ協会連盟に要請した支援は、寺子屋を管轄する地方自治体の能力強化と村の人たち自身が運営にかかわる寺子屋のモデルづくりです。

 

自分たちの寺子屋という意識

プロジェクト3年目にあたる2010年には、これまでの8村に加え、新たに4村で寺子屋を開始しました。この4村では、村の人たちの寺子屋に対するオーナーシップ(主体性)を育むため、村にある資材で村の人たち自身が手作りした例や、もともとあった建物を寺子屋として利用している村もあります。特に支援先は地理的に町から遠く離れた山奥にあるため、村でメンテナンスができる建物が理想であり、そのためにさまざまな工夫が行われているのです。


村人手作りのハポワン村の寺子屋、村の建物を使ったナギュー村の寺子屋

村人の声が反映される寺子屋活動

私たちの支援終了後も、寺子屋が村の人たちの学習ニーズにそった学びを受けられる場となるよう、研修を通じて、村の人たち自身に寺子屋のしくみやその役割、運営の仕方を理解してもらいます。寺子屋の活動計画を立てるための講習では、自分たちの意見(声)が寺子屋のプログラムに反映されるため、村の人たちはみな積極的に参加していました。

村民の声

行政機関が寺子屋の活動をサポート

支援終了後、社会主義国のラオスでこの12村のモデルをラオス全土の村に広げていくためには、行政機関のサポートが必要不可欠です。私たちは、パートナーの教育省の担当者はもちろん、実際に寺子屋を管轄する県、郡、村の行政の教育担当者に寺子屋の運営・管理のトレーニングを行いました。実際に村に出向き、村の人たちのニーズは何か、活動にどれくらいの費用が必要か、活動をどのように記録していくのかなど、みな一丸となって村の生活向上のために尽力しています。

研修の様子

大人が生活に密着したテーマで識字を学ぶ

ほとんどの村の識字クラスでは、すでにレベル1(小学2年程度)とレベル2(小学3-4年程度)が終わり、レベル3(小学5年程度)の授業を行っています。授業のテーマには生活の中で役立つ知識や技術などが盛り込まれています。参加者の大半が農業で生計を立てているため、農業に関する新しい知識へのニーズが高まっています。保健衛生は女性の関心が高いテーマの一つです。

識字クラスの様子

織物技術を学びと収入アップ

ポンサイ郡のタポ村、フアイノ村には、女性が祖先から受け継いできた伝統技術-綿織物づくりがあります。近年、織機を買うお金が足りない、稲作に忙しいなどの理由でこの技術の伝承が廃れ始めていたことから、次世代に受け継ぎ、収入向上を図るため、寺子屋に通う女性たちで織物グループを作りました。若い人たちへ技術を伝承するとともに、作った絹織物を売り、2カ月ごとに100ドル程度の収入を得ることができるようになりました。

織物

ご支援、ご協力いただきました皆様に改めまして感謝申し上げます。
日本ユネスコ協会連盟は、引き続き「世界寺子屋運動」を継続してまいります。

 

<活動概要>
成人識字率(15歳以上):73%(EFAグローバルモニタリング レポート2011)
開始年:2008年
現地パートナー:ラオス教育省ノンフォーマル教育局
2010年度受益者数:人材育成研修/220名(教育省職員、寺子屋運営委員など)、成人識字教室/330名、収入向上プログラム/270名、図書室利用者/2236名

活動を支える・参加するParticipation to support

私たちの活動には、多くの方々にさまざまなかたちでご協力・ご支援をいただいています。
わたしたちの想いに共感してくださる方を、心よりお待ちしております。ひとりひとりの力を未来の力に。

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