北海道標津町の竪穴住居群 世界に誇る地域の文化遺産を継承する取り組み紹介【未来遺産運動】
地域の文化や自然の保全・継承に取り組む市民の活動を登録する「プロジェクト未来遺産」。2024年度に新たに登録された4つのプロジェクトのうちの一つ、「標津遺跡群の魅力世界発信プロジェクト」(NPO法人自然・文化遺産保存活用ネット)を紹介します!
本プロジェクトでは、自分たちの町にある日本最大規模の竪穴住居群が、町民にも道外にもあまり知られていない、という強い問題意識のもと、遺跡群周辺の自然環境整備のほか、地元の小中学校への講義、遺跡ガイドツアーやカヌー体験などを通じて、遺跡群の保全と価値の普及に取り組んでいます。
一万年の歴史を伝える日本最大規模の竪穴住居群
標津遺跡群は、根室海峡沿岸地域に位置し、伊茶仁(いちゃに)川、ポー川流域を中心に分布する遺跡群の総称で、標津町ポー川史跡自然公園内の「伊茶仁カリカリウス遺跡」(国指定史跡)が中心です。日本最大規模の竪穴住居群で、縄文時代早期からアイヌ文化期まで、一万年にわたり絶え間なく人びとが暮らし続けた痕跡(竪穴)を窪みとして見ることができます。その数は約4,400を超え、北海道の冷涼な気候により、腐植土壌の発達が遅いためと言われています。
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遺跡群周辺にある湧き水は、真冬でも凍らないため、鮭の産卵床となっていました。あらゆる時代の住居跡から多量のサケ科魚類の骨が発掘されていることから、この水と食料を求めて竪穴住居が築かれたと考えられています。団体が行っている遺跡ガイドツアーや、当時物流に利用されていたポー川でのカヌー体験では、古代人と同じ目線で遺跡周辺の自然を体験し、先人の足跡を歩くことができます。
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官民協働で取り組む文化遺産の保全活用
国指定史跡は行政が管理することとされていますが、本プロジェクトでは、住居群周辺や遊歩道の除草作業や風倒木の処理、植樹など、行政だけでは担うことが難しい遺跡群周辺の自然環境を保全・再生する活動を行っています。特に、草木で覆われた100以上の竪穴住居群を、10年かけて実際に目に見えるように整備を行った取り組みは、遺跡群の価値の向上につながっています。行政だけでなく、地域社会全体で文化財保護に取り組むという現代的なテーマに合致し、官民協働で地域の文化遺産の保全・活用を行っている点が特徴です。
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2月27日に登録証伝達式を開催
この度、以下の日程で「プロジェクト未来遺産2024」登録証伝達式を開催します。周辺地域の皆さまやご関心のある方など、どなたでもご参加いただけます。多くの皆さまのご来場をお待ちしています。
日時 2025年2月27日(木)10:30~
会場 標津町生涯学習センターあすぱる多目的ホール
(北海道標津郡標津町南1条西5丁目5番3号/TEL:0153-82-2900)
参加費 無料
参加方法 直接会場にお越しください。※事前の申し込みは不要です。
主催 公益社団法人日本ユネスコ協会連盟
特定非営利活動法人 自然・文化遺産保存活用ネット
プロジェクトの詳細はこちら:
標津遺跡群の魅力世界発信プロジェクト – 公益社団法人日本ユネスコ協会連盟
未来遺産運動では、多くの方々に身近な地域や全国各地の「プロジェクト未来遺産」に関心を持っていただくことで、地域を越えた新たなつながりを生み出し、全国に応援の輪が広がることを目指しています。