被災地調査隊レポート④「学校再開に向けて・陸前高田市(岩手県)」
日本ユネスコ協会連盟では、「東日本大震災子ども支援募金」の支援調査のため、宮城県気仙沼市に続き、岩手県沿岸南部の3市(陸前高田市、大船渡市、釜石市)に調査隊を派遣しました。
■ 陸前高田市
教育委員会、先生方の思い
陸前高田市では県内最大規模の犠牲者が出ている。教育委員会は高台の仮庁舎内に入居し、学校再開準備に当たっていた。先生方によると”市内の小中学校 15校のうち6校が津波に襲われており、残る9校の校舎を使用し複数校の合同授業とせざるを得ない。当初心配された子ども達の学用品は、全国からの善意で非常に多く集まり、本当にありがたい”と話されていた。また、それと同時に、”今集中的に来ている支援は、いつまで続くのか””子ども達の心のケアに最も配慮したいが、教員はあまりに忙しく、その環境づくりが大変”という課題も生じていた。学習だけでなく、子ども達が安心して過ごせる場所としての学校を、早く良い形で再開したい、との先生方の思いを感じた。
小学校への支援内容、続々決定!
教育委員会の紹介を受け、市内の小学校 2校を訪問した。この2校の校区は隣接しており、1校の津波被害が甚大のため、他方の校舎で、合同で新学期をスタートすることになった。それぞれの校長先生から「辞書引き学習のための小学国語辞典100冊」「検定用縄跳び等のスポーツ用具」の要請を受け、直ちに東京の事務局で手配を開始した。必要最小限のものが対象となる緊急支援にはない、各学校の特色ある教育が早期に再開できるような教材が、現地では求められている。
避難所(学校)では今 -新学期に向けて-
市内最大の避難所となっている中学校では、医療チーム・自衛隊・NGOなどが入り、地域の一大拠点ともいうべき機能を備えていた。訪問時、各教室から体育館への避難住民の移動中であった。新学期を間近に控え、校内を「学校が使用する部屋」と「避難所の区域」に分けるための移動だったが、新しい区分けにより、学校は学級数の教室を確保し、避難者の居住区域は体育館に集約された。しかし、音楽室、理科室などの教科専用の教室も、診察室や洗濯干し場等として使用される。一方で、住民も手狭になるスペースの問題と、長い避難生活によるストレスをかかえているに違いないが、学校という場所の大切さを思うと気持ちは複雑であるようだ。
避難所で暮らす男性から、お話を聞いた。
「(引越しの説明を受けて)一人分のスペースが結構小さくなるので、それでやっていけるのかと、少し心配です。ただ、子ども達には先生やクラスメートと過ごす場が何より大切だと、私も思います。避難所でも、子どもの笑顔を見た時が一番元気になれ、自分も頑張ろうという気持ちになるものだと実感したので、中学校の生徒さんたちにも学校で生き生きと過ごしてほしいです。」
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