被災地調査隊レポート⑥「学校再開に向けて・釜石市(岩手県)」
日本ユネスコ協会連盟では、「東日本大震災子ども支援募金」の支援調査のため、宮城県気仙沼市に続き、岩手県沿岸南部の3市(陸前高田市、大船渡市、釜石市)に調査隊を派遣しました。
■釜石市
釜石市教育長より~心のケア、スクールバスの確保が急務~
4月15日(金)午前、釜石市教育委員会にて、教育長と面会した。
教育長によると、津波による学校の浸水被害は3校、地震による損壊の大きい学校が1校ある。
Q:学校再開にあたり、学用品など物資の不足は?
A:様々なところから支援をいただき、教科書、学用品、制服など、ほぼ確保できた。
Q:学用品以外で、再開後に懸念されることは?
A:修学旅行は通常4月だが、全て秋に延期する。今年度の積立金は集金済みだが、新1,2年生の分は厳しい見通し。他にも、保護者からの集金で賄ってきた備品購入がおそらく難しくなる。
Q:市内の子どもたちの様子は?
A:彼らの心の傷を思うと辛い。被災の度合いは皆違うが、何の影響も受けていない子どもはいない。しかし今は、避難所で「良い子」に振舞いすぎるという話を聞いている。今後どう影響するか心配だ。
Q:先生方も大変だと思うが・・・。
A:その通り。釜石市では、早い段階で各避難所にカウンセラーを置いたが、学校でも大いに必要。教員はじめ学校スタッフを増やして子どもの傍に置くこと、家族も被災者であるので父兄のケアも含めた対応を考えているが、このままでは教員自身が持たない。教員へのサポートも求められる。
Q:通学路はどのように確保されるのか?
A:スクールバスの確保が急務になっている。子どもたちは学区だけでなく行政区も越えて避難していることと、瓦礫で道の安全も確保されないため、何としても十分な台数を手配しようと動いている。
子どもの心のケアの現場へ ~学童保育~
避難所となっている小学校に隣接した学童保育を土曜日に訪ねた。前日には30名ほど子どもがいたが、この日は小学校低学年の児童が7、8名、お絵かきやブロック遊びなど、思い思いに過ごしていた。震災以来千羽鶴を折り続け、千羽を目前に一生懸命に数を数えていた女の子の姿もあった。登録人数は100名超にのぼるが、施設の半分は家を失った教員の宿泊所として使われ、受け入れは30名強にとどまる。スタッフはわずか4名の保育士と2名のボランティア。学校再開後は他校児童の受け入れがあり、保護者も市役所等への手続きや仕事探しなどで多忙になるため、希望者はますます増えることが予想される。子どもたちの心のケアの重要性は認識されているものの、その環境づくりには課題が山積していることが分かった。
スクールバスの支援決定!これから私たちにできることは?
教育長の話を受けて調査隊は、早速東京の事務局に連絡を入れ、スクールバスと心のケアへのニーズを伝えた。スクールバスは緊急性が高いため、既に業者との交渉に入った。さらに、今後は再開する学校への図書支援を視野に入れ、移動図書館の支援も目指す。子どもたちの心のケアと、それを見守る保護者や教員へのサポートには、特に息の長い支援が必要となることが分かった。これからも私たちにできることを考え、行動に移していかなければならない。
—————————————————-
「東日本大震災 子ども支援募金」にご協力お願いいたします。