千葉県富津市で江戸時代から続く「くも合戦」を次世代へ継承する取り組み紹介【未来遺産運動】
地域の文化や自然の保全・継承に取り組む市民の活動を登録する「プロジェクト未来遺産」。2024年度新たに登録された4つのプロジェクトのうちの一つ、「クモが紡ぐ!地域のきずな~日本三大くも合戦 横綱決定戦~」(富津フンチ愛好会)を紹介します!
本プロジェクトは、千葉県富津市富津地区で江戸時代から続く「くも合戦」文化を、「日本三大くも合戦 横綱決定戦」の開催などを通じ、地域を代表する行事として継承することを目指しています。
漁師町で広まった「くも合戦」文化
千葉県富津市で行われている「くも合戦」は、「フンチ」と呼ばれるネコハエトリという1cm程のクモを戦わせる遊びです。富津市の「くも合戦」は、春先の繁殖期にオスがメスを取り合う習性を利用して、将棋盤ほどの大きさの土俵でオスのクモ同士が戦います。江戸時代に漁師の間で広まったと言われ、昭和40年代頃までは他地域でも行われていましたが、時代の変化とともに減少しています。

伝統行事を未来に継承する工夫
富津フンチ愛好会は、毎年5月に富津八坂神社の境内において、「日本三大くも合戦 横綱決定戦」を主催し、県内外問わず子どもから大人まで気軽に参加できる大会となっています。参加者は、事前にそれぞれの採取場でネコハエトリを捕まえて、戦いに慣れさせるため、何度もクモ同士で戦わせて闘争本能を向上させます。個人によって調教の仕方やエサの違いなど、それぞれ育成方法が異なるのも「くも合戦」の特徴の一つです。

また、同愛好会は、地元の小学生たちを対象に「フンチ自然体験教室」を実施し、クモの採取・飼育方法を伝授して大会への参加を促進しています。大会終了後、採取したクモは、元の生息地に返すことでクモの生態・生息地の保全も意識しながら継承を目指す活動をしています。

地域のイベントとして「日本三大くも合戦 横綱決定戦」の開催や、子どもたち向けの自然体験教室のほか、積極的にInstagramやYouTubeなどを通じた情報発信を行っています。身近な習俗を地域振興を視野に入れながら伝統行事として発展させていこうとする取り組みが特徴です。
3月23日に登録証伝達式を開催
この度、以下の日程で「プロジェクト未来遺産2024」登録証伝達式を開催します。当日は富津写真愛好家協会の協力で愛好会の歴史を振り返る写真展も同時開催されます。周辺地域の皆さまやご関心のある方など、どなたでもご参加いただけます。多くの皆さまのご来場をお待ちしております。
日時 2025年3月23日(日)13:30~ ※写真展は11:00から式典終了まで開催
会場 富津公民館 大ホール(千葉県富津市新井932-34)
参加費 無料
参加方法 直接会場にお越しください。※事前の申し込みは不要です。
主催 公益社団法人日本ユネスコ協会連盟、富津フンチ愛好会
プロジェクトの詳細はこちら:
クモが紡ぐ!地域のきずな~日本三大くも合戦 横綱決定戦~ – 公益社団法人日本ユネスコ協会連盟
未来遺産運動では、多くの方々に身近な地域や全国各地の「プロジェクト未来遺産」に関心を持っていただくことで、地域を越えた新たなつながりを生み出し、全国に応援の輪が広がることを目指しています。