世界寺子屋運動terakoyaitem

【活動報告・カンボジア】広がる未来への選択肢:オンライン中学校クラス開始

2022.01.27

いつも世界寺子屋運動へのご支援ありがとうございます。

カンボジアでは、今年度から新しく「中学校クラス」が始まりました。

新型コロナウイルスの流行で、日本だけでなく世界規模で、経済的に厳しい家庭ほど、急な収入減など直接的な影響を受けています。世界寺子屋運動では今、コロナ禍で増加が懸念される小中学校からの中途退学児童生徒の支援を優先課題としています。

【写真】学習用タブレット端末を手にする生徒たち

カンボジアでは約5年前から政府とUNESCOが協力し、ITスキル教育と中途退学した若者への教育機会提供のため「基礎教育エクイバレンシープログラム:Basic Education Equivalency Program (BEEP)」が立ち上がり、試験的運用から徐々に拡大していました。UNESCOによると、2023年までに全国15州35ヵ所での展開を目指しています。

   

対象は、14歳以上の前期中等教育(中学校)中退者ないし小学校修了者です。オンライン学習アプリで11教科が提供されます。修了すると中学校卒業資格を得られ、職業訓練校などへの進学が可能になります。

    

カンボジア「アンコール寺子屋プロジェクト」では、タトラウ寺子屋(シェムリアップ州アンコールトム郡)でこのBEEPを採用し、寺子屋の中学校クラスとして開始しました。

【写真】夜6~8時・タトラウ寺子屋で行われるスクーリングの様子

カンボジアではコロナ禍前、中学校の修了率は改善傾向にあったものの、半数に満たない46.5%に留まり(UNESCO・2019推定)、都市と農村部間の大きな差も課題でした。シェムリアップ州郊外の地域では、コロナ以降中学校での学習継続をあきらめ、仕事を始める若者が急増しています。公式なデータはありませんが、寺子屋運営委員の感覚では、近隣の中学校の全校生徒のうち30%近くが学校を去っているという声もありました。

【写真】事前研修会では、参加ルール、学習アプリ使用方法などを説明

生活のため働く若者たちが、職業訓練校などに入るには、中学校修了が必須です。また、オンラインで学べることで基本的なITスキルが身につく上、学習時間・場所が柔軟なため、働いていたり遠隔地に住んでいても教育を受けるチャンスが広がります。

   

アンコール寺子屋プロジェクトでは1クラスが始まったばかりですが、中学校クラスは多くの子どもや若者たちにとって希望になり、今後も大きなニーズが見込まれます。

    

教育は基本的人権であり、教育分野の国際協力は、未来の国際社会の土台をつくります。一人でも多くの人が、困難な状況下でも、それぞれが必要とする学びの機会が得られるよう、引き続き世界寺子屋運動に温かいご理解とご協力をお願いします。

   

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