世界寺子屋運動terakoyaitem

フリーアナウンサー久保純子広報特使による「特使通信」カンボジア訪問記【第3回】

2019.07.30

世界寺子屋運動30周年を記念し、 ユネスコ世界寺子屋運動の久保純子広報特使が2019年3月、10年ぶりにカンボジアを訪問。今月の「特使通信」カンボジア訪問記を配信いたします。


今回のカンボジア訪問では、幾つかの寺子屋を巡ることができました。その一つが、東南アジア最大の湖・トンレサップ湖にあるチョンクニア寺子屋です。10年前にも訪れ、当時20歳だった双子の姉妹、ソバナリーさんとチンダさんと出会いました。二人は、寺子屋に通ったのち、地元の小学校に編入し、中学、高校と進み、この時、高校を卒業したばかりでした。私が訪れた際、ソバナリーさんは、水上寺子屋で、子どもたちにボランティアで英語を教えていたのです。自分が学んだことによって、その学びを次の世代へとつなげていく…「学びの循環」にとても感動したのを今でもはっきりと覚えています。


今回の旅では、二人に会う予定はありませんでしたが、偶然にも、ソバナリーさんが2日前に出産し、寺子屋と道を挟んで反対側にある自宅に戻ってきたとの情報が舞い込んできました。即、会いに行きました。久々に会ったソバナリーさんは、すっかり「ママの顔」になっていました。二人の子どもを育てながら、雑貨屋さんを営んでいて、今回が3人目の出産だったとのこと。旦那さんに寄り添いながら、とても穏やかな表情をされていたのが印象的でした。寺子屋に通ったことによって、教育を得て、長距離バス会社の案内係の職につき、その後、結婚して、子供を授かってからは、2003年制作の日本ユネスコ協会連盟の貸し出しビデオでも語っていた、夢であった念願の雑貨屋さんをオープンしたのです。


2019年3月、10年ぶりに再会したソバナリーさんと

寺子屋に通う以前は、日々の生活に追われ、先を見る余裕も、夢を語ることもなかった子どもたちが、勉強をして、世界が広がり、夢を持って、それを現実のものへと変えていく…今回の訪問で改めて、寺子屋の持つ「力」を実感しました。時間はかかるかもしれません。でも、確実に、寺子屋運動が人々の「生きる源」になっていることを目の当たりにしました。

2009年に久保特使がインタビューした時のソバナリーさん(右)とチンダさん(左)



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