戦争は人の心の中で生まれるものであるから、
人の心の中に平和のとりでを築かなければならない(UNESCO憲章前文より)
秋田ユネスコ協会
昨年度の主な活動
世界寺子屋運動募金及び書き損じはがき回収キャンペーン
   
& 能登半島地震「災害子ども教育支援募金」
 
1月28日(日)11時~15時、ぽぽろーどで、募金と書き損じはがきを回収する「世界寺子屋運動」を実施しました。これはアジアの途上国で貧困・紛争・女性などの理由で教育を受けられない人々のために、学びの場 ”寺子屋” を提供するための資金を得るためです。合わせて、今回は能登半島地震で被災された子どもたちの支援募金を行いました。能登半島被災地の子どもたちの就学・学習環境の整備のための資金を得るためです。
 活動には聖霊高校や秋田商業高校から合わせて18人が参加してくれました。会員8人と一緒に通りかかりの人に呼びかけましたが、若い人たちのいきいきした声の威力はさすがで、大勢の人が募金してくれました。寒い中でしたが、生徒たちにとっても有意義な活動になったのではないかと思います。

                                  


●第34回外国人による日本語スピーチコンテスト &
              世界と語ろう!ユネスコタイム

 
12月10日(日)秋田県生涯学習センターで恒例のスピーチコンテストを実施しました。東北ブロック大会が10月に秋田で開催されたため、例年より1か月遅れの開催となりました。
1部は「外国人による日本語スピーチコンテスト」、県内在住の外国出身の方々8カ国12名が日本語でスピーチしました。今回の参加者は、中国3名、ネパール3名、その他はウガンダ、ラオス、ウクライナ、アメリカ合衆国、台湾、モンゴルが各1名でした。
 日本語に関するすること、日本で暮らして思うこと、自国の観光や文化などについて、スピーチされました。皆さん日本語がしっかりしており、話す態度も堂々としていました。審査の結果、最優秀賞(秋田県知事賞)には「異なる中での共通点」というテーマでスピーチされた孫 瀚林さんが選ばれました。孫さんは、身近なことからグローバルなことまで、話し合って共通点を見つけて最適解を得ることで世界の対立を克服できると、熱い心で話されました。世界のあちこちで紛争の頻発する昨今だからこそ説得力のあるスピーチでした。優秀賞(秋田県教育長賞)のホロブニャ アナスタシャさんは「戦争は私の世界の見方をどう変えたか」という題で、祖国ウクライナがロシアの侵略で多くの人が困難な状態にあり、家族のことを心配している、日本で花火を見た時、その音がミサイルを想起させた、ウクライナ人としての誇りを持っていると、話されました。花火の音がミサイル攻撃の恐怖を思い出させるというのが衝撃的だったし、苦しい心を超えてスピーチされたことは賞賛に値すると評価されました。優秀賞(秋田市長賞)のジョシ ヘムラジュさんは、「日本と日本語に対する私の興味」というテーマでスピーチ。日本のマンガ、ドラマを通して興味を持ち、今年の4且に来日、今は日本の食文化に関心がありおすしが大好き、そして日本人の話し方にも関心を持っていると話されました。

スピーチコンテストの発表一覧
  賞        スポンサー       名  前 
       
出身国  所属     
    テーマ      
最優秀賞 秋田県知事  孫 瀚林 
  中国 秋田大学理工学部
異なる中での共通点
優秀賞 秋田市長 ジョシ ヘムラジュ
 
ネパール 秋田日本語学院
日本と日本語に対する私の興味
優秀賞 秋田県教育長  ホロブニャ アナスターシャ
 ウクライナ 秋田大学教育文化学部 
 
戦争は私の世界の見方をどう変えたか
奨励賞 (株)秋田銀行 コシラ サナカム
 
ラオス  秋田工業高専
新しい職探し 
  (株)秋田魁新報社 チャン ハン ユン
 台湾  国際教養大学
日本と台湾の文化について
  秋田ゾンタクラブ リマ マハラザン
 ネパール  会社員
地球温暖化と私たちの未来
  国際ソロプチミスト秋田 スレスタ ダン バハドル
 ネパール  秋田日本語学院
日本での留学生のせいかつ
  秋田県日中友好協会女性委員会 李 一娜
 中国  国際教養大学大学院
秋田の魅力
  秋田日米協会 トーマス ピーターソン
  アメリカ合衆国 大曲高校等
私が見た世界
  秋田日独協会 楊 玉廷
 
中国  秋田大学大学院理工学研究科
日本語の勉強を通じて気付いたこと
  秋田モンゴル友好協会 サンブーバト ソドフヤグ
 モンゴル  秋田大学国際資源学部 
恐怖
  青年海外協力隊秋田県OB会 マセテ ダグラス 
 
ウガンダ  秋田工業高専
日本でびっくりしたこと

          
       
最優秀賞の盾を受け取る孫さん     スピーカーと審査員で記念写真

2部「世界と語ろう! ユネスコタイム」では、スピーカーと会場の参加者たちが、
スピーカーの出身国毎に分かれて、自分の国の好きなところなどについて話し合い

ました。

         
    

2023年度 東北ブロック・ユネスコ活動研究会 秋田大会    
                   

 
10且14日(土)2023年度 東北ブロック・ユネスコ活動研究会が秋晴れの中、秋田市のホテルメトロポリタン秋田で開催されました。秋田市での開催は8年ぶり、参加者は約120人でした。
 
12時30分、オープニングは土崎港の「港ばやし」。これは
土崎神明社祭の曳山行事で演奏されるお囃子です。曳山行事は2016年ユネスコ無形文化遺産に登録されています。子どもたちの巧みな太鼓のばちさばきで、歯切れのよいリズムが会場に響き渡りました。
 開会式で、主催者代表の日本ユネスコ協会連盟副会長の見上一幸氏は、「ユネスコが生まれて75年以上経ちますが、戦争を止めることができていません。今一度原点に立ち返って平和について考える必要があります。皆で力を合わせて、より良い平和な世界を築いてまいりましょう。」と挨拶されました。

 次に日本ユネスコ国内委員会報告、日本ユネスコ協会連盟からの報告、東北ブロック青年代表評議員の発表、秋田ユネスコ協会青年会員による発表が行われました。 
 続いて小松由佳氏の基調講演。テーマは
 「故郷を失った難民の日々ーシリア難民から考える世界ー」です。小松さんは秋田市の出身。写真家として度々シリアを訪ねシリア沙漠で遊牧生活を送るアブドュルラティーフ一家を取材していました。ところが2011年シリア内戦が勃発、アブドュルラティーフ一家の人々も身に危険が及びトルコに避難しました。シリアでは人口2240万人のうち、死者50万人、難民約670万人、避難民800万人に上るという厳しい状況に追い込まれました。小松さんはアブドュルラティーフ家の12男ラドワンと結婚。ラドワンは現在難民として日本で生活、お金、仕事、人生観のちがいに多くの戸惑いを感じながらも、彼なりに日本の生活に馴染んできています。小松さんはそんな彼と共生する方法を会得して、適度な距離を見出して生活しています。小松さんは現在もトルコ、シリアに取材旅行に行っています。時間が経って、シリア難民にも変化があり、欧州へ渡る難民が増加しているが、これからも新しい土地で生きようとする難民を取材し続けていきたいと話されました。小松さんの冷静な目で捉えたシリアの人々、イスラムの人々の生活、考え方は、驚きであると共に感動的でした。避難しなければ安心して生きていけないという状況に追い込まれる人たち、そして世界にはそういう難民が1億人もいるということ、その生活の過酷さについての話しも心に残りました。だからこそ平和が大切なんだと再確認させられた講演でした。

 
           
       
土崎港ばやし       主催者代表挨拶      基調講演講師 小松由佳氏

 
次は「平和の心を育むユネスコ活動」をテーマにパネルディスカッション。秋田ユ協小林会長をコーディネーターに、3ユネスコ協会の活動事例を通して平和について考えました。
 仙台ユネスコ協会副会長内藤恵子氏の「キリバス民間ユネスコ協会設立プロジェクト」は、太平洋上に位置するキリバスは地球温暖化による海面上昇で水没の危機にある、この問題の解決に向けて、仙台ユ協の支援のもとキリバスにユネスコ協会を設立、共に持続可能な地球環境問題に取り組み、安全な地球環境という面から世界の平和について考えている、という発表でした。
 いわきユネスコ協会事務局長沢宏一氏の「若い力を育むー青少年の心に平和の砦をー」は、い
わきユ協が ”青少年の心に平和の砦を” を合いことばに「学校への出前授業」「小中学生を対象とした平和作文コンクール」「青少年の平和シンポジウム」等を実施している、出前授業では平和と戦争、ユネスコなどについて学び、それが作文コンクール、シンポジウムへと、一体的につながって平和の学びを深めている、今後もこの活動を発展させていきたい、という発表でした。
 秋田ユネスコ協会理事カビール・ムハムドゥル氏の「外国人による日本語スピーチ・コンテストー多様な文化は豊かな社会へのパスポートー」は、秋田ユ協のスピーチ・コンテストは平成元年(1989年)に開始し今年は34回目となる、外国人には日本語の学習を高めること、日本人には国際交流、国際理解の場になることを目的としている、この事業を通して多様な文化の交流が見られ豊かな社会へのパスポートになっている、という発表
でした。
秋田ユネスコ協会理事カビール・ムハムドゥル氏の「外国人による日本語スピーチ・コンテストー多様な文化は豊かな社会へのパスポートー」は、秋田ユ協のスピーチ・コンテストは平成元年(1989年)に開始し今年は34回目となる、外国人には日本語の学習を高めること日本人には国際交流、国際理解の場になることを目的としている、この事業を通して多様な文化の交流が見られ豊かな社会へのパスポートになっている、という発表でした。
 
3ユ協それぞれのユニークでよく工夫された活動報告は、多くの人に刺激とヒントを与えているようでした。
                     

 
締めくくりに、日ユ協連理事長鈴木佑司氏から研究会の講評を頂きました。鈴木氏は平和の心を育むには多様なやり方があり、それぞれの環境の中で自分の足元で行動する、知る、伝える、連携して実施することが大切と述べられました。
 閉会式で酒田ユネスコ協会会長地主友昭氏が来年の大会は酒田市で10月5日に開催するので是非参加して欲しいと挨拶され、研究会を閉じました。
 6時30分からは交流会。佐藤洋と仲間たちによる「ウクライナ音楽」の演奏を鑑賞し、その後お酒と料理を楽しみながら会員同士で交流しました。
                                                 


ユネスコ国際理解講演会ロシアと日本との違い ~秋田で暮らして思うこと
  4且23日(日)総会に先だって13:30からユネスコ国際理解講演会を開催した。講師はミハイロヴァ・アンナさん、県立能代松陽高校でロシア語を教えている。ウラジオストックご出身でモスクワ大学日本語学科修士課程卒業後1996年に来日し、秋田での生活も15年になるという。
 最初にアンナさんは世界地図の映像を見せたが、いつも見ている地図を上下逆にしたもので、世界が違って見える、宇宙には上も下もないというアンナさんの言葉に、私たちの当たり前が世界の当たり前ではないと気づかせられた。アンナさんは、ロシアで知られている日本、日本の印象、日本語とロシア語の違いなどについて話された。その中で、日本人は共通意識が強い、気にしすぎる、空気を読む、これに対してロシア人は考え方がバラバラだ、空気を読めない、笑わないという点が心に残った。秋田の食べ物ではきりたんぽが好きだということや、ロシアではボルシチが代表的な食べ物だが、ロシアだけでなく周辺国でもその地域なりのボルシチがあるということ、トルストイやドストエフスキーなどのロシア古典文学について、学校教育の中で詳細に読み解くことを求められるということにも興味をそそられた。秋田ではロシア人と直接話すことがあまりない、今講座はロシアの一端を知る楽しくかつ貴重な機会になったのではないかと思う。

2023年度通常総会
 
総会は4月23日(日)3時から、国際理解講演会に続いて秋田県生涯学習センターで開催された。
 小林会長は開会のあいさつで、今年10月14日8年ぶりに秋田市で東北ブロック・ユネスコ活動研究会が開催される、会員全員で協力して取り組んでいきたいと述べた。続いて
、御来賓の県生涯学習課の奈良学芸主事が、秋田ユ協はユネスコ憲章の精神に沿った活動に取り組んでいるが、今はエネルギー、食糧危機、物価高騰など困難な時代だからこそ異なる背景を持つ人々が協力しあうことが大切だ、グローバル人材の育成に資する事業がさらに展開されることに期待していると述べられた。
 次に佐藤顧問を議長に選出し議事に
入った。2022年度事業、決算報告並びに会計監査報告、2023年度事業、予算について審議し、原案通り可決。次に東北ブロック・ユネスコ活動研究会秋田大会の開催要項と特別会計について説明された。
 この後藤本副会長から、4且30日トルコ、シリア大地震への緊急支援の募金活動をぽぽろ~どで実施する計画が伝えられた。できるだけ協力しようと話し合い、総会を終えた。