被災時に自分と他人のために行動できる人になろう

千葉県立館山総合高等学校

活動に参加した児童生徒数/1~3学年400人
活動に携わった教員数/10人
活動に参加した地域住民・保護者等の人数/100人

実践期間2019年5月17日~2020年1月15日

活動のねらい

超高齢化・過疎化が進行し,三方を海に囲まれた房総地域において,災害時に率先して行動する資質を育て,他者と協働して最善策を導きだし,弱い立場の人たちに配慮ができる人材を育成する。

活動内容

1)実践内容・実践の流れ・スケジュール
内        容 人数 学ぶ 行動 普及
家庭クラブ週間 校内パウンドケーキ募金 100
里まちmeatup 減災活動紹介,パウンドケーキ募金 5
北条海岸BEACHマーケット 減災活動紹介,子ども防災巾着コーナー 100
ポスターセッション 減災活動発表 80
退職教員の会  減災活動発表 ストレッチ講座 5
宮城防災ジュニアリーダー合宿参加 6
ふくしま学宿(1泊2日バス研修) 32
台風15号被災地区 支援活動(3回実施) 30
被災地支援 校内パウンドケーキ募金 100
校内カフェ~館総防災スタンプラリー~実施 100
10 DIG(避難想定ゲーム)講座 2・3年→1年 40
11 DIG(避難想定ゲーム)講座 2・3年→PTA 40
11 千葉科学大学「災害時高校生にできること」講演会 32
11 まちカフェ 減災活動紹介 ストレッチ かまどベンチ紹介 100
12 全校集会 減災活動紹介 400
12 台風15号被災地区 被災調査・支援活動(2回実施) 10
学習発表会 減災活動発表 150
2)9月研修会の学びの中から自校の実践に活かしたこと。研修会を受けての自校の活動の変更・改善点。
  
昨年度まで(助成金・研修受講前)と今年度の実践で変わった点。助成金の活用で可能になったこと。
〇階上中生の主体的に活動する姿に感銘を受け,減災や避難時の知識を学ぶのではなく,協働して正解のない答えを導きだす資質が大切であるとの思いからアクティブラーニングを意識的に取り入れた。また,SDGsを授業に取り入れ,環境問題や弱者への配慮,誰一人取り残さない意識の醸成を図った。
〇実際に被災地に赴き,その場でその時の状況を想像し想像することの重要性を感じ,台風15号被害地区に数回訪問し,その日の状況や被害の状況を伺い,対話を通して生徒が被災者の気持ちに寄り添う機会を作った。

3)実践の成果
減災(防災)教育活動・プログラムの改善の視点から
(ア)家政科で学んだことを減災活動に生かす試みとして,パウンドケーキを焼いて募金活動をしたり,台風による強風被害を受けた地区に赴き,ハンドマッサージをしたりしながら困りごとを伺い,パウンドケーキを差し上げる活動を実施した。
(イ)全校や地域に向けて普及活動を行った。
 A.防災スタンプラリー(パッククッキング 防災クイズ 防災ダンス 新聞スリッパ 防災ゲーム ストレッチなど)を土曜日に開催。幼児~高齢者まで多くの来校者があった。
 B.DIG(避難想定ゲーム)講座を下級生やPTAに向けて開催した。
 C.まちカフェという駅前の本校主催イベントで減災活動について紹介した。
 D.全校集会にて減災活動紹介を紹介した
児童生徒にとって具体的にどのような学び(変容)があり,どのような力(資質・能力・態度)を身につけたか。
〇被災地で被害にあった方や復興に関わる方の苦労話を聴き当事者の想いをくみ取り,「何かやらなきゃ」と自分にできることを考え始める生徒が増えた。【物事に進んで取り組む力】
〇生徒の中にはこの活動がきっかけとなり進路選択に積極的になった。【目的を設定し実行する力】
〇ボランティア活動に積極的になり「見返りを求めず行動することは気持ちがいい」と気付いた生徒がいた。【ボランティア精神・他者への働きかけ力】
〇これらの減災活動を各所で発表するにあたり,自主的にプレゼン資料を作成した。【主体性】
〇その他の学習態度や生活態度が向上した。【規律性・ストレスコントロール】
〇発表や質問に答えることで更に思考が深まり【熟考】,相手に伝えるスキルの必要性に気づいた。【発信力】
教師や保護者,地域,関係機関等(児童生徒以外)の視点から
〇図らずも台風15号により本校がある館山が被災地となり,減災活動への関心が地域全体で高まった。生徒のボランティア精神が向上し,支援活動を意欲的に実践している。家政科生徒はパウンドケーキを作る機会が多いため,このパウンドケーキ支援活動は「私たちにできる支援」と自信をもって行動し,自己有用感が向上していると感じる。あきらめの気持ちでいっぱいの被災者にパウンドケーキを差し上げると,笑顔になり,感謝の言葉をいただき心の交流ができていると実感する。この活動とボランティア精神を一時的なものにせず,継続して行う努力が必要と感じる。
〇本校ではこの支援活動や福島研修などで学んだことを発表する機会と地域連携に恵まれている。11月には「まちカフェ」で減災・支援活動について発表した。高校生が減災・支援活動を積極的に実践していることは,高齢・過疎化が進むこの地域で大きな心の支えになっていると感じた。また,消防団や市の社会安全課の協力が得られる関係ができているため,今後幅広い活動も考えられる。
4)実践から得られた教訓や課題と次年度以降の実践の改善に向けた方策や展望
減災活動・支援活動を実践している生徒は確実に生きる力が向上しているが,本校全体からみると一部の生徒に過ぎない。まずは学校全体でこれらの活動に取り組む体制を整え,生徒の資質向上に努めたい。
5)その他
〈活動変更説明〉台風15号等の被害により,当初予定していた事業を上記のとおりに変更した。そのため助成金の使途内容も変更し,復旧状況,支援活動の様子を記録に残し,今後の減災活動において発信するために必要となるビデオカメラやタブレットを購入した。

 

活動内容写真

  • 館総防災スタンプラリー

  • 館総防災スタンプラリー

  • 館総防災スタンプラリー

  • まちカフェ

  • まちカフェ

  • パウンドケーキ支援活動

  • パウンドケーキ支援活動

活動において工夫した点

〇「学びの足あと」と称した自作のワークシートで身についた力を認識する取組みを行った。
〇階上中学校の避難所運営マニュアルを参考にし,生徒が本校における避難所運営マニュアル作成に取り組んだ。
〇昨年度から防災関係の県外視察に行っている。そこで親交を深めた各地域の学校から励ましのお手紙や色紙と義援金をいただき,及川先生が説明していた「N助」を実感した。兵庫県や宮城県で館山の状況を発信し,街頭募金をしてくれた学校や先生方の存在に感謝と驚きである。「被災初心者」の私たちとしてはこの資金の有効に活用しなくてはと思案中である。

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