自らの命を守るために,減災・防災について主体的に学習し,前向きに行動できる生徒を育成する。

熊野町立熊野中学校

活動に参加した児童生徒数/1~3学年261人
活動に携わった教員数/30人
活動に参加した地域住民・保護者等の人数/15人

実践期間2019年5月13日~2020年2月27日

活動のねらい

昨年度に発生した西日本豪雨災害で,本町も多くの被害が発生した。被害を受けた生徒がいた反面,被害がほとんどなく災害は発生したとの認識の薄い生徒もいる。認識の差が大きい中,災害から1年経とうとしているが,これまでの避難訓練や教科間のつながりの希薄な学習活動では災害から自ら身を守り,災害発生時に前向きに行動できる生徒の育成は不十分であると考える。
そこで,教科間のつながりを再構成し,他校との交流や研修を通して,学習した内容や中学生として活動できることを発信することで,自ら考えて行動することの重要性を認識させることをねらいとした。

活動内容

1)実践内容・実践の流れ・スケ ュール (5月)・防災教育に関わる計画について(職員研修)
    ・理科…西日本豪雨の天気図や降水量のデータを用い,豪雨のメカニズムについての授業
(ハザードマップや防災チェックシートを用いた意識付けも)
    ・社会科…雨温図を用いた降水の特徴を理解する授業(オリジナル資料を作成し,防災への関心を高める)
(6月)・臨時休校時の対応について…「警戒レベル4」発令時に,部活動の朝練に参加した生徒の対応
            …警戒発生時の意識調査アンケートの実施
(7月)・生徒会の取組
     ①避難グッズクイズの実施,避難グッズ展示コーナーの設置
     ②中国新聞記事「いのちを守る」シリーズ感想文・展示
     ③道徳授業の実践(6月アンケートの結果を受けて実施)
    ・保健体育科…心肺蘇生法講習会(「いのちを守る」ことへの意識付け)
              ①自然災害を知り,自分にできる対策について考える授業(オリジナル資料を活用)
(10月)・熊野町内火災発生時の対応について…中学校近辺での火災への対応
     ・技術家庭科…手回し充電式ラジオの作成
(11月)・社会科 ①熊野町危機管理課職員による防災教室
          (熊野町の防災の取組・作成中のハザードマップを活用し,危険箇所の記入など)
          ②防災士による講話
          (ラジオパーソナリティで防災士でもあるキムラミチタさんによる自助を中心にした講話)
          ③さまざまな災害場面を想定し,それぞれの場面でどのような行動をとるべきかを考察する授業
          (防災ゲーム「クロスロード」を活用した授業,ゲーム後後輩へのメッセージを作成)
(12月)・社会科…町長出前授業(熊野町の西日本豪雨災害の対応や今後の防災の取組についての説明)
     ・生徒会の取組…熊野町総務課による熊野町次期総合計画策定に係るワークショップ参加
             (今後10年間の熊野町総合計画策定のワークショップで防災についての提案など)

2)9月研修会の学びの中から自校の実践に活かしたこと。研修会を受けての自校の活動の変更・改善点。
  昨年度まで(助成金・研修受講前)と今年度の実践で変わった点。助成金の活用で可能になったこと。
(自校の実践)
 11月実施の社会科の授業において,熊野町危機管理課との協力でハザードマップの改善作業を行った。9月研修会において小学校での通学路の危険な箇所,安全な箇所などのマッピングを参考に,熊野町危機管理課と協力し,ハザードマップ作成会社より作成途中の地図を提供してもらい,図上訓練を実施できた。
(助成金で可能になったこと)
・防災ゲーム「クロスロード」の実践。購入し,生徒の活動に活動できた。
次年度,生徒会専門委員会などの少人数での発表活動の実施において,モバイルプロジェクターを利用した発表活動の実施。
次年度,ビデオカメラを利用した減災教育に関わる行事,フィールドワークなどの記録。
(変更・改善点)
・次年度に向けての防災計画策定において,今年度実施の活動を年間計画に入れる予定。
・減災教育を系統的に実施するため,教科横断的な内容について研修資料を活用し,防災計画に導入予定。

3)実践の成果
減災(防災)教育活動・プログラムの改善の視点から
・新学習指導要領、ESDの視点で、防災教育を位置づけることにより、「防災教育を通した生きる力の育成」や「持続可能な社会の構築」について意識的に取り組むことができた。

児童生徒にとって具体的にどのような学び(変容)があり、どのような力(資質・能力・態度)を身につけたか。
・災害発生のメカニズムや校区内の起こりうる災害等について理解することができた。(知識・理解)
・新聞記事の掲示や防災グッズゲーム,防災士の講話などを通して,災害時の未知なる状況においての判断力,問題解決能力を高めることができた。(判断力,課題発見・解決能力)
・防災の学びを通して、災害と自分との関係性に気づかせ,当事者意識をもって減災や持続可能な地域づくりに向けて取り組む態度を育むことができた。(主体性)

教師や保護者、地域、関係機関等(児童生徒以外)の視点から
・教師が昨年度の災害の経験を生かし,減災を意識して,地域を題材とした教材研究を行った結果,生徒が当事者意識をもって学習に取り組むことができた。
・熊野町危機管理課との連携を通して,防災教育のフォーマットを作成することができ,今後小学校との連携を通して,さらに減災教育への推進への弾みがついた。

4)実践から得られた教訓や課題と次年度以降の実践の改善に向けた方策や展望
・教育活動全体を通した防災教育を推進するために,教科横断的に防災について取り組む必要がある。
→「学校安全計画」に防災の項目を増やすか,新たに防災教育計画を作成し,学校全体で防災に関わる動きを共有し,全職員が何らかのかたちで防災に関する指導を行う。
・体験的な活動を通して,自助だけでなく,共助・公助について生徒に意識させる必要がある。
→さまざまな場面を想定した避難訓練の実施,生徒会活動での取組
・保護者や地域と連携した,「いのちを守る」防災教育の推進。
→防災に関する取組の発信,情報交換

 

活動内容写真

活動において工夫した点

・2,3年生を中心に教科に関連づけた指導を行うことができた。
・「警戒レベル4」発令直後に,アンケートを実施し,全学年道徳の授業を行うことで減災や警報発令時の行動について生徒に意識付けさせることができた。
・委員会活動を通して,全校生徒・教職員への啓発活動を行うことができた。
・町内火災発生時に,生徒や教職員が安全を第一に考え,迅速に対応することができた。

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