地域の未来を救え!~津乃峰子ども防災リーダーをめざして~

阿南市立津乃峰小学校

活動に参加した児童生徒数/1~6学年137人
活動に携わった教員数/17人
活動に参加した地域住民・保護者等の人数/630人

実践期間2018年4月1日~2019年3月31日

活動のねらい

児童が生涯に渡って災害に対し周りと協働し、乗り越えていく力を身につける。そのために、「自分の身を守る知識や技能、判断力と行動力(自助)」と「家族や友だち、地域の人々と連携・協働する力(共助)」を全教育活動で培い、実施し、「防災」について学校と家庭・地域が連携して児童の命を守る体制を構築する。

活動内容

1)実践内容・実践の流れ・スケジュール
①児童が主体的に行動する減災・防災教育の推進
・毎月一回(年15回)実施の緊急地震速報システムを使った避難訓練。
・様々な教科・領域における「防災クロスカリキュラム」による減災・防災学習。
・地元保育園児に伝える「防災出前授業」・一人暮らし高齢者へ配布する「手作り防災頭巾」。
・津乃峰町全戸に配布する高学年作成の「安全・安心・防災マップ」。
・防災チャレンジクラブの児童によるチャレンジ新聞の発行と校内放送での呼びかけ。
②家庭や地域と連携した減災・防災教育の推進
・年に5回実施の「実践的防災教育推進委員会」(地域自主防災会・学校・PTA・行政が参加)。
・毎年6月保護者と連携した「親子避難訓練」「引き渡し訓練」&地域自主防災会との交流会。
・バスを利用した「親子避難所宿泊体験学習」(夏冬年2回)の実施。
・地域の避難場所(防災公園)を活用し、非常時の施設を利用した非常食作り等の防災活動の実施。
・小学校での全町運動会で、地域住民や自主防災会との防災啓発種目の実施。
③地域を誇れる心の育成
・毎年5月、異学年集団で行う「津峯山登山」や11月実施の「津乃峰町避難所巡りウォークラリー」で、地域を知り、良さを発見し、昔の津波被害の話を聞くことで、災害から命を守っていく方法を考える。

2)9月研修会の学びの中から自校の実践に活かしたこと。研修会を受けての自校の活動の変更・改善点。
  昨年度まで(助成金を受ける前)の実践と今年度の実践で変わった点。助成金の活用で可能になったこと。
・9月研修会で本校の防災教育の方向性に自信を持つことができた。また、研修会で知り合った先生方との情報交換・交流から、様々な防災学習の在り方について学ぶことができた。
・被災地の見学と、被災された方の生の声を伺うことで、いかに子どもの命を守りきるかという視点で、本校の防災教育の見直しができた。また、この内容を取り入れた研修報告を校内研修や地域座談会で行うことで、全教職員や地域住民が防災教育の重要性を再認識し、教職員間の学び合いが深まり、教材開発が進んだ。
・今年度の実践での変更点
①地域ごとに分かれて、防災マップ作製中間報告を実施。地域自主防災会からアドバイスを受け、さらに地域で活用できるものに仕上げた。
②避難所巡りウォークラリーでは、海沿いの地域を中心に実施。避難タワーや海に近い町外の避難場所となっている神社もコースに盛り込んだ。
③保育所出前授業を1年生と5年生が合同で実施。保育所の園児を連れて近くの避難所「総合センター」への避難訓練を実施。
④卒
業式式典(卒業式練習時)における避難訓練を新たに計画・実施。
・防災教育教材の購入で、教職員の防災教育への意識向上と6年間を見通した指導内容の改善が図られた。

3)実践の成果
減災(防災)教育活動・プログラムの改善の視点から
・これまでは、まず避難し命を守ることを主として活動をしてきたが、「助かった命を大切にし、生き延びる」ことにも活動が広がった。また、一人ひとりの児童が、自己の課題として捉え、地域の一員として今の自分にできることを見つけ、それを実践していく意識と態度を培う防災クロスロードや防災クロスカリキュラムの授業の構築により、ESD教育の具現化に繋がった。

児童生徒にとって具体的にどのような学び(変容)があり、どのような力(資質・能力・態度)を身につけたか。
・防災をより身近な当たり前のものとしてとらえ、日頃の防災活動の必要性を再確認した。素早く避難する力、避難時の的確な判断力・行動力が身についてきた。防災を自己の問題としてとらえ、自分の周り・地域へと意識が広がった。地域の方との普段からの交流の重要性の理解と主体的な行動力が身についてきた。

教師や保護者、地域、関係機関等(児童生徒以外)の視点から
・教職員の防災に取り組む意欲が高まり、指導力や防災教育のスキル向上が見られた。
・様々な命に関わる防災学習・活動を進め、保護者や地域を巻き込んだ活動をすることで、学校と家庭・地域、自主防災組織などの各組織や企業との連携が一層強まり、地域住民の減災・防災意識が高まった。
・毎月1回、家庭防災通信「ブリッジ」を発行し、各家庭で防災の話し合いを持てるようにした。また、その家庭での話し合いの内容をフィードバックすることで、更なる家庭防災力の資質向上が見られた。
・学校(子ども)・保護者・自主防災組織・地域住民が参加する「津乃峰防災と人権シンポジウム『生きのこる町・つのみね会議』」(第1回)を開催し、それぞれの立場で、防災への思いや今後、町の住民全員が助かるための子どもなりの提案や方策等を話し合い,「津乃峰町」への思いを深め、共有することができた。

4)実践から得られた教訓や課題と次年度以降の実践の改善に向けた方策や展望
・継続して取り組める組織運営体制の確立と人材育成。・取り組みやすい防災学習指導の構築。
・昭和南海地震やチリ津波の実体験を活かした被災人材ネットワークづくりと伝承教材の開発・保存。

活動内容写真

  • 年15回の避難訓練

  • 清掃時や予告なしの避難訓練

  • 外国語活動の導入授業

  • 「防災チャレンジクラブ」の活動(テント張り)

  • 防災クロスロード「あなたはどっち」(6年生)

活動において工夫した点

・阿南市内幼小中学校防災教育部会や近隣地域との連携で、共に学ぶ環境づくり。
・一次避難場所→二次避難場所→三次避難場所と段階的に避難場所を変更したり、授業中・休み時間・清掃時など様々な時間を使ったりして、スモールステップで積み上げる避難訓練。
・小学1年生から、自己の課題としてとらえ、主体的・対話的・深い学びとなる防災学習の実践。
・防災学習の経緯が分かる、進化する防災学習室。

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