中学生と地域が協働する防災教育 -多様な減災・防災の体験的活動を通じて-
仙台市立南吉成中学校
活動に参加した児童生徒数/小6・中1~3学年382人
実践期間2014年6月~2014年12月
活動のねらい
本校の教育実践では、大震災の被災者の話を聞き、被災地を視察して復興支援活動と被災者との交流を深めることで大震災の教訓を学ぶとともに、減災・防災の知識とスキルを取得してそれらを活用できる実践力を培う。そして、“支えられる人”から“支える人、支え合う人”へ、心と姿勢の変容を図り、豊かな人間性を育む。
活動内容
1)実践内容・実践の流れ・スケジュール
実践のねらい
実 践 概 要
時期
①震災と教訓を学ぶ
②復興を知る、支援する
○津波被災農家の方々による講演会
○津波被災農家に弟子入り体験・・・津波被災地を視察し、稲作から綿花栽培を行っている畑で除草作業を支援
○仙台七夕祭で清掃奉仕活動・・・会場等でゴミ回収等
7月上旬・全校生徒
7月下旬・全校生徒
8月上旬・約70人
③減災・防災の知識、スキル、行動を習得する
○校内・炊き出し調理コンテスト
○防災教育課題のテーマ別学習・・・10テーマで調査等
○生徒が主導する地域防災訓練・・・3年生が6班に分かれ、避難者役として小6と中1・2、住民等が参加
10月上旬・1年生
10月上旬~3年生
11月14日
計630人が参加
④実践を発信する
○ユネスコスクール東北大会にて生徒会が成果発表
東北各県の教員等が集う研究会で生徒が実践を発信
○その他、ボランティアスピリット賞に受賞参加・発信
10月中旬
11月下旬
⑤実践を評価する
○学校内でのPDCA自己評価と学校関係者評価
○外部・第三者評価:教育研究会等への公表による評価
11月~
2)9月研修会の学びの中から自校の実践に活かしたこと。研修会を受けての自校の活動の変更・改善点。
昨年度まで(助成金を受ける前)の実践と今年度の実践で変わった点。助成金の活用で可能になったこと。
本校の教育実践「生徒が主導する地域防災訓練」では、総参加者数が昨年が550人から今年が630人と増加しており、炊き出し調理の食数が増えたことで、調理する生徒数と調理時間が限られている中で、増えた分量を短時間で調理するため、校舎外部に設置するかまどを製作して熱効率と分量増に対応することができた。
3)実践の成果
①減災(防災)教育活動・プログラムの改善の視点から
本校では、実践内容に示した取組において、生徒に四件尺度法による質問紙調査やレポート作成を実施している。レポート作成は津波被災農家弟子入り体験で行っており、生徒はレポートを書き、保護者が読んでコメント欄に記入後に学校に提出している。このように本校の教育活動では、教員だけでなく生徒や保護者から量的・質的に評価をいただき、成果や効果の検証と改善を図っている。また、地域と連携する実践においては、住民の視点からも評価をいただくためにアンケート調査と学校関係者による評価活動も実施している。
②児童生徒にとって具体的にどのような学び(変容)があり、どのような力(資質・能力・態度)を身につけたか。
生徒が主導する地域防災訓練では、生徒会が指導的立場となって中学3年生約100人が避難所設営・運営、集団避難の誘導、炊き出し調理、救急救護、災害状況・収集、対策本部の6班に分かれて活動し、避難者役として小6、中1・2年生と住民等の500人を超える人々が参加する。この実践から3年生は、これまでに学んだ知識とスキルを活用して実行する力を培い、“支えられる人”から“支える人”へと心と姿勢の変容を図ることができている。このことは、アンケート調査で、3年生が選択肢“大いに”を選択した割合が「この訓練は地域防災に貢献できる」80.4%、「生徒が訓練したり協力したりすることは必要」81.4%、「この訓練などの防災教育は大切だ」84.5%であり、選択肢“まあまあ”を加えると16調査項目の全てが9割を超え、自己肯定感を含む心的変化から確かめられる。
③教師や保護者、地域、関係機関等(児童生徒以外)の視点から
町内会や婦人会、老人クラブ、消防団、PTAなど18の地域組織が学校・地域支援組織「チームMY・SP」を昨年度に設立して、学校と地域の相互支援を行っている。地域の防災力の向上や安全・安心な地域作りは、学校と地域の共通する課題であることから、両者が連携・協働することは極めて重要な視点である。本校の地域防災訓練では、この視点に基づきMY・SPが3年生の6つの活動班を分担して補佐・支援する組織的体制を整えて実践しており、両者の教育的成果や効果を高めることができるものと考えている。
4)実践から得られた教訓や課題と今後の改善に向けた方策や展望
中学生は“助けられる人、支えられる人”から“助ける人、支える人”になる教育実践をすることにより、大いに心の成長を促すことができる。実践内容で示した津波被災農家に弟子入り体験のアンケート調査では、選択肢“大いに”を選択した3年生が「人を助けることは大切」83.5%、「人を助け、支え合っていきたい」84.8%、「夢や希望を持ち続け、頑張りたい」83.5%であり、3年間の調査からは1年時の結果より高まりを見せている。このことにより、中学生には“助ける人、支える人”になれる教育実践が重要かつ必要と考える。
しかし、ここに示した調査項目の割合が100%にならないことは課題と捉える必要があり、全ての生徒が「人が人を助けたり、支えたりすることが当たり前である」と“大いに”思い感じられる教育実践に改善しなければならない。
5)その他
本校は、平成25・26年度に防災教育チャレンジプラン(主催・同実行委員会、内閣府(防災担当))に2カ年採択され、支援と助言をいただき教育実践の拡充に挑んでいる。
実践のねらい | 実 践 概 要 | 時期 |
①震災と教訓を学ぶ ②復興を知る、支援する |
○津波被災農家の方々による講演会 ○津波被災農家に弟子入り体験・・・津波被災地を視察し、稲作から綿花栽培を行っている畑で除草作業を支援 ○仙台七夕祭で清掃奉仕活動・・・会場等でゴミ回収等 |
7月上旬・全校生徒 7月下旬・全校生徒 8月上旬・約70人 |
③減災・防災の知識、スキル、行動を習得する |
○校内・炊き出し調理コンテスト ○防災教育課題のテーマ別学習・・・10テーマで調査等 ○生徒が主導する地域防災訓練・・・3年生が6班に分かれ、避難者役として小6と中1・2、住民等が参加 |
10月上旬・1年生 10月上旬~3年生 11月14日 計630人が参加 |
④実践を発信する |
○ユネスコスクール東北大会にて生徒会が成果発表 東北各県の教員等が集う研究会で生徒が実践を発信 ○その他、ボランティアスピリット賞に受賞参加・発信 |
10月中旬 11月下旬 |
⑤実践を評価する | ○学校内でのPDCA自己評価と学校関係者評価 ○外部・第三者評価:教育研究会等への公表による評価 |
11月~ |
昨年度まで(助成金を受ける前)の実践と今年度の実践で変わった点。助成金の活用で可能になったこと。
本校の教育実践「生徒が主導する地域防災訓練」では、総参加者数が昨年が550人から今年が630人と増加しており、炊き出し調理の食数が増えたことで、調理する生徒数と調理時間が限られている中で、増えた分量を短時間で調理するため、校舎外部に設置するかまどを製作して熱効率と分量増に対応することができた。
3)実践の成果
①減災(防災)教育活動・プログラムの改善の視点から
本校では、実践内容に示した取組において、生徒に四件尺度法による質問紙調査やレポート作成を実施している。レポート作成は津波被災農家弟子入り体験で行っており、生徒はレポートを書き、保護者が読んでコメント欄に記入後に学校に提出している。このように本校の教育活動では、教員だけでなく生徒や保護者から量的・質的に評価をいただき、成果や効果の検証と改善を図っている。また、地域と連携する実践においては、住民の視点からも評価をいただくためにアンケート調査と学校関係者による評価活動も実施している。
②児童生徒にとって具体的にどのような学び(変容)があり、どのような力(資質・能力・態度)を身につけたか。
生徒が主導する地域防災訓練では、生徒会が指導的立場となって中学3年生約100人が避難所設営・運営、集団避難の誘導、炊き出し調理、救急救護、災害状況・収集、対策本部の6班に分かれて活動し、避難者役として小6、中1・2年生と住民等の500人を超える人々が参加する。この実践から3年生は、これまでに学んだ知識とスキルを活用して実行する力を培い、“支えられる人”から“支える人”へと心と姿勢の変容を図ることができている。このことは、アンケート調査で、3年生が選択肢“大いに”を選択した割合が「この訓練は地域防災に貢献できる」80.4%、「生徒が訓練したり協力したりすることは必要」81.4%、「この訓練などの防災教育は大切だ」84.5%であり、選択肢“まあまあ”を加えると16調査項目の全てが9割を超え、自己肯定感を含む心的変化から確かめられる。
③教師や保護者、地域、関係機関等(児童生徒以外)の視点から
町内会や婦人会、老人クラブ、消防団、PTAなど18の地域組織が学校・地域支援組織「チームMY・SP」を昨年度に設立して、学校と地域の相互支援を行っている。地域の防災力の向上や安全・安心な地域作りは、学校と地域の共通する課題であることから、両者が連携・協働することは極めて重要な視点である。本校の地域防災訓練では、この視点に基づきMY・SPが3年生の6つの活動班を分担して補佐・支援する組織的体制を整えて実践しており、両者の教育的成果や効果を高めることができるものと考えている。
4)実践から得られた教訓や課題と今後の改善に向けた方策や展望
中学生は“助けられる人、支えられる人”から“助ける人、支える人”になる教育実践をすることにより、大いに心の成長を促すことができる。実践内容で示した津波被災農家に弟子入り体験のアンケート調査では、選択肢“大いに”を選択した3年生が「人を助けることは大切」83.5%、「人を助け、支え合っていきたい」84.8%、「夢や希望を持ち続け、頑張りたい」83.5%であり、3年間の調査からは1年時の結果より高まりを見せている。このことにより、中学生には“助ける人、支える人”になれる教育実践が重要かつ必要と考える。
しかし、ここに示した調査項目の割合が100%にならないことは課題と捉える必要があり、全ての生徒が「人が人を助けたり、支えたりすることが当たり前である」と“大いに”思い感じられる教育実践に改善しなければならない。
5)その他
本校は、平成25・26年度に防災教育チャレンジプラン(主催・同実行委員会、内閣府(防災担当))に2カ年採択され、支援と助言をいただき教育実践の拡充に挑んでいる。
活動内容写真
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活動において工夫した点
毎年、生徒が主導する地域防災訓練を実施することは、地域防災を担うことができる生徒を誕生させることになり、実行力を培った卒業生が年々増えることで確実に地域防災力を高めることにつながる。また、中学生と住民が関わる教育実践を行うことは、年代を超えた協力体制と繋がりを生む機会を設けることになり、安全・安心な地域作りに波及する可能性も高まる。さらには、このような教育実践を担当する教員が転任しても、この訓練を指導的立場で関わっている生徒会と支援組織MY・SPが実践を継続することができるとともに、学校の休業日や夜間の訓練についても実施の可能性を高め、実践内容の拡充を図ることもできると考える。
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