地域とともにはぐくむ防災・減災教育

北海道釧路市立青葉小学校

活動に参加した児童生徒数/全学年308名
活動に携わった教員数/35名
活動に参加した地域住民・保護者等の人数/350名

実践期間2024年4月1日~2025年3月31日

活動のねらい

1.地震や津波等の災害に対して自分の身は自分で守ることができるように身の守りや,備蓄品について防災や減災について理解を深める。
2.どこに,どのように避難するとよいか,どのように助け合っていくとよいか,自分なりにできることはないか考え,判断し,行動選択ができようにする。
3.地震や津波などからどのように避難し,対応するとよいか課題を自分ごととして捉え,身を守る行動をとるとともに,自分でできる活動を広く知り,進んで行おうとする。

活動内容

1)実践内容・実践の流れ・スケジュール
4月 全学年 地震や火災が発生したときの身の守り方,避難口,避難経路等の確認。自分の身は自分で守る意識を持ち,身を守るために気をつけることやできることを考える。
5~7月 5学年 総合的な学習の時間「防災マイスター」20時間扱い

地震や津波への備えを知ろう

・釧路市の防災についての取り組みを調べる。【公助】

・マイ防災バックを考える。【自助】

・校区内幼稚園や高齢者施設の方の避難訓練手伝い【共助】

*防災士による出前授業 *備蓄品見本品の展示
8月末 全学年 「一日防災学校」

【各学年 外部講師による体験型の学習を2時間実施】

1年:煙体験,防災かるた,消防車見学

2年:地震発生の仕組み,防災ゲーム

3年:津波発生装置を用いた実験,地震学習

4年:水害についての実験や講義,(目隠し状態での)避難訓練ゲーム

5年:備蓄品展示,防災食試食,自衛隊救助道具等の見学

6年:段ボールベットづくり,DOはぐ

【避難訓練】

全校)震度6地震発生→大津波警報発令を想定した避難訓練(保護者や地域住民も参加)

*各体験型学習に必要な教材教具や非常食の準備

*外部講師の協力(市役所防災危機管理課・釧路気象台・釧路消防本部・防災士ネットワーク・

損保ジャパン・北海道教育大学釧路校・地元消防団・防災士・釧路振興局・自衛隊釧路駐屯地)
9~11月 4学年 「自然災害にそなえるまちづくり」

地震,水害,火山噴火,雪害などに備えるまちづくりを学習

・地震や津波を中心に災害から地域の安全を守るための諸活動について理解するとともに、各種の具体的資料を通して、必要な情報を調べ,まとめる技能を身に付ける。

・減災や防災に向けて自分たちでできることや大切なことを考え,広く知らせようとする。

*釧路市防災危機管理課職員や防災士,NPO法人による出前授業

*探求学習に必要な教材教具の準備
5学年 総合的な学習の時間「防災マイスター」20時間扱い

地震や津波への備えについてわかったことを伝えよう

・前期に調べたことや一日防災学校を通してみんなに知らせたいことを発信する。

*気象台「防災展示コンクール」への出品 (気象台台長賞 9名 佳作20名入賞)

*「日めくり防災カレンダー」の作成

*学習発表会における「防災についての成果発表」
2月 5学年 「防災マイスター」 冬の防災DAYキャンプ実施

・体育館の暖房や照明を落とした状態でグループごとに避難ブースづくりや寒さや暗闇を解消させるための工夫等を考えながら体験する。

*防寒や暗闇対応グッズや展示品の用意

*非常食の準備

「釧路市冬の防災訓練」

・5年生の参加
2月 5学年 総合的な学習の時間 「釧路市冬季防災訓練」参加(会場校としての協力)

・大地震や大津波警報を想定した避難訓練への参加(保育園幼稚園児や高齢者へのサポート,案内)

・給水車からの水くみ体験,救援物資バケツリレー参加,防災グッズやブース参観
3月 全校 全校朝会「命を守る講話~東日本大震災を通して~」

・防災講話

・防災に関するパネルや避難グッズ展示
2)9月研修会の学びの中から自校の実践に活かしたこと。研修会を受けての自校の活動の変更・改善点。昨年度まで(助成金を受ける前)の実践と今年度の実践で変わった点。助成金の活用で可能になったこと。
・「社会に開かれた防災の教育課程」:児童が主体的に地域の防災(減災)に関わり、それを発信することができた。

・「体験活動の充実(本物に出会う)」:1日防災学校や冬の防災デイキャンプの計画、実施。

・「災害を知る」:「いのちの日(3/11)」に合わせた防災展示を通して地域の災害の特徴を知り、減災について考えるきっかけとすることができた。

・「防災カレンダーの地域配布(助成金の活用)」:児童の取り組みや思いを広く周知できるようになった。

3)実践の成果
①減災(防災)教育活動・プログラムの改善の視点から
児童が地域で起こりうる災害(主に地震・津波)を理解し、防災・減災の主体となって学びを深めたり、わかったことや思いを家庭や地域に発信したりしたことで、地域の防災意識を高める一助となった。

②児童生徒にとって具体的にどのような学び(変容)があり、どのような力(資質・能力・態度)を身につけたか。
「災害は防ぐことができない(必ず起こる)が、一人ひとりの行動によって被害を小さくすることはできる」という減災の考え方に立つことで、どうすれば自他の生活や命を守ることができるかを主体的に考えるようになった。

③教師や保護者、地域、関係機関等(児童生徒以外)の視点から
・地 域:「釧路市冬季防災訓練」を、本校を会場として実施。(2/14)

・保護者:北海道という地域特性から、TKB+Wの「W」の重要性を知り、減災への備えを充実させるきっかけとなった。

・教 師:大部分が未災者ではあるものの、これまで以上に災害に関する知識や情報量が増えた。「D-est(北海道災害時学校支援チーム)」への参加。防災士の資格取得

4)実践から得られた教訓や課題と、次年度以降の実践の改善に向けた方策や展望
・教訓:「防災は不可能だが、減災は可能である」

「日頃の備えによって、災害から生活や命を守ることができる」

・課題:知識はあるものの被災経験の無い教員と児童の活動が、実際の災害に対してどれくらい役に立つのかという不安がある。教員が入れ替わっていく中で、同等の活動を継続していくこと。

・改善に向けた方策、展望:学校と地域を繋ぐネットワークの構築(NPOとの連携)。防災学習シートの活用。児童が主体的に減災や避難、避難所運営に関わっていけるようにするための防災学習の計画。

活動内容写真

活動において工夫した点

・児童が深く考えられるよう、専門家のサポートも受けながら体験的な活動を進めたこと。

・児童が考えたことを様々な形で発信(学習発表会、防災カレンダー、防災展示アイディアコンクール)することで、地域の防災意識の向上に貢献できたこと。

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