防災教育において,児童が自ら命を守り抜こうとする「主体的に行動する態度」の育成

大牟田市立みなと小学校

活動に参加した児童生徒数/1~6学年273人
活動に携わった教員数/20人
活動に参加した地域住民・保護者等の人数/30人

実践期間2015年5月1日~2016年2月29日

活動のねらい

本校の学校教育目標は,「自他を大切にし,豊かな心と健康な身体を持ち,主体的に学び合える児童の育成で
ある。防災教育で目指す「災害に適切に対応する能力の基礎を培う」ことは,「『生きる力』を育む」ことと関連し,本校の学校教育とも密接に関連している。本校の防災教育のねらいは,次の3点である。
①地域で起こりやすい災害について理解し,安全な行動をとる為の判断に生かすことができる。
②災害時における危険を認識し,日常的な訓練を生かして自らの安全を確保することができる。
③自他の生命を尊重し,災害時及び発生後に他の人や集団,地域の安全に役立つことができる。

活動内容

1)実践内容・実践の流れ・スケジュール
①避難訓練【全校児童】5/19→大牟田市消防署員指導【地震→津波→避難を想定】
②集団下校【全校児童】5/21→【ねらい:不審者の出没や交通事故・自然災害に際して,地域別に集団で下校することにより,安全確保を図ること】
③防災教育に関する指導計画の策定【職員】6/2
④防犯教室【全校児童】6/5【ねらい:不審者に対する防犯意識の育成】
⑤校区危険箇所探検学習【3年生】7/3→校区子ども見守り隊7名の方々の協力。
【ねらい:子どもたちが,防災の観点(川・溝・低い土地等)・交通事故(見通しが悪い・車の交通量が多い等)の観点・不審者の観点(空き家・人通りが少ない等)から,子ども見守り隊の方々と校区を探検し,みなと小学校の校区安全マップを作成し,自助・共助の能力を身に付けさせる。】
⑥水上安全救急法講習会【5・6年生】7/10
→日本赤十字社福岡支部防災ボランティアリーダー田中 一義 先生 【ねらい:着衣泳・ペットボトルを使って,水難時の身体を浮かせる技能を身に付けさせる。】
⑦PTA救急法講習会 (6/23・7/16)
⑧野外学習【5年生】(7/22~23)→熊本県阿蘇市防災士薄井良文先生による野外での救急法指導・チームビルディング
【ねらい:野外での自然災害に対する救助方法を身に付ける。】
⑨職員研修会【気仙沼 減災教育プログラム】参加職員からの報告会(9/17)
⑩ 登校・下校時の避難場所の設定・依頼と児童に対しての避難場所の確認(9月)
【大牟田市の洪水ハザードマップから,みなと小学校校区のほとんどが50cmから3m未満の水位となる。下校時は帰宅を遅らせるなどの措置ができるが,登校時は保護者の判断になるので,登校中はどうなるのか。→校区での避難場所を全児童に周知した。】
⑪防災教育全校集会【全校児童】(10月)→気仙沼 減災教育プログラム研修会参加職員から全校児童に対しての指導【ねらい:ものが落ちてこない場所,倒れてこない場所が基本の徹底:(だんごむしのポーズの実施→放送をよく聞く→避難場所への速やかな移動→高学年は回りにいる低学年の児童と一緒に行動→集合場所はタイヤ前→職員は自分のいる場所から自分の教室まで急いで確認)】
⑫防災アドバイザーによる防災教育に関する出前授業
(福岡管区気象台)【5年生】(10/22)
【「流れる水のはたらき」・「経験したことのない大雨その時どうす         る」の出前授業】

2)9月研修会での学びから自校の実践に活かしたこと,研修会を受けての自校の活動の変更・改善点,
  昨年度まで(助成金を受ける前)の実践と今年度の実践で変わった点,助成金の活用で可能になったことなど。
行政・地域等と連携する事で,児童が自ら命を守り抜こうとする「主体的に行動する態度」の育成に繋がった。

3)実践の成果
① 減災(防災)教育活動・プログラムの改善の視点から
学期ごとに実施していた避難訓練を毎月実施することにした。そのことにより,児童の災害発生時の対応が迅速かつ適切なものへと変容した。予告なしの訓練でも3分以内に避難を完了できるようになった。

② 児童生徒にとって具体的にどのような学び(変容)があり,どのような力(資質・能力・態度)を身につけたか。
児童自らの命を守り抜こうとする「主体的に行動する態度」の育成(自助),児童が支援者となる視点から(共助),「安全で安心な社会づくりに貢献する意識の向上」地域住民や保護者・関係機関との連携体制を構築・強化する防災訓練等(公助)の手法の開発・普及できた。

③ 教師や保護者、地域、関係機関等(児童生徒以外)の視点から
登下校時の緊急避難所を各施設に依頼したことにより,地域ぐるみで防災に対する意識を深めることができた。(地域)また,毎月の避難訓練により,火災時と地震時ぞれぞれの対処法とその理屈を理解することができた。(教師)

3)実践から得られた教訓や課題と今後の改善に向けた方策や展望
津波の仕組みなど,災害に対する知識を身につけさせる。学年ごとに指導すべき内容を整理して,計画的に指導を進めていく。

活動内容写真

活動において工夫した点

休み時間に予告なしで避難訓練をすることにより,上級生が下級生の避難を促すようにするなど,共助の視点をもって訓練を行った。市内の断水時には,何名もの本校児童・教職員が高齢者の給水補助を自発的にしていた。

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