熊本地震からの復興

宇城市立小川中学校

活動に参加した児童生徒数/1~3学年393人
活動に携わった教員数/30人
活動に参加した地域住民・保護者等の人数/30人

実践期間2016年4月8日~2017年3月24日

活動のねらい

熊本地震からの学びを生かし、学校と地域が連携をしながら、地域に貢献する人材を育成する

活動内容

1)助成活動内容
1 熊本地震の学びを生かす
(1)避難訓練 年2回実施
  第1回 4月27日(水)
  熊本地震後、本校は4月27日に授業を再開した。当日の5時間目に避難訓練を実施。余震が続く中、ヘルメットを全員が着用し避難訓練をした。
  第2回 11月4日(金)
  熊本全県下で、避難訓練をシェイクアウト訓練と合わせて実施。(シェイクアウト訓練とは、地震時に取るべき行動を具体的に示した訓練である。)
(2)連絡態勢の変更
 熊本地震の際に、電話連絡網で全家庭に連絡を取ろうとしたが、連絡が行き届かないことがあった。この点を踏まえ、電話連絡からメーリングリストによる一斉送信へと変更。学校のHPに災害時の緊急連絡板を設置。
(3)校内研修
 地震後の対応を、校長のリーダーシップのもと優先順位づけを行い全職員で取り組んだ。
・生徒の家庭被災状況把握 ・校内の被害状況確認 ・地域の危険箇所の確認情報は、すべて全職員で共有し、初期目標を共有して行動した。
(4)生徒会リーダー研修
 8月11日(木)・12日(金)に生徒会でリーダー研修を実施。研修の中で、学校行事をどのような思いで行いたいかを討議した。「熊本地震で被害にあった方などに元気を与えたい」などの意見が出された。

2 学校と地域の連携
(1)学校行事で地域の方を笑顔に
 9月に体育大会を実施。応援団は、普段は3つあるものを1つに統合。「がんばろう熊本 負けんばい小川 小川中大好き」の文字とともに全校生徒で地域にメッセージを伝えた。 11月の文化祭では、地震の写真等でスライドをつくり、地域の方へ復興に向けたメッセージを伝えた。生徒全員と地域の方とで「ふるさと」を全員で合唱した。
(2)NPOとの連携
 減災教育プログラムに参加した際につながったNPOのSEEDS Asiaが小川地域の仮設住宅で活動をされていたので、生徒会としてその活動に参加できるようにつないでもらった。その後、正式に地震後の生活を支える機関として、地域社会福祉協議会の中に支え合いセンターが設置され、生徒会が一緒に活動を行うこととなった。

3 地域に貢献する人材
(1)小川町仮設住宅でのもちつき体験
 小川町の仮設住宅で、住民の方々を笑顔にするためのイベントとして支え合いセンターが餅つきを実施。生徒会も一緒に活動を行った。その活動の様子が、社会福祉協議会のHP及び広報誌に掲載された。

2)成果
成果① 減災(防災)教育活動・プログラムの改善の視点から
熊本地震で起きたことやその時の対応を、その時だけのものにせず次回地震が起きた時の対応に生かす必要がある。職員からその都度出てきた意見を次年度の防災年間カリキュラムに落とし込む必要がある。
・年2回の避難訓練から回数を増やす。
・避難訓練の種類を増やす。(休み時間や登下校時など任意の時間に実施、引き渡し訓練など)
・災害時、学校が避難所になった場合シミュレーションを行う。

成果② 児童生徒にとって具体的にどのような学び(変容)があり、どのような力を身につけたか。
全学年で生徒アンケートを実施。
・避難訓練や災害から命を守る勉強は必要だと思いますか? はい 95% いいえ 5%
・熊本の復興に貢献したいと思いますか?         はい 93% いいえ 7%
学習に対する意識と、復興への思いの高まりが見られた。「将来の小川町がどのような町になってほしいか」、という問いに対し
・危険な場所などがのっているマップをつくる。 ・誰もが楽しめるイベントをして絆を深める。
・近所の人が避難できたか確認できるようにしておく。 ・家族とどこに逃げるかを決めて確認しておく。
などの意見が出るなど、未来の町づくりを考えることができた。

成果③ 教師や保護者、地域、関係機関等の視点から
熊本県では学校が防災拠点として機能するように保護者や地域住民が学校運営に参加する「コミュニティスクール」の導入を進めようとしている。防災を一つの軸として、学校と地域が連携をし、地域に貢献する人材を育成していくことが求められている。小川中では地域の方と連携して、朝から生徒に対し講話を行う「小川ふれあい塾」を実施し、コミュニティスクールに向けた活動を進めている。今後、防災を連携のための活動の軸の一つとして、学校運営にもつなげていきたい。

3)実践から得られた教訓や課題と今後の改善に向けた方策や展望
生徒の災害に対する危機意識は時間の経過とともに徐々に低くなっており、振り返りを繰り返さねば忘れてしまう。年間カリキュラムの中に減災・防災のための活動を明確に位置づける必要性がある。そして、減災教育を通じどんな生徒を育てたいのかを明確に示し、全職員でそのための方策を共有した上で生徒に自主性を育てるための指導をしていく必要がある。

活動内容写真

活動において工夫した点

生徒会の自主的活動を重視し、生徒が自ら気づき、考え、行動するような活動を仕組んだこと。生徒が自ら活動する伝統を創りあげることによって、教職員が異動しても防災に対応可能なシステムが維持、継続できる。

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