「学校における安全・安心づくりのために主体的に行動する生徒の育成」

広島市立戸山中学校

活動に参加した児童生徒数/1~3学年60人

実践期間2014年4月1日~2015年3月31日

活動のねらい

生徒や教職員を対象にした防災教育としての救命救急講習や避難訓練などを実施し、「学校における安全・安心づくり」の意識を高めるとともに、地域の防災マップの作製や「ツキノワグマ学習会」の実施 、高齢者疑似体験学習・介護体験学習などの実施を行い、生徒会自主防災活動を通じて生徒自らの命を守りぬく力を育成する。

活動内容

1)実践内容・実践の流れ・スケジュール
4月
下旬
6月
下旬
7月上・
下旬
9月
中旬
10月
上旬
12月
中旬
2月
中旬
3月上・
中旬
○火災対応・避難訓練 ○老健福祉施設訪問及び介護支援学習 ○救命救急法Web講習実施・救命救急法実技講習
○ツキノワグマ学習会開催
○不審者対応・避難訓練
○地震対応・避難訓練 ○火災対応・避難訓練 ○生徒会自主防災研修
○日本赤十字の高齢者疑似体験及び防災研修
○防災家庭学習(防災検定事前指導) ○ジュニア防災検定の実施
○防災マップの作製
2)9月研修会の学びの中から自校の実践に活かしたこと。研修会を受けての自校の活動の変更・改善点。
  昨年度まで(助成金を受ける前)の実践と今年度の実践で変わった点。助成金の活用で可能になったこと。
9月の研修で本校養護教諭から『鹿折中学校を訪問させていただいたとき、生徒会が中心となった防災教育をされていたことが印象に残った』との報告を受けた。本校においても昨年度より生徒会執行部を中心とした自主防災組織を立ち上げていたことから、今年度は、防災教育においても生徒会を中心に取り組むようにした。例えば、日本赤十字広島支社による高齢者疑似体験学習や避難時介護支援などの防災研修を生徒会が中心に行い、災害に必要とされる行動を考える機会も増え、生徒や教職員の災害に対する危機意識が高まった。

3)実践の成果
減災(防災)教育活動・プログラムの改善の視点から
昨年度に引き続き防災教育を行ってきたが、今年度は、特に、中学生が主体となり高齢者に手をさしのべ、地域社会の一員として地域の方々を助けることができる生徒の育成を目指した結果、生徒会自主防災組織を中心とした活動を計画立案することができた。今後は、小学校との連携と組織分担の改善を図りたい。

児童生徒にとって具体的にどのような学び(変容)があり、どのような力(資質・能力・態度)を身につけたか。
実際に高齢者疑似体験を行うことで「身体が思うように動かなくなることが分かった」「高齢者の手助けをしたいと思う」などの生徒の感想が聞かれ、災害時の避難所における高齢者の身体の不自由さを知り、声のかけ方・手の差し伸べ方等を知ることができた。また、「自助」の大切さも学べた1年でもあり、救命救急講習での学習をもとに家庭でも災害時の対応を話し合ってみたり、避難バッグを作ってみたりする生徒もいた。加えて、昨年8月に広島市で大規模な土砂災害があり、災害の危険が身近であったためか、防災教育を実施するにあたっては“もしも“のことを考えながら学ぶことができた。

教師や保護者、地域、関係機関等(児童生徒以外)の視点から
救命救急講習にあたっては、生徒だけでなく教職員も一緒に受講し、普通救命講習修了証を全員取得し、緊急時の救急スキルを身につけることができた。また、戸山地区自主防災会の指導を受けて、防災についての意見交換を行う機会が増えたことから、地域と連携しながらの避難訓練の持ち方の改善につながった。次年度には、近隣にある高齢者施設と共同しての地震対応・避難訓練を行うことを計画している。

4)実践から得られた教訓や課題と今後の改善に向けた方策や展望
救命救急講習や避難訓練などは何度も繰り返して行い、緊急時でも適切に素早く対応できるようにすることが大切であると学んだ。生徒の感想の中には、「いざという時は習ったことを生かしたいが、実際にできるか不安です」という意見もみられたが、災害が起こったときは「自助」を優先しながらも、支援を必要とされるときには行動できるように、自信が付くまで何度でも研修していくことが大切だと感じた。また、危機意識が薄れないように定期的に防災教育を行っていく中で、マンネリ化しない工夫もしていきたい。

5)その他
防災についての取組を通し、地域の自主防災連合組織の支援で3月3日に1・2年生全員を対象に「ジュニア防災検定」を受検できるようになった。各家庭で防災について話し合った内容をレポートにしたうえで検定を受ける予定である。

活動内容写真

活動において工夫した点

本校では、できるだけ生徒会自主防災組織が主体となって活動できるように、これまでも取組を行ってきた。特に、生徒会執行部を中心として戸山地区自主防災会長の講義と演習を受講し、その結果、本校で行った防災教室の運営も生徒自らが前に出て、積極的に活動ができるようになった。また、戸山地区は後期高齢者の割合が住民の四分の一となっており、緊急時の支援を必要とする高齢者が多いため、高齢の方の不自由さや、気持ちについて知り、学校に避難所開設の折には具体的な介助や支援をすることができるように工夫もした。老人福祉施設も毎年、訪問しているが、日頃からの繋がりを大切にして、高齢の方との触れ合う中から普段の生活では気づけないことであっても、緊急時において支援できる力を養えたと思う。いざという時は、地域と協力して『自分たちが主体的に動くんだ』という気持ちを育むことができたと思う。

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