学校防災教育と地域と連携した減災・防災

御嵩町立向陽中学校

活動に参加した児童生徒数/3学年231人
活動に携わった教員数/21人
活動に参加した地域住民・保護者等の人数/76人

実践期間2021年4月1日~2022年3月31日

活動のねらい

岐阜県では、平成30年7月豪雨、令和元年台風第19号、令和2年の7月豪雨など近年自然災害が毎年のように起こっている。学校がある可茂地区でも10年ほど前の平成の7.15豪雨では、3人の死者、行方不明者が出ており、この地域でもいつ災害が起こってもおかしくない状況である。また、東南海地震の起こる可能性も年ごとに高まっており、災害への備えは待ったなしの状況である。生徒と話をすると近くで災害が起こったことであっても他人事と捉えてしまったり、東日本大震災の実態についても、よく分かっていなかったりする生徒も多い。自然災害が起こり、命を落としたり、けがをしてしまったりしてからでは遅い。まず、中学生として、自分の命は自分で守る。そして、他人の命も守れるようになってほしいと考えている。また、教師側でも減災・防災に対する意識にも差があり、防災に対する知識、理解を得て、生徒に指導をしていく必要があると考える。
一旦災害が起きると学校だけで立て直すことはできない。地域の方と協力して復興していくことが必要である。日常から地域と連携をとり顔の見える関係づくり、地域全体で災害へ備えることが大切であると考える。

活動内容

1)実践内容・実践の流れ・スケジュール
予定した活動の実施状況 内容 取り組んだ具体的な活動
1学期 命を守る訓練 4/19地震を想定した避難訓練
地域のハザードマップの掲示 地震、洪水を想定した被害状況を廊下に掲示
災害状況の掲示 起こった自然災害の様子を伝える掲示
2学期 防災用品の紹介と展示 準備しておきたい防災用品を廊下に展示し、いつでも見たり触れたりできる展示
▲コロナ感染症対応で延期 御嵩公民館防災講座 防災講話「地域で一緒に防災を考えよう!」

→地域住民のみで実施
防災講話と防災授業 2年生 11/30防災講話 防災講師による講話 2年生2学級

12/14  防災授業 講話を聴き、実践したことを交流
3学期

1月
▲コロナ感染症対策で延期 理科気象防災授業 1/14気象予報士による気象と防災授業 2年生2学級
▲コロナ感染症対応で延期 御嵩公民館防災講座 1/23 防災講話「地域で一緒に防災を考えよう!」
▲コロナ感染症対応で延期 全校防災講話 1/24東日本大震災の被災者から学ぶ 命、教訓、備え、行動
3学期

2月~

3月
全校防災講話 2/21東日本大震災の被災者から学ぶ 命、教訓、備え、行動
理科気象防災授業 2/25気象予報士による気象と防災授業 2年生
御嵩公民館防災講話 3/13防災講話「地域で一緒に防災を考えよう!」

 
理科防災授業 3月理科防災授業「自然災害と防災 ~命を守るために~」1,3年生
2)9月研修会の学びの中から自校の実践に活かしたこと。研修会を受けての自校の活動の変更・改善点。   昨年度まで(助成金を受ける前)の実践と今年度の実践で変わった点。助成金の活用で可能になったこと。
9月の研修会での講話や交流など大変充実したプログラムであった。気仙沼のこれまでの教育現場の復興の足取りや今の小中高の学校の取り組みの状況、ESD、SDGsを軸にしたカ リキュラムマネジメント、新学習指導要領へ減災教育をどう位置付けていったらよいのか、また、地域とどのように連携し、巻き込んで取り組んでいったらよいのか、以上の視点で現在の取り組みを見つめることができた。その視点から活動を再度見直した。
研修を終えて、感じたこと、学んだことをまずは生徒たちに伝えた。起こる災害を想定し、自分事としてどのように捉えさせられることができるか、地域や周りの人といかに連携を取り、取り組んでいけるかという視点を重点化して計画の修正を図った。助成金により、防災用品を常に目に触れさせたり、実際に触ったりすることで防災を生徒に意識させることができた。講師の方の謝礼、交通費を出すことができ、講師を招いた講話を行うことができる。

3)実践の成果
①減災(防災)教育活動・プログラムの改善の視点から
・減災・防災の視点を取り入れた活動をまずは位置づけ、生徒の意識づけにつなげることができた。
・理科の授業内容が、日常生活でどのように関わりがあるのか、つなげて考えられるようになった。
・防災ボランティアとして、公民館の講座に参加することにより地域との連携をつくり、顔の見える関係づくりにつなげられる。

②児童生徒にとって具体的にどのような学び(変容)があり、どのような力(資質・能力・態度)を身につけたか。
・地震による災害の危険性を理解し、自分の部屋や自宅でどのような危険性があるか考え、行動しようとする意識を身につけることができた。家具の固定がされているか点検し、家族で話し合う機会をもつことができた。
・自分の部屋や自宅の危険性を考え、行動したことを仲間に伝え、聞き合うことで、より「安全」について深く考えることができた。

③教師や保護者、地域、関係機関等(児童生徒以外)の視点から
・講師の講話を聴いた教師は、減災・防災への意識が高まり、生徒への減災、防災指導の必要性を感じた。
・生徒が学校で学んだ「地震対策 屋内危険性チエック」を家庭で実践し、保護者にとっても地震対策を考えるきっかけとなった。
・地域の公民館で、防災講話を実施し参加することで、災害の危険を理解したり、対策を立てたりすることを意識したりすることができた。
・役場の防災課と「家具固定」について連携して進めることで、地域で考え実践する方向につなげることができた。

4)実践から得られた教訓や課題と次年度以降の実践の改善に向けた方策や展望
・自分事として捉えさせるためには、自分の身近なところから具体的に考えさせることが大切である。
・どのように学校や地域のシステムとして位置づけ、学びを継続していかせるようにしていくか。
・今年度、実践したことを土台に、学年の発達段階や実態に合わせてカリキュラム(システム)として、いつどのように位置づけていくか。来年度も地域の公民館での講座を位置づけ、中学生をボランティアとして参加するように継続したい。また、保護者や地域の方の認知度も高め、より多くの方が参加できるようにしていきたい。ICTを活用するなどコロナ禍でも、できるような活動を位置付けていく。

活動内容写真

活動において工夫した点

・公民館での防災講座を企画し、地域の方と一緒になって減災、防災について考える機会を設けた。
・講師による防災授業で、保護者、家庭を巻き込み、減災、防災、特に地震対策における屋内の危険性について考えることができた。家庭での実践を交流することで、さらに生徒の意識が高まった。
・東日本大震災で被災された方からの講話を位置付けて、道徳的な視点からも減災、防災について考える機会を設けた。

資料ダウンロード

資料ダウンロード