先人の知恵を継承する

沖縄県立宜野座高等学校

活動に参加した児童生徒数/2・3学年106人
活動に携わった教員数/3人
活動に参加した地域住民・保護者等の人数/45人

実践期間2015年4月8日~2016年1月26日

活動のねらい

世代間の断絶が深刻である。祖父母の仕事・農業のことを高校生たちは何も知らず、台風時には休校を喜ぶ。地域の基幹産業の被害や自身への影響に思いをはせることが出来ないのである。このままでは地域の産業や暮らしを守ることが出来なくなる。世代間の橋渡しは、学校と教師にこそ出来ることである。今回の防災減災教育を通して、世代から世代へ地域を守る知恵を継承できる仕組みを作っていく

活動内容

1)実践内容・実践の流れ・スケジュール
①3学年・国語表現「人生の先輩にきく」4~5月
人生の先輩である60代以上の方々からの話を聞き書きし、知恵と国語の力を身につけた。『防災』をテーマに実施した。先輩の生きた時代や、そのときの災害について調べ、質問を作り、当日は質問をもとに先輩へインタビューした。後日、礼状を作成し、聞き書きのメモを元に小論文を作成した。

②2学年・古典B「方丈記」6~7月
千年近く読み継がれ、3・11以降の状況と不思議と一致する当時の世界を描いた「方丈記」を原文で読破した。鴨長明の時代の災害とその対処法が書かれてあった文法の習得とともに、その内容も理解させるように心がけた。消防職員や震災避難者の会の方々に会い、防災についての情報を収集した。

③3学年・国語表現「地域の人の声をきく」10月~1月
『防災』がテーマの政策提言を、高校所在地の首長におこなった。過去の災害や自治体の防災計画を調査し、現状と照らし合わせた。同時に、漁業者・避難者の会・研究者・消防署員にインタビューし、あるべき防災減災を考えた。調査・考察の結果を提言書にまとめ、首長に提出した。

2)9月研修会の学びの中から事項の実践に活かしたこと。研修会を受けての自校の活動の変更・改善点。
  昨年度までの実践と今年度の実践で変わった点。助成金の活用で可能になったこと。
助成金の活用で、被災者の方々をお呼びし、長い時間インタビューすることが可能になった。都心や避難場所から当高校が遠いため、今までは話を聞きたい人に会いに行くこともお呼びすることもできなかった。生の声を生徒に聞かせることで、防災減災教育を自分ごとにすることができた。インタビューのあとに、理解とやる気がぐっと深まった。

3)実践の成果
①減災防災教育活動・プログラムの改善の視点から
高校所在地の自治体の防災計画の不備を指摘し、新しい知見の導入を呼びかけることができた。毎年、防災減災に関する研究成果・知見が発表されるので、定期的に教育現場から自治体防災計画の見直しを働きかけることができ、継続的な取り組みも期待できる。

②児童生徒にとって具体的にどのような学びがあり、どのような力を身につけたか。
情報を収集し、整理し、わかりやすく伝えるために伝達内容を再構成する方法を身につけた。傾聴の方法と重要性、そしてその効果を理解した。避難経路の選び方、避難時の最適行動、避難時の持ち物を理解すること、先人の知恵に対する敬意と再利用の意思を持たせることができた。

③教師や保護者・地域・関係機関等の視点から
学校の役割は、「失敗から学ぶことができる場所」と「外部と子どもたちをつなぐ場所」であるとするならば、安全にかつ系統的に防災減災を学ばせることができるプログラムであった。調べて終わりにはならず、自分ごととして子どもたちの中にいつまでも残り、実践できる内容にすることができた。

4)実践から得られた教訓や課題と今後の改善に向けた方策や展望
被災した方々が熱意を持って協力してくれた。忘れたい出来事なのに、全ての人に震災を忘れないでいてもらうために「傷口」を見せてくれた。被害者と非被害者の間にある、どうしても越えられない壁を頭に置きつつ、彼らの思いに応えられるように、そして私たちが災害を前にして大事なものを守れるように、取り組みを継続させる方策を見つける必要がある。そのためにも、実践を記録し、まとめていく。

活動内容写真

活動において工夫した点

本物を第一資料としたこと(「ひと」から情報を引き出す、など)。
国語という一教科で行なえるようにすること。全校をあげての取り組みとは別に、すぐにでもいつまでも取り組むことのできるものにしようと心掛けた。

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