地域の災害リスクをふまえた発達段階に応じた減災教育

玄海みらい学園

活動に参加した児童生徒数/1~9学年 369人
活動に携わった教員数/36 人
活動に参加した地域住民・保護者等の人数/保護者・地域住民・その他( 玄界町防災安全課 ) 70人

実践期間2024年6月9日~2025年3月31日

活動のねらい

自他の命や生活を守るため、地域の自然災害の危険性を理解し、安全な地域社会づくりについて考え、安全な地域社会づくりに貢献しようとする態度を育む。

活動内容

1)実践内容・実践の流れ・スケジュール
実施月 実践内容 対象 関係機関
6月 保護者への危険箇所アンケート 保護者 PTA
6月 救急救命講習会 全児童生徒、教職員、保護者 消防署、PTA
10月 地震・津波避難訓練 全児童生徒、教職員
11月 減災教育プログラム教員研修会活動報告 教職員、保護者 PTA
11月 原子力防災避難訓練(保護者引き渡し訓練) 全児童生徒、教職員、保護者 玄海町、佐賀県
12月 玄海町防災安全課と連携した防災学習※ 第4学年児童生徒、保護者 玄海町
※地域で最も警戒される大雨による河川氾濫や土砂災害を想定し、地域での被害の実態やハザードマップの見方、情報収集の仕方、避難方法等を知るとともに、マイタイムラインの作成を通じて、水害時の行動について考える。また、学園の周辺をフィールドワークすることを通して、地域の危険箇所を実際に見聞きして知るとともに、防災意識を高める。

2)9月研修会の学びの中から自校の実践に活かしたこと。研修会を受けての自校の活動の変更・改善点。昨年度まで(助成金を受ける前)の実践と今年度の実践で変わった点。助成金の活用で可能になったこと。
避難訓練をより実効性あるものにするため、内容の見直しを行った。地震・津波避難訓練は、予告なしで授業中ではなく掃除時間(児童生徒の所在は各自の掃除場所)での発生を想定し、4階への垂直避難という形で実施した。原子力防災避難訓練は、電力の喪失やネット回線の不具合を想定して、放送や端末を用いない紙や口頭によるアナログでのやりとりで保護者への引き渡し訓練を実施した。

また、地域防災の要である玄海町防災安全課に協力を依頼し、防災安全課による防災出前講座を活用して、防災学習を実施した。ハザードマップや助成金で購入した地図で自宅を確認したり、フィールドワークでは助成金で購入したデジタルカメラで児童自身が危険箇所を撮影したりすることで、これまでの教室での社会科授業では難しかった災害に向き合う当事者意識を高めることができた。

3)実践の成果
①減災(防災)教育活動・プログラムの改善の視点から 
前例踏襲から脱却し、目的意識の共有やよりイレギュラーな状況を想定しての実施など、実効性ある避難訓練を行うことができた。また、校内で教師だけが指導する学習から脱却し、地域の関係機関と連携した防災学習を実施することができた。具体的には、地域の災害リスクをよりリアルに知り、それを基にマイタイムラインの作成や地域の危険箇所のフィールドワークを行うことができた。今年度の実践を本校の教育活動に位置付け、今後も継続・発展させていきたい。

②児童生徒にとって具体的にどのような学び(変容)があり、どのような力(資質・能力・態度)を身につけたか。
防災学習前の児童へのアンケートでは、「自分の周りには危険なんてない」「災害が起きてもまぁ大丈夫だろう」「玄海町では災害は起きていないだろう」「災害に興味がなかった」といった記述が多く、災害を自分事として捉えている児童は少なかった。

しかし、防災学習後は、「自分の家が特別警戒区域だと分かったので、災害に気を付けて生活していきたい」「今回作ったマイタイムラインを見て落ち着いて避難したい」「非常持ち出し品を準備して、いつでも避難ができる状態にしておこう」「避難する時は今日見た危険箇所を通らないように気を付けたい」といった記述が見られた。災害に備えて、命を守るための具体的な行動を自分事として考える姿があった。

また、「避難先をどうするか、ペットをどうするかなどを家族と話し合いたい」「おじいちゃんおばあちゃんと住んでいるから、警戒レベル3でできるだけ早めに避難しよう」といったように、家族の一員として家庭での防災・減災につなげようとする姿が見られた。加えて、「自分がどういう行動をとるべきか分かった。もしも災害が起きたら、みんなで協力してたくさんの人を助けたい。地域の人が困っていたら、今日習ったことを活かして助けたい。」といったように、地域社会に貢献しようとする姿も見られた。防災学習後のアンケートの主な結果は以下の通りであった。
質問 肯定的な回答の割合
もしも大雨や台風が来た時に注意することが分かりましたか。 98%
フィールドワークで玄海みらい学園のまわりの危ないところが分かりましたか。 98%
もしもの時のために、自分の家から避難所までの避難マップを書こうと思いましたか。 88%
玄海町での水害や土砂災害を減らすために、自分にできることは協力しようと思いましたか。 98%
③教師や保護者、地域、関係機関等(児童生徒以外)の視点から
9月の研修を全教職員や保護者に報告し、避難訓練の見直しを行ったことで、教職員の防災・減災意識が高まった。また、関係機関との連携の仕方が分かった。今回の実践が、防災安全課にとっても初めての出前講座となり、資料を共有したり、教職員と共に計画・実施したりすることで、今後持続可能な防災学習にしていくための素地を作ることもできた。加えて、防災学習の様子を学年だよりで保護者に知らせることで、家庭でも防災について考えるきっかけとなった。

4)実践から得られた教訓や課題と次年度以降の実践の改善に向けた方策や展望
防災学習は4年生のみの実施にとどまったことが課題である。次年度以降は、義務教育学校であることを活かし、1~9年生までの系統的な学びを意識してカリキュラムを編成したい。その際、現在総合的な学習の時間で取り組んでいる海洋教育の中に、減災教育を位置付けたい。また、異学年間での学び合いや学びの地域への発信、自主防災組織や消防団、民生児童委員との協力を積極的に取り入れ、学校と地域が一体となった減災教育を進めていきたい。

活動内容写真

  • 玄海町防災安全課から地域の被害の実態を聞く様子

  • マイタイムラインを作成する様子

  • 地域の危険箇所をフィールドワークする様子

  • 見つけた地域の危険箇所を児童が撮影する様子

  • 学習後の児童Aのふりかえり

  • 児童Bが作成した自宅近くの避難マップ

活動において工夫した点

本物との出会いを重視し、防災出前講座の内容には含まれていなかった地域の危険箇所のフィールドワークを取り入れた。実際に歩いて自分の目で確かめてみることで、講話や写真で知った地域の実態を、実感を伴って知ることができ、児童がより自分事として災害と向き合うことにつながった。
また、防災学習で学んだことを実際の場面でも活用できるように、自宅近くの避難マップの作成を課題として出した。児童が保護者と一緒に避難マップを作ることで、家族で災害への備えを考えることができるようにした。

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