防災安全マップ作りによる本地域の災害特性の理解と地域貢献できる人材育成
石巻市立河北中学校
活動に参加した児童生徒/2学年41人
活動に携わった教員数/10人
活動に参加した地域住民・保護者等の人数/100人
実践期間2019年6月3日~2020年2月28日
活動のねらい
本学区は広く、東日本大震災時、被害が甚大であった大川地域を抱えている。震災の教訓を後世に伝え、これまで災害がなかった地域でも災害特性を十分に理解し、二度と同じ悲しみを繰り返さない人材育成が求められる。そのため、この河北地区に住む上で、地区の災害特性の全体像を掴み、大雨による川の氾濫や冠水被害、安全を確保できる避難場所の把握等をし、大型地図に危険箇所等を落とし込んだ防災安全マップ作りを通して、防災意識を高め、学んだことを地域の方々等と共有することで、地域に貢献する素養を育成したいものである。
活動内容
1)実践内容・実践の流れ・スケジュール(※図表等を使用して分かりやすく記述してもよい)
※昨年度(1年次)において本地域の治水について学習済み(国土交通省河川事務所と連携)
月
教科等
実践内容(主な学習活動)
時間
7
夏休みの各地区清掃活動時における危険箇所点検含む
9
総 合
災害特性の理解(みやぎ防災教育副読本の活用)
3時間
9~10
社会科
地形図の見方を学習(河北地域の災害特性の学習含む)※外部講師の演習含む
3時間
11
理 科
気象に関する学習(大雨に関する知識及び災害発生時の対応に関する学習)
3時間
10
体 育
安全に関する学習(けが・事故防止に関する学習)
2時間
9~11
総 合
防災安全マップ作り(地域の災害リスクの洗い出し・共有・避難時の留意点等)
5時間
10~11
文化祭での発表、校区の各地区行政委員及び民生委員の会議での発表
※地域向けの発表として行うはずであった石巻市総合防災訓練が、令和元年台風第19号の影響により校区の被害が甚大であったため、復旧活動を優先することから本訓練が中止となった。
3時間
12
小学6年生への防災安全マップを活用した発表
1時間
※国土地理院の地図を活用し、防災安全マップを作成(約7m×7mの地図)し、災害リスク等を落とし込み。
※地形図の見方に当たっては、東洋英和女学院大学 准教授 桜井愛子氏を講師に招き、講演及び演習により地形図のより詳しい読み取り方や避難時に生かす学習を行った。(本校独自予算で実施)
2)9月研修会の学びの中から自校の実践に活かしたこと。研修会を受けての自校の活動の変更・改善点。
昨年度まで(助成金・研修受講前)と今年度の実践で変わった点。助成金の活用で可能になったこと。
階上中生徒が階上小児童の防災マップの取組に、中学生がこれまでの学習を生かしたアドバイスを行っている点から、本校でも中学生と学区内の小学生との防災マップを通した学び合いに生かした。その際に大型地図を活用できたことは、校区全体の把握だけでなく、小学生からも危険箇所等に関する様々な意見が出るなど、ともに防災意識の向上につなげることができた。さらに、地域と連携した教育活動の必要性から今年度は地区の民生委員と連携を図った取組に発展できた。
3)実践の成果
①減災(防災)教育活動・プログラムの改善の視点から
今回の実践を通し、今後の減災教育として本校の教育活動に根付かせるきっかけとなった。特に、9月の研修会の学びは、減災教育の必要性を本校の防災教育カリキュラムに落とし込めたこと、また、震災の教訓を風化させず、今後の災害に備える各校の実践を肌で感じることができたことは大変意義深いことである。本校では転入職員を必ず最初に大川小学校に案内し、震災の教訓を考えてもらっており、今後も継続していきたい。さらに、教科と領域の融合した実践により本校における持続可能な教育活動にマネジメントできたことが成果であり、今後も他の防災教育の先進事例を学び、積極的に防災教育展開の在り方を教員で協議していきたい。
②児童生徒にとって具体的にどのような学び(変容)があり、どのような力(資質・能力・態度)を身につけたか。
社会科をはじめとする地域の災害特性に関する学習では、どの生徒も災害リスクの洗い出しに積極的に取り組むなど地域の一員として自覚が芽生えてきている。一人暮らし老人宅に配る防災キャンドルの作成を有志で募集したところ、多くの生徒が参加し手作りのキャンドルを作製した。また、令和元年台風第19号接近時には、安全な場所への避難(高台の避難所避難や自宅の2階に避難など)や避難ルートの確認、非常持ち出し袋の準備など、すべての生徒が台風接近時の安全確保に関する対応を取れた。さらに、防災教育で培った安全力の指標として事故の減少を掲げており、全校生徒で日本スポーツ振興センター災害共済給付件数を一桁と目標設定しているが、今年度該当学年では2件(前年度5人)と安全意識の向上にもつながった。
③教師や保護者、地域、関係機関等(児童生徒以外)の視点から
教職員が校区の地域特性を事前に把握して指導に当たったことで、生徒の理解促進につなげることができたと考える。また、地域や防災担当部局の方々にとって、生徒による地域の災害に関する学習について共有できたことや、災害時の対応に関する意見を交換できたことは有益であったと感想をいただいた。地区の民生委員の方々も学校と関わっていきたいと思っている中で、学校からのアクションで災害時の対応を共有できたことは今後につなげられるものとなった。さらに、台風第19号時には、保護者も生徒とともに早めの避難行動をとるなど、防災学習への理解を示していただいている。
4)実践から得られた教訓や課題と次年度以降の実践の改善に向けた方策や展望
来年度は、令和元年台風第19号でどの地域でも災害が起こりうることが明らかになった教訓を踏まえ、今年度の学びを継続するとともに、地域との防災訓練時だけでなく、生徒が行政委員や民生委員をはじめとする地域の方々と地域防災について語り合える場を設定し、地域と一体となった防災の一役を担わせたい。
月 | 教科等 | 実践内容(主な学習活動) | 時間 |
7 | 夏休みの各地区清掃活動時における危険箇所点検含む | ||
9 | 総 合 | 災害特性の理解(みやぎ防災教育副読本の活用) | 3時間 |
9~10 | 社会科 | 地形図の見方を学習(河北地域の災害特性の学習含む)※外部講師の演習含む | 3時間 |
11 | 理 科 | 気象に関する学習(大雨に関する知識及び災害発生時の対応に関する学習) | 3時間 |
10 | 体 育 | 安全に関する学習(けが・事故防止に関する学習) | 2時間 |
9~11 | 総 合 | 防災安全マップ作り(地域の災害リスクの洗い出し・共有・避難時の留意点等) | 5時間 |
10~11 | 文化祭での発表、校区の各地区行政委員及び民生委員の会議での発表 ※地域向けの発表として行うはずであった石巻市総合防災訓練が、令和元年台風第19号の影響により校区の被害が甚大であったため、復旧活動を優先することから本訓練が中止となった。 |
3時間 | |
12 | 小学6年生への防災安全マップを活用した発表 | 1時間 |
※地形図の見方に当たっては、東洋英和女学院大学 准教授 桜井愛子氏を講師に招き、講演及び演習により地形図のより詳しい読み取り方や避難時に生かす学習を行った。(本校独自予算で実施)
2)9月研修会の学びの中から自校の実践に活かしたこと。研修会を受けての自校の活動の変更・改善点。
昨年度まで(助成金・研修受講前)と今年度の実践で変わった点。助成金の活用で可能になったこと。
階上中生徒が階上小児童の防災マップの取組に、中学生がこれまでの学習を生かしたアドバイスを行っている点から、本校でも中学生と学区内の小学生との防災マップを通した学び合いに生かした。その際に大型地図を活用できたことは、校区全体の把握だけでなく、小学生からも危険箇所等に関する様々な意見が出るなど、ともに防災意識の向上につなげることができた。さらに、地域と連携した教育活動の必要性から今年度は地区の民生委員と連携を図った取組に発展できた。
3)実践の成果
①減災(防災)教育活動・プログラムの改善の視点から 今回の実践を通し、今後の減災教育として本校の教育活動に根付かせるきっかけとなった。特に、9月の研修会の学びは、減災教育の必要性を本校の防災教育カリキュラムに落とし込めたこと、また、震災の教訓を風化させず、今後の災害に備える各校の実践を肌で感じることができたことは大変意義深いことである。本校では転入職員を必ず最初に大川小学校に案内し、震災の教訓を考えてもらっており、今後も継続していきたい。さらに、教科と領域の融合した実践により本校における持続可能な教育活動にマネジメントできたことが成果であり、今後も他の防災教育の先進事例を学び、積極的に防災教育展開の在り方を教員で協議していきたい。
②児童生徒にとって具体的にどのような学び(変容)があり、どのような力(資質・能力・態度)を身につけたか。
社会科をはじめとする地域の災害特性に関する学習では、どの生徒も災害リスクの洗い出しに積極的に取り組むなど地域の一員として自覚が芽生えてきている。一人暮らし老人宅に配る防災キャンドルの作成を有志で募集したところ、多くの生徒が参加し手作りのキャンドルを作製した。また、令和元年台風第19号接近時には、安全な場所への避難(高台の避難所避難や自宅の2階に避難など)や避難ルートの確認、非常持ち出し袋の準備など、すべての生徒が台風接近時の安全確保に関する対応を取れた。さらに、防災教育で培った安全力の指標として事故の減少を掲げており、全校生徒で日本スポーツ振興センター災害共済給付件数を一桁と目標設定しているが、今年度該当学年では2件(前年度5人)と安全意識の向上にもつながった。
③教師や保護者、地域、関係機関等(児童生徒以外)の視点から
教職員が校区の地域特性を事前に把握して指導に当たったことで、生徒の理解促進につなげることができたと考える。また、地域や防災担当部局の方々にとって、生徒による地域の災害に関する学習について共有できたことや、災害時の対応に関する意見を交換できたことは有益であったと感想をいただいた。地区の民生委員の方々も学校と関わっていきたいと思っている中で、学校からのアクションで災害時の対応を共有できたことは今後につなげられるものとなった。さらに、台風第19号時には、保護者も生徒とともに早めの避難行動をとるなど、防災学習への理解を示していただいている。
4)実践から得られた教訓や課題と次年度以降の実践の改善に向けた方策や展望
来年度は、令和元年台風第19号でどの地域でも災害が起こりうることが明らかになった教訓を踏まえ、今年度の学びを継続するとともに、地域との防災訓練時だけでなく、生徒が行政委員や民生委員をはじめとする地域の方々と地域防災について語り合える場を設定し、地域と一体となった防災の一役を担わせたい。
活動内容写真
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防災マップを活用した学習
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防災教育研修会で河北地区の地形を学ぶ1
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防災教育研修会で河北地区の地形を学ぶ2
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防災教育研修会で河北地区の地形を学ぶ3
防災マップを活用した学習
防災教育研修会で河北地区の地形を学ぶ1
防災教育研修会で河北地区の地形を学ぶ2
防災教育研修会で河北地区の地形を学ぶ3
活動において工夫した点
グループ毎に地形図を活用して校区の地形を学習したことで、どういう場所が低く大雨時に危険なのかなど把握できたこと。特に地形分布図を使って、地域の地形の特性を把握できたことは、大雨での洪水時等の避難行動を考える際に役立てられるものになった。生徒が防災学習で学んだことを地域の方々と共に共有したことで、地域と共に災害時の対応を考えるきっかけになったこと。また、次年度中学生となる小学6年生の児童と校区の災害リスクや危険について学べたことで、中学校入学後も安全に登下校できる機会につながった。
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資料なし