地域安全マップの作成を通して,非常時の安全行動を身につける

福岡市立城西中学校

活動に参加した児童生徒数/1学年257人
活動に携わった教員数/11人
活動に参加した地域住民・保護者等の人数/9人

実践期間2019年6月22日~2019年11月30日

活動のねらい

本校は,新規に移り住んできた生徒が多く,保護者も地域の歴史や過去の災害を知らないことが多いと思われる。地域安全マップの作成を通して,自ら防災意識を高め,過去の校区内の災害の歴史を知る地域住民とのつながりをつくるとともに,非常時に必要とされる行動ができる知識と態度を身につけさせる。

活動内容

1)実践内容・実践の流れ・スケジュール
6月  ・防災教育ガイダンス(目的と夏休みのマップ作製について)
7月  ・防災学習の実施,マップ配布と説明
8月  ・担当地域調査(夏季休暇中)
9月  ・学級でグループごとに地域安全マップ作成
    ・各学級内で発表会(ポスターセッション形式)
10月 ・防災教育講演会とワークショップ
      【講師】福岡市防災・危機管理課、博多あん・あんリーダー会(ボランティア団体)
     ①作成した防災マップでの災害図上訓練(DIG)
     ②災害時の決断ゲーム(クロスロード)
     ・救命救急及び応急処置(本校保健体育科職員が実施)
     ・講師へのお礼状書きと防災学習についての振り返り,自己評価
11月 ・社会人講話(福岡キャリア教育研究会)
       講師の中に地震のメカニズム解説,橋の設計等にまつわる職業を含む

2)9月研修会の学びの中から自校の実践に活かしたこと。研修会を受けての自校の活動の変更・改善点。     昨年度まで(助成金・研修受講前)と今年度の実践で変わった点。助成金の活用で可能になったこと。
1.ボランティア団体と連携した防災教育
2.校内の教職員に向けた防災教育研修
3.防災マップ制作,ワークショップに関連する消耗品の購入

3)実践の成果
減災(防災)教育活動・プログラムの改善の視点から
本校では過去数年間,防災マップが製作だけで終わっている現状があった。今年度は,地域のボランティア団体「博多あん・あんリーダー会」の方々を講師として迎え,製作したマップを用いた災害図上訓練(DIG)とクロスロードを実施することができた。

児童生徒にとって具体的にどのような学び(変容)があり、どのような力(資質・能力・態度)を身につけたか。
防災マップ製作のためのフィールドワークは,夏季休暇中の課題であったが,実際に土地を歩いてみて回ることで,日頃とは異なる視点で,校区内に想定できる災害時の被害を検討することができていた。製作グループ内では,複数の視点から地域の特性や,過去の経験を話し合う様子が見られた。また,DIGやクロスロードを通して,災害時・非常時の判断能力を養うことができた。家庭でも災害時の連絡系統を確認し合うきっかけをつくることができた。

教師や保護者、地域、関係機関等(児童生徒以外)の視点から
教職員への校内研修を通して,東日本大震災被災地の実際や,防災教育の実践を共有することができた。本校の校区は,2つの河川の合流域と博多湾河口から約2キロに位置し,過去には,本校も床上浸水するなど水害被害が起きた。また,地震発生時には津波による災害も想定される。これらのことを踏まえ,生徒への防災教育の方向性を確認することができた。

4)実践から得られた教訓や課題と次年度以降の実践の改善に向けた方策や展望
1.本校で実施している地震・津波の避難訓練を形式的なものではなく,防災教育とより強いつながりをもたせなければならない。そのためにも教員間の研修内容を精査し,意識の変容と実践力の向上を図らなければならない。
2.防災マップは当初,完成後にポスターセッション形式の発表を,保護者や地域の人々に参観してもらう予定であったが,本年度は実行できなかった。次年度のスケジュール調整とスペースの確保が課題である。
3.現在,中学1年のみ総合学習で防災教育を行っている。また今年度は,校内での活動がメインであったため,2・3年次は地域と連携した実践活動につなげたい。また上記2の内容を,校区の2小学校と連携した活動に発展させたい。
4.過去には行っていた避難所設営等の実践活動も再度取り入れ,非常時に行動できるための知識や技能の育成も図りたい。

 

 

活動内容写真

活動において工夫した点

1.地域で発行されているハザードマップはあくまでも参考資料とし,生徒自身が歩いて発見したことを持ち寄って地域安全マップを作成した点。
2.ボランティア団体と連携して,マップ製作だけで終わらずに演習を取り入れられた点。
3.防災教育後,総合的な学習の時間の中で社会人講話に震災関わる内容(サイエンスコミュニケーターに地震のメカニズム体験,橋の設計者や建設者に防災視点の話)を取り入れた点。

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