「災害から主体的に身を守ることができる資質能力の育成」プロジェクト

福島市立松陵中学校

活動に参加した児童生徒数/全学年 263人
活動に携わった教員数/24人
活動に参加した地域住民・保護者等の人数/保護者 150人

実践期間2024年4月1日~2025年3月31日

活動のねらい

(1) 東日本大震災や原子力災害に関する学びや経験を踏まえて、災害から主体的に身を守ることができる資質能力を身に付けることがでる生徒を育成すること。
(2) 自分たちの郷土、福島(福島県・福島市)に誇りを持つことができるようになり、義務教育終了段階(中学3年生、義務教育学校9年生)においては、生徒が福島の今について自分の言葉で語り・発信できるようになること。
(3) 他校で参考となる情報を発信すること。

活動内容

1)実践内容・実践の流れ・スケジュール(※図表等を使用して分かりやすく記述してもよい)
本助成で実施したい具体的な内容

(1) 教科学習による知識等の習得を目指した実践(理科・社会・保健体育・家庭他)

(2) 特別非常勤講師等による『ふくしま道徳教育資料集』を活用した特別の教科「道徳」の実施

(3) 大学等の専門の先生方の講話等の実施 (磐梯山噴火記念館長 佐藤公氏、県立医科大学主任教授 坪倉正治氏)

(4) 生徒が自ら判断する避難訓練の実施(地震、火災、火山、原子力災害、4回の訓練を予定)

(5) 震災関連施設を活用した探究的な学習(1・2学年)の実施(コミュタン福島、伝承館を予定)

(6) 校外における教員の研修機会の確保(県内外への視察等を含めて、教員の半数を派遣予定)

(7) 上記(1)~(6)の取り組みを、年度末に生徒や関係者に資料として配付する。(現在作成中)

2)9月研修会の学びの中から自校の実践に活かしたこと。研修会を受けての自校の活動の変更・改善点。昨年度まで(助成金を受ける前)の実践と今年度の実践で変わった点。助成金の活用で可能になったこと。
○研修会において、気仙沼市の取り組みである「防災学習シート」について知ることによって、取り組みをまとめ発信していく重要性を改めて感じた。

○助成金を交付いただいたことで、本校の取り組みについて資料を作成し、地域や他校へ広く発信することが可能になった。

3)実践の成果
①減災(防災)教育活動・プログラムの改善の視点から 
防災理科を中心とした授業や、他教科での取り組み、講話や見学を通して正しい知識を身につけ、災害のメカニズムを知ることから避難行動の理由を考えることができた生徒が見られた。このことから、災害の科学的な知識や、どのように対応するかという基本的な知識理解が深まったと考える。

②児童生徒にとって具体的にどのような学び(変容)があり、どのような力(資質・能力・態度)を身につけたか。
1年間の活動を振り返った感想では、25%程度の生徒に「~するようになった」「今後~していきたい」との記載が見られた。防災の意識が薄かったことに危機感を感じ、学ぶ必要性を感じる等、意識の高まりを感じる結果となった。

また、アンケートの結果、下記の3つの災害において、基本内容を説明できると肯定的に答えた生徒の割合が増加した。(火山災害80%→92% 地震火災災害82%→90% 原子力災害47%→81%)特に原子力災害においては、事後に大きな変容を見せ、講話や施設見学の感想にも、新しいことを知ることができたと驚きの様子が伝わるものが多かった。

③教師や保護者、地域、関係機関等(児童生徒以外)の視点から
(1) 原子力災害の避難訓練においては、多くの保護者の協力を頂きながら行い、原子力災害時、気を付けるべき放射線への対応や学校の対処方法を確認することができた。

(2) 地震・火災の避難訓練(2回目)では、生徒及び教員に対し、昼休みに予告なし訓練を行った。各自、地震時には安全な場所に素早く移動し、その後、火元から離れた避難経路を選んで避難することができた。また、けが人や教室へ取り残された生徒の配置や、建物倒壊や火災の煙を想定し避難経路を限定するなど、教員にとっても、多くのことに気づく、有意義な機会となった。

(3) 次年度の義務教育学校開校による、1~9学年に対する防災教育・減災教育の在り方を検討するため、県内外の義務教育学校へ教員を派遣し視察を行った。生徒の発達段階による防災教育・減災教育の必要性や避難訓練の実施方法について参考になるとともに、教員の意識の高まりを感じた。

4)実践から得られた教訓や課題と次年度以降の実践の改善に向けた方策や展望
○ 本校独自のカリキュラムの編成

今回の実践では、避難訓練を軸にそれに合わせて理科、学活、道徳、学校行事等でカリキュラムを考え実施した。防災理科で扱う内容を整理し系統化することや他教科の実践、地域とつながる実践などをさらに考え、体系化しながら、本校独自の特色ある有効なカリキュラムを考える必要があると考えている。

○ 未知の状況にも対応できる思考力・判断力・表現力の育成

多くの試みにより、生徒は災害に対する科学的な知識を増やすことができたと考えるが、一方、それを発揮して何が必要か思考し、適切に判断する力や行動する力の育成については、さらに多くの機会と工夫が必要である。また生徒の変容を見る検証方法についても、検討していきたい。

活動内容写真

活動において工夫した点

(1) カリキュラムマネジメントを工夫し避難訓練と教科との関連を深めながら、防災教育・減災教育の実践を図った。防災理科(地震火災災害)において、2学年では、発生する煙から身を守る方法について考えた。小学生の理科や避難訓練などで、煙が上昇することや避難行動を多くの生徒が知っていた。しかし、実際に煙が模型内で進む速さや、すぐに上昇し天井を伝うような進み方に、予想とは異なることを知り、驚きの反応を見せる生徒もいた。3階建ての模型では3階が先に煙で白くなる様子や防火扉を付けた2階に煙が入りにくい様子を観察し、避難行動の理由を煙の性質や体のつくりを基に改めて考えていた。3学年は、通電火災について扱ったが、授業前は知らない生徒が多かった。実験を通して、地震後火災が起こる原因や防ぐ方法について考えることができた。
1学年では通常3学期に行う「大地の変化」の内容の一部を6月に行った。避難訓練での講話で扱った火山灰の基礎知識を事前に理解できる点では有効であった。生徒は火山灰が灰ではないことを知り、火山による噴火の違いに驚きを見せていた。2学年は、災害に焦点を当て、特に融雪火山泥流や土石流のメカニズムについて学習した。実験から、どのように災害が起こるかを考え記述することや、ハザードマップを見ながらどのように行動すると良いか考えることができた。「火山が噴火したらどのような行動をとるか」といったアンケートからは、融雪火山泥流に気を付けることや噴石、火山灰に対しての具体的な対策を書く生徒が見られるようになった。噴火の際に発生する災害について理解を深め、自分の住む地域に合わせた避難行動を考えることができるようになったと考えられる。    
(2) 知識理解のため、専門的な講師を招き、講話を実施した。坪倉教授(福島県立医科大学)の講話では、放射線の基礎知識の他、震災当時の福島県の混乱、現在の世界情勢、放射線の利点などを知り、学ぶ意義や正しく知ることの大切さを学ぶことができた。佐藤公氏(磐梯山噴火記念館長)の講話では、火山のメカニズムや噴火による火山灰や融雪火山泥流などの影響などについて、正しい知識を身に付けることができた。
(3) 渡邉真魚氏(日本大学教授)による『ふくしま道徳教育資料集』を活用した特別の教科「道徳」を実施し、東日本大震災について、その当時起きたことやその後のことについて資料を通して触れることで、災害時における考え方や郷土愛について考えを深め、生徒の価値観や心情面から防災・減災の重要性についてアプローチを図った。
(4) 県内の施設見学を実施したことにより、東日本大震災の状況や、今に至る経過を知ることができ、放射線の飛跡の観察等も行いながら、放射線の基礎知識を学んだ。数回の体験的な学習を通して、生徒は放射線についての知識や身を守るための知識を定着させることができたとともに、防災・減災への意識の高揚も図られた。

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