家庭や地域社会との連携・協働を図った組織的・計画的な防災教育に関わる取組の推進
~民間施設への避難訓練及び保護者への引き渡し訓練をとおして~

鶴岡市立湯野浜小学校

活動に参加した児童生徒数/1~6学年109人
活動に携わった教員数/15人
活動に参加した地域住民・保護者等の人数/90人

実践期間2021年4月1日~2022年1月31日

活動のねらい

・地域における日常生活の様々な場面で発生する災害の危険を理解し,安全な行動ができるようにするとともに,他の人々の安全にも気配りできる児童を育成する。
・避難訓練及び引き渡し訓練の内容の見直し,教育活動を通した防災教育の推進,防災教育の指導方法・内容の工夫および改善,災害発生時に活用できる生活能力の習得等を目的とする。

活動内容

1)実践内容・実践の流れ・スケジュール
4月 全校 防災教育の進め方の確認(職員会議)
5月 全校 避難訓練(地震想定で避難場所の確認とハザード・避難時間を意識化する)
7月 全校 鶴岡市津波情報伝達訓練(防災無線による避難指示、旧ホテル前駐車場で待機、保護者への引き渡し)
10月 全校 防災講話(湯野浜小学校の防災教育について、校長が実施)
11月 全校 予告なし避難訓練(村山先生による地震想定訓練の視察及び職員向け防災研修の実施)
4年 村山先生との防災授業(訓練後のふり返りを含む)
11月 防災教育に係る授業研究会
12月 その他 ホテルテトラリゾート鶴岡へ防災資材等の設置

2)9月研修会の学びの中から自校の実践に活かしたこと。研修会を受けての自校の活動の変更・改善点。
昨年度まで(助成金を受ける前)の実践と今年度の実践で変わった点。助成金の活用で可能になったこと。
・災害経験のない児童に対して、防災を「自分事」するために工夫が必要なことや、児童に「自分の命を守ることができる判断力と実践力」をつける必要があることに気付いた。そのために、避難訓練の在り方を大幅に見直した。
・率先避難の考え方(大地がゆれたらすぐ逃げろ、より遠くへ!より高く!)や避難先での備蓄の必要性(備蓄は避難先にないと意味がない)を再確認した。
・近隣のホテルから緊急時に宴会場を避難所として使用してもよいとご承諾いただいた。併せて避難所スペースの近くに専用の戸棚を置き、水やビスケット、衛生用品等の備蓄資材を入れさせていただけることになった。助成金により、ホテル使用料や備蓄資材の整備をまかなうことができた。

3)実践の成果
①減災(防災)教育活動・プログラムの改善の視点から
・避難訓練の見直し(予告なしによる地震避難訓練について、実施方法、児童への意識化、ふり返りの実施等)
・防災教育計画の見直し(各学年の発達段階に応じ、新学習指導要領に準拠したカリキュラムマネジメント)
・防災学習の位置づけ(4年生の総合的な学習の時間における教科横断的な単元開発)
②児童生徒にとって具体的にどのような学び(変容)があり、どのような力(資質・能力・態度)を身につけたか。
・避難訓練の在り方を大幅に見直したところ、災害経験のない児童に対して、少しずつ防災を「自分事」できたことや、児童に「自分の命を守ることができる判断力と実践力」をつける経験を積ませることができた。
・専門家による防災授業や実践的な避難訓練と引き渡し訓練、防災教育に係る単元開発等により、少しずつではあるが安全の保持増進に関する実践的な能力や態度の高まりや、望ましい習慣形成ができつつある。
③教師や保護者、地域、関係機関等(児童生徒以外)の視点から
・避難訓練の工夫やより現実的な保護者への引き渡し訓練を実施することで、家庭や地域社会との連携を図ることができた。併せて4年生の防災学習では、市職員や警察官、コミセン職員、町内会長といった地域で直接防災を担う方たちとの交流や活動の実践をとおして、地域の防災に対する意識の向上が図られた。
・活動の様子を学校だよりや地方新聞で広く家庭や地域全体に知らせ、家庭や地域社会と連携した防災活動の展開に努めることで、少しずつではあるが地域ぐるみの防災教育を推進することができた。

4)実践から得られた教訓や課題と次年度以降の実践の改善に向けた方策や展望
・今年度の実践を通して、「災害に適切に対応する能力の基礎を培う」という防災教育の基本と、児童と教職員の防災意識が高まったことは成果である。今後は今回の取り組みで得られた知見をもとに,教科や総合的な学習の時間,特別活動など学校の教育活動全体を充実させ、いっそう工夫・改善された防災教育の継続・発展を目指したい。
・令和4年度は、7月の鶴岡市津波情報伝達訓練の際に、ホテルの避難所を利用してより実際に即した避難訓練を実施する予定である。具体的には、高台の駐車場への一次避難後、ホテル2階の避難所へと全員で移動し、そこで備蓄された水と食料を受け取り(避難所滞在)、保護者の迎えを待つ(引き渡し)という訓練を行いたい。

活動内容写真

活動において工夫した点

令和元年度より,高台にある民間施設(自動車学校の宿泊所)への避難訓練及び保護者への時引き渡し訓練を実施している。訓練では20分ほどの間に保護者から引き取りをしていただくが、本当に地震が起きた時には長時間屋外の駐車場で待たなくてはいけないことや、保護者が徒歩で引き取りにくることが課題となっていた。そこで、新たに避難所となる場所を探していたところ、海抜17mにあるホテルの支配人から緊急時に宴会場を避難所として使用してもよいとご承諾いただくことができた。併せて、避難所スペースの近くに専用の戸棚を置き、水やビスケット、衛生用品等の備蓄資材を入れさせていただけることになった。

資料ダウンロード

資料ダウンロード