ふれあい
橋本久美子
「おはようございます。」
登校する子供たちを追い抜きざま、4年生位の男の子から声をかけられた。「おはよう。元気ね。」「うん。」日焼けした顔に笑みが広がった。
何とさわやかな子だろう。見ず知らずの人に挨拶するなんて。そう言えば、過日孫と公園にいた時、通りすがりの中学生が「今、光化学スモッグの注意報が出ていますよ。」と声をかけてくれたっけ。
「今どきの子」の素晴らしさを身近に感じ、ほのぼのとした気分で紫陽花の咲く山道に歩を進めた。
アイドル誕生
内田洋子
6月に初孫が生まれた。その日から我が家にかなりの変化が起きた。夫が早く帰宅する。息子達は里帰り中の娘にこき使われている。ムコ殿は、大好きな週末の草野球をお休み中、母達のきげんが良くなり、何故か犬はハンガーストライキを始めた。
ただ寝んねしているだけなのに赤ん坊って存在感のあるアイドルかも。
そして私はバーバと呼ばれながら、改めて、その澄んだ瞳に、悲しい出来事をたくさん見ないで済むように、ユネスコ活動に、微力を尽くしたいと思っている。
ほほえみの国
加藤朋子
防衛大学には毎年アジア各地から大勢の留学生が来ているのをご存じですか。特にタイの学生が一番多いのです。たまたま私の家族はそのうちの2人の学生と知り合いになりました。タイは「ほほえみの国」と言われているように皆、人柄もやさしくおだやかです。そしてこの国の言葉タイ語は、意味はわからなくても聞いているとその音は柔かく耳に優しく、強い音は聞こえてきません。「お母さんに怒鳴られたことは?」と聞くと2人共「ありません」という答え。やはり言語はその国の人々の人柄も作るのでしょうか。
知床の自然遺産に思う
佐藤洋一
私は北海道・知床の近くで育ちました。
かつては「人も通わぬ」といわれ、人家といえば鮭漁の番小屋が点在しているだけでした。ところが昭和40年代から「秘境ブーム」で観光客がおし寄せ、無謀にも半島横断道路も完成してしまいました。動物や植物の生態系の破壊がすすんでいました。
そんな今年、知床はユネスコの自然遺産に登録が決まりました。動物や植物、そしてさまざまな人間の営みが共存している知床を自然遺産として守っていくには、多くの智恵と、ボランティアや行政の息の長い協力が必要です。
IT革命とコモンロー
石田喬也
私たちがまず想起する「法」は権利、不正等が厳密に規定された六法全書です。しかし昨年末までOECD(経済協力開発機構)での関連議論に参加して、ドイツ等の大陸法系であるこの「法」体系こそが国内のIT(情報技術)革命進行を阻害している大きな要因でないかと考えるようになりました。
IT革命はその特性として結果が予測不能であるからです。実際のところ、基本的に裁判判例の追加、修正の積み重ね全体を「法」とする米国などのコモンローの国々は、それゆえにIT革命という時代の変化へ」素早く対応できたのでしょう。
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