ぶれない」
平山郁夫著 且O笠書房
平山郁夫先生のこれまでの著書とは異なる口調で、先生の主張と信条の表明がなされている。先生独特の「彫り塗り」の技法のように太い描線に沿って、主題が繰り返し多彩に語られる。
「美しくあること」の大切さ。「教養」の持つ意味。「平和」を画業のテーマに据えたこと。仏教を軸とした東西文化の交流を描き続けてきたこと。目標を定めて生きてきたことが「ぶれない自分」を形成したこと。
日常的なことでは、先生の毎朝の所作が心を搏つ。6時から20分間かけて、両親、恩師、亡き友人の名前をフルネームで呼ばれる。15分間の柔軟体操。
30分かけての画室の掃除。
組織に属することの大事さが述べられる。唯我独善に陥らない。
動物的嗅覚が育つ。誰かが見てくれていて褒めてくれる。この本は多くの外国語でも出版されて、先生が促進されている「文化財赤十字構想」の源流を広く世に示すことになるだろうと思います。 206頁
1500円(渡部) |