講評 審査委員長 小島敬介
今年は昨年に比べ応募作品が少ないと聞き何となく寂しさを感じながら会場に入りました。とは言え、作品を前にすると大きな画用紙に町並みや史跡、建造物などの「鎌倉のたからもの」として相応しい題材を描いてくれた力作が目に入ってきました。例年と同じく学年ごとに分け選考していきました。
選考作業を終え、この絵画展が子どもたちの豊かな心を育む場であることをあらためて実感させられました。
鎌倉市長賞「しゃか堂切通し」
悠久の歴史とともに鎌倉武士が通ったであろう釈迦堂の切通し。その切通しに昔日の思いを込めて描いてくれた絵ではないでしょうか。ざらざらとした岩肌の質感や、木々の色をえながら差し込んでくる夏の眩しい光が美しく表現されています。
鎌倉市教育委員会賞
「光明寺のはすの池」
静寂な光明寺の池に咲く蓮の花と水面に映る青空が一層の静けさを印象づけてくれています。明るい色と暗い色を使い分けした効果的な色づかいや構図にも工夫が見られ遠近感のある表現など中学生らしくしっかりとした作品に仕上がっています。
日本ユネスコ協会連盟会長賞
「鶴岡八幡宮」
風景画は構図をどうするか大変苦労しますが、この絵は構図がしっかりと決まっています。色づかいも木々の緑の奥に見える朱の本殿が強調され美しさを引き立たせています。点景として描かれている人物もうまく配置され画面に動きが感じられ楽しいものにしています。力作です。
鎌倉ユネスコ協会会長賞
「私の通学電車」
思わず微笑んでしまう絵です。子どもらしい素直で迷いのない描き方が素晴らしい。通り過ぎていく景色や車内の楽しそうな様子も見えてくるようです。これからも大好きな江ノ電に乗って元気に学校に通ってもらいたいと願ってしまいます。
この他に優秀賞の「大仏」「はしるえのでん」は屈託のない子どもらしい絵として印象に残りました。
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審査を進めながら五人の審査員が同じように感じていたことがありました。それは指導者と子どもの絵との係わり方です。指導者にとって技術的な指導は重要なものに違いありません。けれども、同時に子どもが何を見て、何を感じとり、どんな絵を描きたいのかをしっかりと聞いてあげることも重要だと考えます。年齢の低い子であればなおさらではないでしょうか。是非、技術面だけにとらわれず子どもならではの意外性ある楽しい絵や面白い絵など表現豊かな作品作りに手を差しのべていただけるよう願っています。
2010年2月16日(火)〜21日(日)
鎌倉生涯学習センター ギャラリーC
主催 鎌倉ユネスコ協会
社団法人 日本ユネスコ協会連盟
後援 鎌倉市 鎌倉市教育委員会
審査委員長 小島敬介先生 (清泉女学院)
副委員長 蓼沼誠一先生 (鎌倉ユネスコ協会)
委員 丸山まさ子先生(御成中学校)
委員 岸本愛子先生(第一小学校)
委員 磯田妃芳先生 (鎌倉ユネスコ協会)
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