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お正月料理から地域文化を考える

あけましておめでとうございます。新しい年が皆さまにとって幸多い年となりますように。
さて、お正月といえばお節料理。家で料理したり、お店にもさまざまなお節が並んでいます。そんなお節料理に欠かせないのがお雑煮ではないでしょうか。ところが、お雑煮には、地域によって、否、家によってとも言えるほど、さまざまなものがあるようです。
インターネットで検索してみると、いろいろなお雑煮が見つかります。関東は四角いお餅、関西は丸餅というのはよく知られています。具にも、鶏肉、ブリ、鮭、小松菜、人参、大根、カブ、かまぼこ、海苔など、変化に富んだ食材が使われています。山陰地方の一部などでは、なんと小豆の汁のお雑煮も食べているようです。
お雑煮には地域でとれるものを入れることが多いようで、その土地の暮らしと結びついていると言えます。また、長野県の松本などでは、山に囲まれた地域であるにもかかわらず、お雑煮にブリを入れるといいます。それには、かつて「ブリ街道」と呼ばれる道を通って、富山湾で水揚げされたブリが信州まで運ばれていたという歴史的な背景があります。
2010年11月、「フランス料理」と「メキシコの伝統料理」が料理として初めてユネスコの無形文化遺産に登録されました。フランス料理については、人生において重要なひとときを祝うために人々を結びつける社会的慣習であること、メキシコ料理ついては、農作、儀礼、料理の技術、先祖代々伝わる習慣などを含む文化の包括的なモデルであり、食物の栽培から収穫、料理、食事までの連鎖のすべてから成り立っていることが評価されたそうです。「食」も人類が長い歳月を経て育み、受け継いでいくべき文化の一部であることが今回の無形文化遺産への登録によって確認されたと言えます。
地域的なオリジナリティが失われつつあると言われる今でも、お雑煮をはじめ、「食」にはその土地に暮らす人々の歴史や文化が実は色濃く反映されているのではないでしょうか。そしてまた、それは不変のものではなく、移住などに伴う人の移動によって、さまざまな地域や民族の文化とも影響し合いながら、脈々と受け継がれていくのだと思います。 (佐野彩)

 
 

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