ユネスコサロン
「古都保存法」と風致保存会

講師は、このテーマに最もふさわしい公益財団法人鎌倉風致保存会常務理事兼事務局長野田充博氏。鎌倉風致保存会常務理事・事務局長野田氏
鶴岡八幡宮裏山の御谷(おやつ)の開発反対運動を契機に、鎌倉風致保存会が発足し、「古都保存法」が成立、鎌倉のみどりが守られたことを覚えています。
あれから45年。この法律が、その後どのような役割を果たし、これからどんな事が期待できるのか、という疑問を解くためにサロンは開かれました。4月23日(土)14:00〜16:00会場はカトリック雪ノ下教会。参加者20名。
古都保存法
(古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法)
議員立法として昭和41年4月15日施行。内容はきわめて画期的で、特別保存地区の許可が知事から得られない場合、「買取り」の行為がでてくるため凍結保存の法律ともいわれました。買取りの国の補助は70%。

首都圏近郊緑地保全法
古都保存法より半年遅れて昭和41年6月30日施行。古都保存法に比べて国の補助は55%。
都市緑地保全法(後に都市緑地法と改正)国の補助は1/3。
緑地とは、世界遺産のコアを取り巻くバッファゾーンのように、都市の中の良好な自然環境をさします。鎌倉市は、この3法あわせて市域の1/3の約1,300haが指定されております。

景観法
この法律は、良好な景観の形成を促進するのが目的。鎌倉の場合、「鎌倉市都市景観条例」により、平成20年には鎌倉景観地区(旧鎌倉の224,8ha)。北鎌倉景観地区(7,2ha)を定め、建物の高さ、デザイン、色彩を定めました。高さ制限15mに初めて法的根拠が与えられたのです。

歴史まちづくり法
この法律は地域の歴史的価値に高い建造物及び周辺の市街地が一体になって良好な市街地の環境の維持及び向上を図ることを目的にしております。

鎌倉風致保存会の歩み
昭和39年12月東京オリンピックの年に設立。昭和40年風致保存会独自に市内69ヶ所、保存区域に指定。昭和41年1月超党派の議員立法で「古都保存法」成立。昭和41年6月御谷山林を買収(日本のナショナル・トラスト第1号)。市民団体が私権を超えて法律を作り山林を買収したことは、行政側にカルチャーショックを与えた。しかし市民団体は継続して管理する能力は無かった。昭和40年代半ば風致保存会は休眠状態。昭和57年頃から市役所中心に風致保存会を再興。昭和58年4月大仏茶亭の保存助成開始。昭和59年10月十二所果樹園の一部賃借保存。平成2年3月笹目緑地買収。平成9年3月100人委員会を公募。平成10年1月会員制度を取入れ会員募集。平成11年4月「鎌倉の世界遺産登録をめざす市民の会」の事務局を風致保存会に置く。平成12年〜16年鎌倉市内全域を悉皆調査、戦前に立てられた建築物の分布調査を実施。平成13〜15年史跡と史跡と思われるもの調査。平成18年1月十二所果樹園全体買収。平成23年4月公益財団法人に移行。

今後の課題
日常活動は
@みどりのボランティア活動
A山の手入れ
B世界遺産登録の事務局業務。
目標設定は
C高齢化解消。
D住宅地のみどりを守り、歴史的建造物と景観を守ることと述べられた。(鴇澤)

 
 

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