浜松ユ協の主管で6月20日(土)〜21(日)に開催された今年の中部東ブロック研究会は、UNESCOのS、サイエンスをテーマに設定したことが従来にないユニークな点。福島原発事故がまだ収束しなくて、最先端の科学技術である核エネルギーにどう向き合うかが問われている時にまさにタイムリーでした。参加者は約150名、当協会から7名参加した。
基調講演
現在、静岡文化芸術大学理事長であられる著名な有馬朗人先生。子どもたちの科学する心を育てることが世界の平和に結び付くことを、ご自身が物理学者を目指すことになった小学生時代の経験(影響された本、夢中になった模型作り、家庭での躾など)を披露して平易に語られた。最後に、元文部大臣・科学技術庁長官の立場から、今回の原発事故で日本中が一気に自信喪失に陥った感があるが、「はやぶさ」の地球帰還、あれだけの突然の大地震にあってどの走行中の新幹線も見事に止まったなど、日本は世界最高水準の科学技術力を有していることに充分に誇りを持って、この原発危機を乗り切って欲しいとの力強いエールを送られた。
浜松ユネスコ協会の活動報告
「子どもたちに科学する心を」を多年にわたり実践されているのが浜松ユ協であり、基調講演に続けての浜松ユ協活動報告は素晴らしいに尽きた。小学生を対象とした「科学教室」は今年で四半世紀を迎えた。毎年150名前後の応募者に対し、4月に開校式の後、生命、自然から電波、宇宙に至るまで7回に分けて実地研修を含めて学び、翌年3月に閉校式があって修了証書がひとり一人に手渡される。その毎年の行事に、学校の現役教員を主体とする30名近い会員がアテンドするというのだから凄い。
他に、春夏秋冬の4回開催の自然観察会、更には小中高等学校生徒に対する毎年の自然科学賞表彰なども充実しており、当協会を含めすべての参加ユ協が非常に良い刺激を得た。
鎌倉ユネスコ協会の活動報告
鎌倉からは、尾花副理事長が中心となって、久保理事と山田(ミ)理事が補足する形で、当協会の識字・世界遺産保全支援活動について報告。ご自身の日本ユネスコ協会連盟事務局長時代にマイケルジャクソンの訪問を受けたことがきっかけとなって世界寺子屋運動が始まったエピソードをまじえて、支援先へのスタディツアーを通しての「顔と顔の見えるユネスコ・コーアクション」を基本理念として、これまで22年にわたり総額3500万円近くの支援をしてきた内容を具体的に説明し、参加者一同に感銘を与えた。
他のユネスコ協会の活動事例
木曽ユ協の木曽御嶽山の地域遺産保全活動および忍野ユ協の地域の子どもへの体験学習会についての事例報告には、両ユ協が会員の減少傾向と高齢化の中にも拘わらず熱心に取り組まれていることに、また厚木ユ協の東日本大震災発生直後のユース会員総出による街頭募金活動で多額の支援金を集めた報告には、すぐにアクションで応える厚木ユ協の若い会員の行動力に、それぞれ大いに感動させられた。
日本ユネスコ協会連盟の報告
毎回の日本ユネスコ連盟からの報告で、内田専務理事が今年4月から公益社団法人になったことで何が変わるかについての詳しい解説の後、青山職員が総額約2億5千万円の東日本大震災こども支援募金による被災学校就学困難児童に対する支援状況と今後の支援計画や世界寺子屋運動の各国進捗状況などについて説明。
日本ユネスコ国内委員会の状況について、当ブロック代表国内委員である鎌倉ユネスコの森井理事が、国内のESD(持続発展教育)浸透とユネスコスクール登録の拡大(加盟数は申請中を含め369校に)への取り組み、ユネスコ3大遺産事業(世界遺産、無形文化遺産、記憶遺産)の進捗状況などについて報告。
なお、研究会開会式では鎌倉ユネスコ石田理事長が日本ユネスコ協会連盟中部東ブロック代表理事の立場で主催者挨拶をした。
来年の当ブロック活動研究会は、山梨で9月8日(土)〜9日(日)に「ユネスコが育む人の絆と地域の環」をテーマとして開催される予定。(石田)
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