《私たちはさまざまな願いを“祈り”に託してきました。そしてこの夏、鶴岡八幡宮の「直会殿」が、宗教や民族の違いを越えた“祈りの場”となります。託す願いは二つです。一つが2010年3月10日に倒れた大銀杏の根元から芽生えた「ひこばえ」の生命力に感謝し、その再生を願うこと。一つが2011年3月11日の大震災で、亡くなった方々の「鎮魂」と、ふるさとの「復興」への願いです》。
以上は今年5月、鎌倉・鶴岡八幡宮が呼びかけた祈りの言葉。その祈りの場・直会殿で7月15日から31日、いのちの画家・吉田堅治展が開催された。パリ在住44年のあいだに大英博物館ギャラリーやユネスコ本部で個展開催。
一昨年逝去の画伯の遺作数十点が八幡宮に寄贈された記念展。海軍航空隊特攻隊員の生き残りとして、喪った戦友たちの鎮魂から絵筆をとった画伯の生涯を見はるかす大作の公開は大きな感動を呼んだ。
「よみがえれ大銀杏!」
祈願こめての支援金贈呈
第二次世界大戦で散っていった戦友への鎮魂をこめた吉田画伯の初期作品は黒一色。やがて画伯は金・銀箔でいのちの輝きを表現、91年メキシコ訪問後は赤・青・緑を使っての躍動感溢れる作品群を制作した。その圧倒的な絵画を鑑賞しての興奮をそのまま持ち込んで、初日午後、八幡宮斎館で開かれたレセプション席上,同展を後援した鎌倉ユネスコ佐藤美智子会長から吉田茂穂宮司に50万円が寄託された。(写真)
これは「よみがえれ大銀杏」への願いを込めての支援金。大銀杏の倒伏以来、その甦りを祈念して少しでもお役に立てることがあればと検討してきた結果、世界遺産登録促進を願って「世界遺産支援絵はがき」発行に原画の使用を許諾くださった平山郁夫初代会長の祈りがこもった絵はがき頒布収益から、大銀杏が次世代・後世に「八幡さまの大銀杏」として愛され、継承されることを祈念しての寄託となった。神道の神髄は「ひたすらの祈り」と語る吉田宮司や並みいる神官諸侯のお顔が一瞬ほころんで見えた。(尾花)
W.H.支援に120万円寄託
鎌倉ユネスコは、本年度前半の世界遺産(W.H.)関係支援金として、平山郁夫画伯による絵はがき収益から下記支援金を寄託した。
◆平山郁夫シルクロード美術館へ
70万円(世界遺産研究助成)
◆鶴岡八幡宮へ50万円(「よみがえれ大銀杏」) |