勉強会
「原発の何が問題か?」

原発に対し正しい見識を持つ為に科学環境委員会は去る7月30日に標記勉強会を会員向けに緊急に企画開催した。

場所はNPOセンター大船、参加者は会場一杯の35名。講師には、現在芝浦工業大学他で非常勤講師をされている後藤政志氏をお招きし原発の何が問題かました。先生は大手電機メーカで原子炉格納容器設計に実際に携わられた経験をお持ちで、その為福島第一原発事故発生の直後より原発の安全性問題について、色々な場所(参議院行政監視委員会、NHK特別番組、等)で乞われてお話しをされ、著書(共著)もご出版など、この分野の現在の第一人者のおひとりです。

以下講義内容を紹介します。
事故の直接の原因は、地震と津波に襲われ、制御源の電気を失ってしまい原子炉冷却不能に陥った事である。炉内の圧力を下げる為、汚染蒸気を排出するベント作業を決断した現場の心境は、苦渋に満ちた大変なものであった筈である。水素爆発が建屋で発生した事は、燃料棒が溶融している事を意味し、メルトダウンに続き、水蒸気爆発で原子炉が吹っ飛ぶ危機を予感させた。事故直後、格納容器内の圧力が二倍を超えた事は、「もうダメだ」と覚悟する事態だったが、爆発と被曝の危険の中、必死の水かけ作業により、奇跡的に温度上昇を止め得た事は、世界にとって、幸いであった。

一方、もしかしたら、地下水の汚染が、何年か後に発覚するかも知れない。幾重にも安全設計が施されているが、人が関与すれば必ずミスを犯す。実際に日本でも、定期メンテナンス時の制御棒の落下ミスが多発していて、その内2件は臨界事故になった。大事故は必ず発生すると知らなければならない。否応無しに原発と共存しているが、再生可能エネルギーの利用に道を拓く事は可能な事である。 以上、先生からのメッセージを共有し、今生きる我々には、ひとたび事故が発生すれば人類にとって破局的な結果をもたらすという意味で、許容範囲を越えたこの危険な科学技術を、使わない知恵と行動こそが求められている事を学んだ。
(神澤貞臣)

 
 

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