アジアユースオーケストラの国際交流

チャイコフスキ−交響曲第4番の凄まじい迫力のある熱演は、8月28日昭和女子大学人見記念講堂を埋め尽くした大聴衆2千人を魅了し、鳴りやまぬ大拍手。カーテンコールが続く中、アンコールにエルガ―のエニグマの終曲が静かに流れ“友情と平和の思い”を奏でる演奏の中で最終日の感動的なコンサートの幕が閉じた。
今年のアジアユースオーケストラには才能豊かな若手メンバー102名が日本(11名)台湾(32)中国(29) 香港(12)シンガポール(4)マレーシア(4) 韓国(3)比国(3)ベトナム(3)タイ(1)から厳しいオーデイションをくぐり抜け選出された。6週間前に全員が香港に集結し、香港で3週間のリハーサルキャンプを済ませ、そのあと3週間のアジアツアーでの演奏。
8月6日の天津での初演、続いて北京、クアラルンプール、シンガポール、ハノイ、バンコク、香港、台北、東京の順で16回にわたるコンサート。8月28日東京を最後に翌日全員がそれぞれの国に帰国というタフなスケジュール。
自分の楽器を持って香港に集合し、言語・宗教・政治・環境・文化の異なる音楽を志す次の世代を担う若人(17−27歳)が、6週間の間に音楽を通じて互いに理解し合い、真心のこもった若さに満ちあふれた演奏で、アジア各地で多くの人々に感動を与えた若人の体験。東京を旅立ったあとは全員が揃って演奏することは二度とない、まさに一期一会の国際交流といえよう。
このユースオーケストラは、1987年にユ−ディ・メニューインとリチャード・バンチャスが創設。
1990年第1回目のツアーコンサート実施以来、今年で21回目を迎えたツアーはアジア、米国、欧州、豪州で325回の演奏。
チェロのヨーヨー・マ、バイオリンの諏訪内晶子、ほか世界超一流演奏家などと共演。延べ100万人以上の聴衆を魅了している。各国で多くの受賞歴がある中、昨年は「高松宮殿下記念世界文化賞」「若手芸術家奨励制度賞」を受賞。
鎌倉ユネスコ協会の佐藤劭理事がこのコンサートグループの日本代表として活躍中。今年も佐藤代表から鎌倉ユネスコ会員の協力へのお礼として当協会にご篤志を頂戴したことに感謝しつつ、この若人達の国際交流への羽ばたきに、期待したい。 (田村)

 
 

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