松尾市長の挨拶に続き近藤文化庁長官のビデオメッセージがあり、基調講演「私と鎌倉」と題して、キーン氏の話となった。 要約すると、キーン氏が日本文化に傾倒する切っ掛けは1945年に読んだ「源氏物語」に感動したことから始まる。 この年初めて鎌倉大仏を訪ねた時「満月の光を浴びたあの姿を観た時の感動は生涯忘れられない」と述べられた。 続いて鎌倉在住の文化人にも触れ、作家の高見順氏が1945年東京大空襲の後に書いた日記に「戦災に耐え忍ぶ人に対して、共に生き、共に死にたい」と記述していることに強く心を打たれ共感した。 第2部のシンポジウムでは、まず、ゲストのキーン氏が鎌倉の魅力に触れ「鎌倉は歴史、宗教、自然環境、何れの面からみても素晴らしく資格はあると思う、然し世界遺産に登録されることで鎌倉が安っぽくならないで欲しい」と結んだ。富士川義之氏(元東京大学教授)は世界遺産は鎌倉に限らず世界の公共財産である、鎌倉のアメニティ(快適さ)が登録される事で損なわれることを恐れる。更に佐藤美智子氏(鎌倉ユネスコ会長)も、鎌倉が世界遺産になるかならないかでなく、世界遺産になるべき本当の意味をよく識ることが肝要である、と結んだ。 鎌倉市民の多くがもっと真剣に鎌倉の持つ真の宗教文化や自然の魅力を理解することこそが登録への近道ではないか、と思う。 (光永) |
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