平山先生と真長寺
永井 一善
平成13年上野の芸大で行われた『よみがえる日本画1000年の知恵』展に岐阜の真長寺の釈迦涅槃図や文殊菩薩像等数々の日本画が展示されました。真長寺の佛画は鎌倉〜室町時代に画かれたもので痛みが激しく、当時芸大の学長をされていた平山郁夫先生がすぐに修復すべきであると言われ、技術面での指導のみならず金銭面でも「文化財保護振興財団」や「住友財団」に働きかけ1,000万円を越える援助をされ、平成の世に甦ったものです。
真長寺の和尚はアルムニ・ユネスコのメンバーで裏山に「あじさい」を植えて第二の『あじさい寺』にする計画をたてています。
馬頭琴の音色に想う
加藤 峯子
モンゴルの楽器、馬頭琴を聴く機会に恵まれた。聴きながら民話「スーホーの馬」と平山画伯のシルクロード絵画が脳裏に次々と浮かんできた。あの美しい色、岩群青の絵も…。風の音、空の色、水の音が聴こえてくる様な響きであった。ああこんな響きの中で先生は沢山の作品を創り出されたのだと。傍らでは奥様が鉛筆を一本一本削られているお姿が目に浮かぶ。
御夫妻二人三脚で創り上げられた平山ワールドに鎌ユのメンバーであるお陰で身近に接することが出来て幸せです。
馬頭琴の美しい音色に誘われて果てしない夢想が広がった一夜でした。
フェルメール
門田 よし江
オランダ人画家、青紫色に輝く花「ジャカランダ」の色を好んで使った画家である。南米原産で世界三大木の一つで日本では育ちにくいとされていますが、神奈川歯科大から種をいただき、発芽させ、今若木が1mほどに育っています。現存するフェルメールの作品は37点しかなく、そのうちの3点が今年8月から10月まで京都市美術館で展覧されましたが、最高傑作の「真珠の耳飾りの少女」のターバンがその色です。通称「フェルメールブルー」として親しまれています。市民の暮らしを画き、やわらかな光の表現がカラー写真のようだと注目されています。
世界遺産で結婚式!?
松本 由比
「平泉―仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺産郡―」が世界遺産に登録されて半年。遺産群に含まれる中尊寺で、まもなく大事な友が結婚式をあげる。彼女は岩手県庁で働く県庁の星。世界遺産登録以前から平泉文化を伝えるための紙芝居を制作し、地元の子どもたちに読み聞かせを行う活動をしていた。お相手は中尊寺近くの和菓子やさんのイケメン跡継ぎという。岩手は3.11の震災被害にあった場所として記憶も古くない。まだ復興半ばというが、新しく世界遺産に登録されたり、味のあるカップルが誕生したりと、たくましく時が流れていくことを実感する。
「ふるさと」は歌えない
渡部 研自
大震災の3ケ月後、郷里の男子校と女子高の合同同期会があり参加した。福島原発から60~80km、放射能の心配も払拭されていない地域。例年よりも多くの参加者で盛り上がった。しかし、二次会のカラオケで“ふるさと”を思い起こさせる唄を歌う人はいなかった。そういう類の唄は、今年は絶対に歌ってはいけないことを、いや、そうではなくて、すぐ歌い続けることができなくなってしまうことを、皆が承知していたとしか思えない。
あの友この友の安否を確かめ合い、もうこの世にいない友の事々を思い起こしたばかりである。同期会は少ない言葉でお互いにわかり合える仲間。それぞれが各自の人生の大切な一部である。気楽に「ふるさと」を合唱することなど出来る訳がない。 |