ユネスコサロン
アカデックス・プロジェクト
コンゴ民主共和国の教育支援について

去る10月2日(日)、鎌倉市社会福祉協議会において上記のサロンを開いた。講師は映画監督 落合賢氏。夏休みにコンゴへ行ってきた2名の大学院生、武藤奈穂さん、代田有佳理さんがパネリストとして参加した。出席者は33名。落合賢監督
落合講師を紹介後、代田さんと武藤さんの自己紹介があり、講師がサロンの進め方を説明。コンゴ民主共和国の紹介、アカデックス小学校の説明、ドキュメンタリーの映像、ティータイム、その後、教育学科と建築学科の映像を見ていただきます、と説明。

コンゴはどこに
日本から香港・南アフリカ経由で約20時間で入国できる。アフリカにコンゴ共和国とコンゴ民主共和国と二つある。コンゴ民主共和国は首都はキンシャサ,言語はフランス語(公用語)、スワヒリ語、キコンゴ語、リンガラ語など、識字率は2年前65%、今回聞いたら67%にあがっていた。男女比は男性の識字率が高い。宗教はカトリック、プロテスタント、イスラム教と続く。季節は雨季と乾季の二つ。
国情はまだ不安定。学校も公立と私立がある。私立公立ともに運営がなかなか安定せず、水準はばらばら。1年生は教科書なしで現地語、2年生ぐらいから教科書を使ってフランス語を学ぶ。

プロジェクトの目的
首都郊外の学校を建設すること。コンゴと慶應義塾大学の教育と建築領域の研究室と一緒に学校を作ること。活動内容は日本の学習ソフトを採り入れて学習環境を整え安定した学校運営の継続である。
このプロジェクトの発端はサイモン先生の発想に基づいている。
コンゴではよく"This is Congo"と言われる。コンゴだから出来ないという諦めの意識がある。これをなくすこと。「魚を与えるのではなく、採り方を教える」教育を目指している。
コンゴに資金提供をする企業や国はあるけれど大切なのは、その運用方法の定着とさらには自ら継続的に資金を生み出す方法を普及させること。そこで先生は必ず授業料をとることにしている。この考えに建築部門は慶応大の松原弘典研究室が、教育の質の部分は長谷部葉子研究室が協力している。

アカデックス小学校
首都の郊外に位置しており、気軽に高度な教育を受けられるように、校舎は2008年から建設をはじめた。完成時には6棟の校舎が完成する。1年に1棟ずつ造り、現在は3棟まで完成していて、年毎のノウハウが活かされている。
現地で調達できる材料と技術を基本的には使う。子どもたちにも自分たちの学校という気持が芽生えてきていて、学校の敷地に畑をつくり、そこで収穫された野菜を使って食事を作ることも視野に入れている。授業料は3ヶ月で20ドル。開校が2009年、生徒数は現在108名。3棟の校舎で幼稚園組2クラス、1年生、2年生、3年生がそれぞれ1クラスずつ。教職員は5名でスタート、いまは9名。武藤菜穂さんと代田有佳理さん

サロンで考えたこと
日本のユネスコ協会で考える識字運動は、現地の要望に応えて、文房具や資金を提供する。今回の慶応義塾大学の学校建設のプロジェクトは、建築技術ソフトと教育のソフトをコンゴの人々とともに考え、実現しているのはまったくすばらしい。大学側から見れば、プロジェクトに参加した学生たちの視野を広げる効果がある。映像に現れたコンゴの人々はみな輝いていて、建国の意志がみなぎっていて、見ていてうれしかった。
質疑応答で、鎌倉ユネスコ側から、コンゴへの文房具の提供など提案されたが、実現できれば、サロンがさらに効果を挙げることであり、嬉しい限りである。(鴇澤)

[講師とパネリストのプロフィール]
落合 賢氏 映画監督1983年東京都出身、高校卒業後、名門南カリフォルニア大学映画製作学科入学。卒業後アメリカ映画協会付属大学院映画監督科に23歳で合格。現在28歳。ロスアンジェルス在住。鎌倉ユネスコ法人会員。
武藤 奈穂さん 川崎市出身、現在、慶應義塾大学大学院 政策メディア研究科 修士2年松原弘典研究室所属。アカデックス・プロジェクトに参加して、コンゴ民主共和国へ2回訪問。
代田 有佳理さん 大阪府出身、現在、慶應義塾大学大学院 政策メディア研究科 修士2年長谷部葉子研究室所属。コンゴ民主共和国訪問2回。

 
 

もくじ