前モロッコ特命全権大使の広瀬晴子氏による、UNESCOで10年にわたり要職を歴任された経験に基づくご講演。要旨は以下の通り。 ユネスコ協会/クラブは世界に4,000ほどあるそうだが、その内270余りが日本国内にあり、それぞれが地に足のついた草の根活動を展開していて、かつそれらが日本ユネスコ協会連盟によってまとまっており、ユネスコを通じ世界につながってグローバルな視点を持った活動をしている。国際機関UNESCOにとって広報の面、活動支援の面で力強い応援団である。 日本は、国連に加盟を認められた時よりも5年早く、平和条約が締結される前の1951年7月にUNESCOへの加盟を果たしたが、これもユネスコ協会の活動が認められたせいである。そこには世界平和を目指す当国際機関への敗戦後の日本国民の強い思いが表れていたと言えよう。 UNESCOへの貢献は、日本は資金面で第一位のアメリカ(22%)に次ぎ第二位(12.5%)で、最近アメリカがパレスチナ承認問題で分担金の支払いを停止した状況からも見て日本の貢献がダントツである。一方でUNESCOの職員数2,398人のうちに日本人は63人であり、松浦事務局長時代に“望ましい国別人員数”に達したとは言え、幹部職員数はまだまだである。影響力を増すために、国際場面で活躍できる人材の育成が課題である。 UNESCOは、対象分野が、教育・科学・文化からコミニュケーションまで幅広いが、総予算は直近の2年間で$633million(約522億円)、世界規模での事業展開のためと考えると多くないし(日本の中堅大学ほど?)、人材も同様に十分とは言えない。 そんな中で,ユネスコ協会は、UNESCO精神に呼応した草の根活動、それらを踏まえた日本政府を通じた提案、参加等々により貢献を続けており、それに対する期待は大きい。一方でその貢献を更に効果的にならしめるのは、活動対象の絞り込み、UNESCO、そして日本政府、他の国際機関、対象国の政府やNGO等々との更なる連携が望まれる。 |