◎ユネスコ文化講座世界遺産は地球人の宝もの 

        主催:目黒区教育委員会   主管:目黒ユネスコ協会

        9月14日(木)18:30-20:00  目黒区緑が丘文化会館

        講師 日本ユネスコ協会連盟  世界遺産・国際教育グループマネジャー 川上千春氏

  ユネスコ語学講座「イタリア語入門」の受講者を含めて60名近い人たちが耳を傾けるなか,川上氏はまず「ユネスコのマークは何をかたどったものか?」「ユネスコ本部がある場所は?」とクイズから始められ,ユネスコの活動,市民が中心となった民間ユネスコ団体は最初に日本で生まれ世界に広まったこと,その熱意が通じて,日本が国連のユネスコに加盟できたことなどを話された。さらにユネスコの大きな活動として世界の非識字者に対し識字教育を展開していること,日本で始まった世界寺子屋運動などをわかりやすく述べられた。

 次いで世界遺産について,世界遺産条約とは何か,エジプトのアブシンベル神殿がダムに沈む危機から国際協力によって救われたことなどがビデオで紹介された。世界遺産のなかには,自然災害をはじめ大気汚染による酸性雨,大規模な開発による環境破壊,無理解な観光客による破壊や汚染などによって重大な危機にさらされており,その保存,回復がいかに大変であるか,また世界遺産だけが価値のあるものではないこと,我々の身近にある自然や文化を大切に守り育くんでいくことが重要であり,民間ユネスコの役割が期待されることなどを熱心に話された。 それにしても日本では世界遺産が著名な観光地のお墨付きだと誤解されている傾向があり,世界遺産は決して観光客のためにあるのではないことを強く思いつつ会場をあとにした。

 ◆このあと「イタリア語入門]講座の受講者に対するオリエンテーションが行なわれ講師のマリーノ・サルビオ氏より説明があった。     吉澤記

 ◎ユネスコ文化講座「文化と教育」

  主催:目黒区教育委員会  主管:目黒ユネスコ協会  9月11日(月)18:30−20:30  目黒区守屋教育会館 講師 国立教育研究所 企画調整部長 相良憲昭氏

 「人間には個性がある。社会にも個性がある。」と金田一春彦氏の言葉から、先生のお話は始まった。文化とは何か。使われる言葉としての文化を例に引き、続いて語源としての文化を説明され、また文明とはどう違うのかを述べられた。日本のように一つの国で日本語というのは世界的には珍しいのであり、フランスなどはフランス語のほかコルシカ語、イタリア語、アルザス(ドイツ)語、ブルターニュ語、ケルト語、オック語、カタロニア語、ブルトン語等多岐にわたっている。そういうなかで、今日本のなかから文化がなくなりつつあるといえる。若い人が話す言葉は日本語ではない。色々な言葉があるからこそフランスではフランス語を大切にしている。

 教育とは各々の文化が育んだ価値観を継承する事を言う。その文化が価値を認めるから学習をする。教える「教師」は権威をもってその価値を教えなければならない。現在、多数の人が良いと思っている様な水平感覚では文化の継承は不可能である。日本から文化が消えつつあるのではないかと憂れいている。

 能や歌舞伎の世界はゆるぎない縦型社会で文化が継承されている。この様な特殊な社会でなくても各家庭でも各々継承されるべきものはあるはずである。そして「躾などは親の権威をもってやるものである。皆様の家庭ではどうですか。」と質問を投げかけられた。我が家ではどうだろうか、と参加者は各々自分自身に問いかけ直した事でしょう。

 最後にフランス語受講者には「辞書を引いて、引いて、引きまくる様に。」とのアドバイスがあつた。       (講師:目ユ協常任理事)

 ◆引き続き「フランス語会話入門」講座の受講者に講座の内容その他オリエンテーションがあった。            宮崎・平田記


◎全国ユネスコ実務者研修会開催される

   9月16・17日の2日にわたって、日本青年館で、2000年全国ユネスコ実務担当者研修会が85名の参加を得て開かれた。 

   目ユ協からは加藤会長はじめ5 名が参加した。    報告 : 副会長・平田康夫 

 冒頭、日本ユネスコ協会連盟の村井理事長から「ユネスコ協会の現状分析と21世紀への展望」と題して講演がありました。理事長は、「来年はユネスコ加盟50周年にあたる記念すべき年であり、それなりの準備をしていきたい。またユネスコを我々が内々に理解しているだけでよいのかという思いもあって、『外からみたユネスコ』について電通に分析してもらったがユニセフとのイメージの違いや、募金規模などでユニセフと格段の差があることが分かり今後検討すべき課題が示された。基本的には、ユネスコは人が集まる基盤づくり、相互理解の磁場づくりが役割であると認識している。」等と話され、また「50年という節目で、改めて行政との関係を考えていきたい。教育委員会や知事部局への具体的な働きかけが重要である。松浦ユネスコ事務局長は『教育のみでは、援助とか南北問題とかがでて、どうしてもOECDマター(註:経済第一主義)になりがちなので、教育とともに文化の交流に力点を置いていきたい。人事や組織にメスを入れていく。』といっているので、我々としても積極的に応援をしていくつもりである。約7億円の協会連盟の基金が生きていない。維持会員が減少しているなどの当面の課題がある。」等の話がありました。 

  午後はワークショップで、鎌倉ユ協の鴇沢氏から「ユネスコ協会のリニューアルをどのようにすすめるか」という課題の説明がありました。鴇沢氏は、機関誌「ユネスコ」9月号掲載の「いきいきと活動するための自己診断表(チェックリスト)」をもとにA:市民へのひろがり、B:柔軟な運営、C:多彩な活動、D:広報活動、E:リーダーの条件、F:活動の資金の合計40項目のリストを作成した意図を詳細に説明し、所属協会の発展のために役立てて欲しいと述べました。このリストを素材として1:市民へのひろがり 2:会則・理事会・事務局 3:人材育成 4:広報 5:行事・イべント 6:柔軟な運営 7:高校ユネスコクラブ活動の7つの分散会がつくられ、それぞれの分散会で熱心に意見交換がありました。

 翌日は、分散会の報告と全体討議、さらに目ユ協の加藤会長が全体のまとめとして、「自立、連帯、信頼、パートナーシップ、情報の伝達と発進(掘り起こしと種まき)」などのキーワードを軸にユネスコの展望を締めくくりました。

 今回の実務者研修会は、課題が率直に提示され、ユネスコを当事者自身どう展望し、解決していくかが真剣に討議され、参加してよかったと感じました。             

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