持続可能な社会の担い手を育てるには
日本のSDGs進捗状況は166ヵ国中21位
先月発表されたSDGs進捗状況に関する報告書「持続可能な開発報告書2023(Sustainable Development Report2023)」はもうご覧になりましたでしょうか。
今年の報告書では「SDGsの各目標は、達成の道筋から大きく外れている」と表明、このままのペースでは2030年までに目標を達成できない、と強い警鐘が鳴らされています。
日本の進捗度合いの順位は166ヵ国中21位。前年から2ランク下がって、停滞傾向にあると言えます。特に最低評価の「深刻な課題」とされたのは、「ジェンダー平等」(目標5)、「つくる責任、つかう責任」(目標12)、「気候変動対策」(目標13)、「海の環境保全」(目標14)、「陸の環境保全」(目標15)の5つです。
ESDで世界をリードする日本
一方、SDGsの達成に欠かせない「持続可能な社会の担い手を育てるための教育=ESD(Education for Sustainable Development)」では、日本は世界をリードする立場にあります。 ESDは日本の提唱によって世界に広がり、学校の教育現場や地域社会を中心に多様な活動が実践されています。
全国のユネスコ協会・クラブでもESDに取り組むなかで、さまざまな成果を上げています。そうした活動事例を共有し、ESDへの理解を深め、広げるために、ユネスコ協会会員有志による学習会を定期的に開催しています。
泥んこになりながら自然に触れる広島の干潟観察会
7月8日に開催した4回目となるESD学習会では、広島干潟生物研究会の政木恵美子会長(広島ユネスコ協会所属)に同研究会の活動を発表いただきました。
昨年度の「ユネスコ協会・中国ブロックESD活動顕彰」も受賞した同研究会では、地域の子どもたちを対象に広島県内の干潟観察会を実施。2013年の活動開始から延べ4581人が参加する活気あふれる事業を継続しています。泥んこになりながら自然に触れられることが特に好評で、参加者の中には、この観察会がきっかけで大学で生物研究の道に進んだ人もいるそうです。自然体験を通して、子どもたちだけでなくその保護者も大きな学びを得ています。
ESDに関心のある方なら誰でも参加できるこの「ESD学習会」、次回の開催は9月を予定しています。参加者からは、学校や他団体との連携方法のアイデアをつかめた、失敗談もあってざっくばらんな意見交換ができた、などの意見をいただいています。今まで取り組んできたことを改めてESDの視点で見つめ直す機会にもなります。皆様のご参加、お待ちしています!