日光、特に奥日光は日本でも有数の探鳥地です。段階的で大きな標高差と多様な植生環境、湖沼・湿原・草原・樹林帯・山岳地域など様々な自然環境がいろいろな種類の野鳥に住処を提供しています。1946年以降に確認された野鳥は18目43科175種類と言われ、まさに野鳥の楽園です。
野鳥は、一年中生息している留鳥、春から夏ににかけて繁殖のため日本にやってくる夏鳥、越冬のため日本にやってくる冬鳥、春と秋に日本を中継地としてシベリアや東南アジア、あるいはもっと遠い地域へと、繁殖や越冬の旅をする旅鳥、に分類できます。
また種類によって、樹林を好む鳥、水辺を好む鳥、湿原や草原を好む鳥、高山を好む鳥、人里を好む鳥と、生息環境も様々です。
奥日光のいくつかのエリアを例に、そこで出会うことのできる野鳥とその季節をご紹介します。
日光白根山、男体山 |
高山エリア |
イワヒバリ(夏鳥)、アマツバ メ(夏鳥)、ホシガラス(留鳥) |
湯元、金精峠 |
針葉樹林 |
キクイタダキ(留鳥)、ルリビタキ(留鳥)、ウソ(留鳥)、キバシリ(留鳥)、コマドリ(夏鳥) |
光徳 |
広葉樹林 |
キビタキ(夏鳥)、サンショウクイ(夏鳥) |
戦場ヶ原 |
湿原・草原・林縁 |
ホオジロ(留鳥)、アオジ(留鳥)、モズ(留鳥)、アカハラ(夏鳥)、カッコウ(夏鳥)、ビンズイ(留鳥)、ニュウナイスズメ(夏鳥)、ホオアカ(留鳥)ノビタキ(夏鳥)、オオジシギ(夏鳥)、コサメビタキ(夏鳥)、マヒワ(冬鳥)、ハギマシコ(冬鳥)キレンジャク(冬鳥)、ヒレンジャク(冬鳥) |
湯の湖、湯川 |
水辺 |
オオルリ(夏鳥)、キセキレイ(留鳥)、セグロセキレイ(留鳥)、カワガラス(留鳥)、ミソサザイ(留鳥)、マガモ(冬鳥)、カルガモ(留鳥)、ホシハジロ(冬鳥)、キンクロハジロ(冬鳥) |
千手ヶ原、山王峠 |
笹ヤブ |
ウグイス(留鳥)、コルリ(夏鳥)、ヤブサメ(夏鳥) |
中禅寺湖畔市街 |
人里 |
ムクドリ(留鳥)、スズメ(留鳥)、キジバト(留鳥)、ハシブトガラス(留鳥) |
日光全域 |
人里 |
シジュウカラ(留鳥)、ヤマガラ(留鳥)、ヒガラ(留鳥)、コガラ(留鳥)、エナガ(留鳥)、ゴジュウカラ(留鳥)、コゲラ(留鳥)、アカゲラ(留鳥)、オオアカゲラ(留鳥)、アオゲラ(留鳥)、ホトトギス(夏鳥) |
代表的な探鳥コ-スはやはり戦場ヶ原自然研究路で、湯元をスタ-トし湯の湖、湯滝を経て湯川沿いに戦場ヶ原を歩いて、赤沼までがおすすめのコ-スです。休日の昼間はハイカ-も多く野鳥も人目を避けています。、早朝、できれば平日がベストです。季節としては5月から6月が野鳥の数も多く繁殖期の生き生きとした姿にであえます。防寒を十分にして、クロスカントリ-スキ-で冬の野鳥を探しに行くのもまた格別です。とりあえず観察用具は8倍程度のできるだけ口径の大きな双眼鏡と野鳥図鑑があれば大丈夫です。
日光には特別天然記念物のニホンカモシカ、天然記念物のニホンヤマネをはじめとして、多くの哺乳類が生息しています。これは奥日光を中心に比較的良好な自然環境が維持されているからで、日光が早くから国立公園としての指定を受け、奥日光全域が日光鳥獣保護区として保護されてきたおかげと言えます。日光を代表する大型哺乳類をご紹介します。
参考文献
奥日光ハンドブック・奥日光自然研究会/宮地信良編・自由国民社
新・美しい自然公園12・財団法人自然公園美化管理財団