1..野口昇様:公益財団法人ユネスコ協会連盟理事長 元ユネスコ本部(パリ)教育局プログラムスペシャリスト、文部省学術国際局課長補佐ユネスコ担当企画官
【UNESCOの特徴、世界遺産登録と文化ナショナリズム、最近の動き】
【講演概要】
* 「ユネスコ」の特徴、
・国連の専門機関の内 とても間口が広く唯一「文化活動」を扱うとてもユニークな機関である。
・日本の貢献があり、日本のイニシアティブで憲章が作られた経緯がある。
・平和を願う象徴として、パリユネスコ本部には日本庭園に広島の被災の壁、又瞑想の間には長崎天守堂、天使の顔がある。
・ユネスコ設立は第二次世界大戦末期、個人資格としての国際知的協議会から始まった。
戦後すぐ日本でのユネスコ活動が始まった。仙台そして大阪へと伝わった。
*世界遺産登録と文化ナショナリズム、
・関係国間の対立と・紛争の事例 ・文化民族の対立・紛争を乗り越えた事例
*最近の動・取組
・パレスチナのUNESCO加盟にアメリカが反発、分担金の支払いを凍結した…財政不足が発生している。
・現ボコバ事務局長の来日スピーチ(2012/2)の中でユネスコの創設とユネスコ協会の誕生について、
…UNESCO was created in London in 1945,but it was also born in Sendai
in 1947 …と称賛していました。
・国連「持続可能な開発のための教育の10年」~2014
2.松浦晃一郎様:ユネスコパリ本部事務局長 (1999~2009)
【ユネスコ無形文化遺産】 創設の経緯について
興味があったのはこの度「日本食?」が無形文化遺産と成りましたが、ユネスコ原文には、口承・伝統に基づいた社会的慣行としての文化「日本のお正月料理の日本食」が登録されたのである。 これには大変驚きました。
【講演概要】
ユネスコが登録する世界遺産は自然遺産、文化遺産、(複合遺産)があるが、
事務局長就任の在任期間に新しく『無形文化』をユネスコ無形文化遺産とする事を目標とした。世界文化遺産はそれまで欧米での考え方は必ず不動産を前提に定義されおり、不動産の無い、口承・伝統に基づいた文化への理解・定義がとても難しくかった。
日本には口承・伝統に基づいた文化無形文化財が多くあり、アジア・アフリカ各国からも賛同が得られた。就任後4年間で条約2003を作成し、条約発効2006までに2年半の、前例のない早さで「人類の口承及び無形遺産の傑作の宣言」(傑作宣言)が達成できた。
能楽(2001),人形浄瑠璃文楽(2003),歌舞伎(2005)が掲載された。
その後、各国から多くのユネスコ無形文化遺産が登録され人気があり、とても満足している。この陰には「中川のり子さんが中心的存在であった」事を忘れては成りません。 ・・・略・・・
松浦さんのまとめは
①日本が無形文化遺産条約に貢献したので、今後ももっと発言をしてほしい。 アジア・アフリカ諸国がこの活動への参加が多くなった。
②.西欧の無形文化遺産条約への参加国が少ない。
③.遺産の保全がとても大事で、人から人へと伝へる重要さがある。予算が少なくなっている。 日本としてもユネスコ無形文化遺産に貢献してほしい。
3. 中村雄二様:元駐イタリア大使
【講演概要】 【イタリアと世界遺産】
中村大使はヨーロッパの赴任が長く、イタリアの歴史、文化の観点からお話を下さいました。"イタリアの文化”は古代ギリシャ・ローマ、キリスト教のヨーロッパ文明の二大源流の中心地なので、世界文化の根底を成している。
象徴的には国連及びユネスコのマーク紋章はオリーブとパルテノン神殿である。
イタリアは全土に世界遺産登録があり、イタリア人にとっては身近な文化で、郷土愛が地域文化を支え、地域性がとても強く伝統的な地方都市の祭りが多い。
イタリア人としての意識はあまりないく文化を支えているのは、地域伝統である。
ドイツでは第二次世界大戦で壊滅したドレスデン・聖母教会は1990年ドイツ統一後に世界最大のジグソーパズルとして、残骸を積み上げ2005年に完成させた。 又「エルベ渓谷」として2004年登録され、2009年に登録抹消されても、登録の抹消に係わらずこの町には至る所に豊富な文化遺産を大事にした文化観光都市になっている。
日本、大阪・関西においては万葉からの文化が根付いており、大阪側ー奈良側と同じ山(名前)を、それぞれの立場で観て、歴史文化の中で受け継いで残しているのはとても興味深いことであります。
今後も大阪・関西に来る機会が多いですので、より理解を深めたいと思います。