市中から世界を変えよう!~海洋プラスチック問題解決にむけて~
横浜市立市ケ尾中学校
参加人数 全学年550人
助成活動期間2019年4月~2020年2月
活動のねらい
私たちの生活はプラスチック製品であふれ、今を生きる生徒たちにとって、とても身近な物である。その身近なプラスチックが世界の環境を破壊している現状を知り、自分たちにできることを考え、消費行動を変容させる。
活動内容
「海洋プラスチック問題」について学習をすすめ、中学生である自分たちにできることを考えていく中で、レジ袋の削減を取り上げ、全校生徒が持つ学校オリジナルマイバッグを作成した。
【背景】
本校では、2017年度から国際的な取り組みであるSDGsの考え方を生徒たちに広めるために、全校学活や全校道徳の時間を活用し「今地球が抱えている課題は何か」を知り、その課題解決について考えさせる時間を設定してきた。2018年度には、ストローが鼻に刺さったウミガメやプラスチック袋を飲み込み死んだクジラのニュース映像を見たことをきっかけとし、生徒会本部役員会のメンバーが週1回の会議で、プラスチック製品について書かれた新聞記事を読んだり映像を見たりして関心を高めた。また、映像や新聞記事をとおして、この思いを各委員会の委員長を集めた中央委員会のメンバーと共有した。
【2019年度(アシストプロジェクト助成活動)】
WWF(世界自然保護基金)ジャパンの専門家を講師に招き、生徒会本部役員会と中央委員会のメンバーを対象に「海洋プラスチック問題」の勉強会を開催した。勉強会では、私たちの身のまわりにあふれているプラスチックの量がどのくらいあるのかを実際に数字で確認し、消費したプラスチックがその後どのように処分されているのかを詳しく知ることができた。この勉強会の中で行なったワークショップでは、今回知った事実をもとに自分自身の毎日の生活を振り返り、プラスチックごみを削減するための方策を話し合うことができた。
SDGsの学習や講演会を受けての話し合いをすすめるのと同時進行で、生徒会本部役員会では、『市中オリジナルマイバッグ』の作成に向けて動き出した。海洋プラスチック問題に取り組み始めた当初から、プラスチックごみを減らすために「中学生」ができることとして考えたのが「レジ袋の削減」であった。中学校オリジナルのマイバッグを作成・配付し、全校生徒が買い物に出かけるときに持参することができれば、わずかながらも「レジ袋の削減」になるのではないかと考えた。『市中から世界を変えよう!』を合い言葉に、持ち歩きたくなるようなデザインを全校生徒に募集し、作成することを決めた。2019年10月には、本校で行なわれた文化学習発表会で、「海洋プラスチック問題」を題材とした劇を披露し全校生徒に問題提起を行った。その後マイバッグの完成も合わせて披露しこれまでの学習成果を発表した。
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SDGsについて知り、地球が抱える課題について考える授業
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WWFジャパンによる勉強会の様子
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『市中オリジナルマイバッグプロジェクト』の始動を知らせるポスター
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「海洋プラスチック問題」について全校生徒に訴えかけるプリント(全校学活で使用)
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『市中オリジナルマイバッグ』市中オリジナルキャラクターと海洋生物を描いたデザイン
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町内会での広報用に作成したチラシ(2020年度)
助成金の使途
助成額 10万円
(下記費用を、助成金から充当)
内訳 | 使途 | 金額 |
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通信費 | 送料 | 2,400円 |
印刷製本費 | 版代(7,000円×1版)、シルク印刷(70円×700個) | 56,000円 |
その他 | 商品代(118円×700個+税) | 93,880円 |
児童・生徒の変容
自分たちの生活に欠かせない物となっているプラスチック製品が、重大な環境問題を引き起こしていることを学び、身近な問題であることを認識することができた。プラスチック製品の利用を控え、レジ袋を受け取らないなど、自分たちにできる行動を積極的に行えるようになった。
先生の声
・生徒会本部役員の生徒たちが主体的に課題解決に取り組む姿が、全校生徒にとてもよく伝わっていた。
・生徒会本部役員のメンバーが替わっていっても、その理念と活動を引き継ぎ、しっかりと継続させ、発展させていくことができている。
・文化学習発表会で披露した劇が良かった。生徒たちにとっては「海洋プラスチック問題」についてわかりやすく知ることができた。
・生徒会本部役員だけの活動で終わらせるのではなく、全校生徒を巻き込む大きな活動にしていくことが難しかった。
・全校で共通して、学活や道徳の時間を用いて課題意識を共有させたことが良かった。
・中学校入学当初に、ユネスコスクールである本校の特徴を含めたSDGsの学習をしていくことが必要であると思う。
生徒の声
・「海洋プラスチック問題」がどのようなものなのか、学活や講演会をとおしてたくさん知ることができた。自分にできることは何かを考えていきたい。
・オリジナルマイバッグをぜひ使って、レジ袋の削減に貢献したい。
・生徒会の人たちが一生懸命考えてくれたことなので、自分も協力したい。
・先輩たちから引き継いできた取組が、『市中オリジナルマイバッグ』という形になって嬉しかった。みんなが使っているところを早く見たい。
・「海洋プラスチック問題」をどうすれば全校生に伝わるのか、考えることは難しかったけれど、とてもやりがいがあった。アンケートの内容やその結果報告の仕方を考えるのも楽しかった。
・地域の大人の方たちの前で、自分たちの取組を発表するのは緊張したけれど、自分たち中学生だけでは気づけない視点に気づけたことが発見だった。
学習成果発表の様子
「海洋プラスチック問題」を訴える劇での一コマ①
2019年10月に本校で行われた文化学習発表会の様子。
「海洋プラスチック問題」を訴える劇での一コマ②
「海洋プラスチック問題」を題材とした劇を披露し全校生徒に問題提起を行った。
『市中オリジナルマイバッグ』のデザイン発表
その後、マイバッグの完成も合わせて披露しこれまでの学習成果を発表した。
市ケ尾のまちで売り出したオリジナルマイバッグ
マイバッグ配付1か月後には「市中オリジナルマイバッグの使用に関する意識調査(アンケート)」を行い、マイバッグの使用率や活動の広がりを確認した。
また、2019年度末の学校運営協議会で、この活動を報告したところ、賛同してくださった地域の自治会がマイバッグを500個買い取ってくださり、その売り上げを元にマイバッグを増産することも決まった。
教材ダウンロード
資料なし