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循環型社会理解の基礎となる体験型
「暮らしと仕事」学習プロジェクト

横浜シュタイナー学園

参加人数 3年生 13人・4年生 20人
地域住民・保護者10人、近隣NPOほか15人

助成活動期間2020/4~2021/7

活動のねらい

牧畜や農と手工芸や土木・建築などの人の根源的な営みを実体験し、里山の循環型社会と結び付けて学ぶ。

活動内容

学園の特徴の一つである、3~4年生前半の総合的体験学習「暮らしと仕事」で毎年行う継続プロジェクトとして取り組んだ。

3年生:一学期には牧畜生活の学びとして羊の毛刈りを見学。実際に刈り取られた毛を持ち帰り、洗浄・脱脂し、すいてフェルトを作り、ひざ掛けやコースターなど実生活に使用できる道具をつくった。
二学期には地域の里山から竹を切り出し、竹材で家を作った。その過程では環境に適した多様なスタイルの家や、度量衡のような計測方法、縄の結び方などについても学んだ。
また、通年の農耕の学びとして、里山に借りている水田で稲作(田植え、草取り、開花の観察、稲刈り、脱穀、古民家の釜屋での炊飯体験)、別地域に借りている畑で芋類の植え付けと収穫を体験した。収穫した米や芋は自分たちで食すとともに、他のクラスへのお裾分けとして、公平に分配する方法を話し合い、重さを計量する学びにつながった。

4年生:人々の暮らしに必要な道具類に目を向け、その道のプロフェッショナルから学んだ。2020年度には陶芸家から職人の仕事について話を聞き、茶碗づくりを体験した。

活動の詳細については、以下リンクよりご確認いただけます。
(リンク先は別のウェブサイトとなります。)
*横浜シュタイナー学園SDGsアシストプロジェクト報告書(第8期、第11期)
 https://www.unesco-school.mext.go.jp/schools/list/yokohama-steiner-school/#assistprojects

  • 家づくりの様子。 近隣の里山の竹林で、市民の森愛護会の方の指導のもと竹を切り出した。

  • 完成した二階建ての家

  • 羊の毛刈りの見学。 羊毛は持ち帰り、フェルトにしてひざ掛けやコースターを作った。

  • 米づくり授業の脱穀体験。 千歯扱きと唐箕を体験した。別日に羽釜での炊飯、縄ないなども行った。

  • 茶碗づくり① 本職の陶芸家の指導の下、実際に使える茶碗を作った。

  • 茶碗づくり②

  • 児童の家づくりのノート

  • 児童の牧場体験のノート

助成金の使途

助成額 10万円
(下記費用を、助成金から充当)

内訳使途金額
諸謝金 陶芸体験 64,000円
体験費 牧場体験料など 9,600円
消耗品費 工具、シート類 25,204円

児童・生徒の変容

子どもたちはこの地域の恵まれた里山(*)の環境を存分に味わい、手足を動かし、知恵を使って、大地から糧を収穫し、羊毛をすいて毛糸をつくり、切り出した竹を測り、切り、組み合わせて家を建てた。そして、そのプロセスに、詩を唱え、家の安全と平和を祈念し、自然からの糧に感謝する祈りの行為を織り込むことで、子どもたちはむき出しの自然に畏怖を抱きながら、同時にそのなかに自分たちを庇護し恵みをもたらす崇高な存在を感じ取っていた古の人々の心情を追体験できた。
また、家づくりや農耕の学びを通じて量の概念を実体験として学び、それらの知識と自分たちの行為を結びつけることで家や道具などが生まれることを見いだすことができた。陶芸体験も同様で、目的と意匠と素材の特質を統合することで、美しさと実用性を兼ね備えた器が生まれることを実感することができた。
人の精神と労働が自然に働きかけることで豊かな生活が生み出されること、そしてそれが自然への感謝と畏怖に基づいた行為であるという原イメージが、子どもたちのなかに培われている。

(*)学園の近隣にある横浜北部最大の里山「にいはる市民の森」

先生の声

・多くの体験学習には保護者が立ち会い、子どもたちの学びとその意味を肌感覚で知っていただけました。

・私たちは心情を通じた学びがこの年代の子どもたちの体験をより深いものにしていくと考え、この年代の教育の核に置いています。作業を素直に楽しむ子どもたちの姿や、完成した家のなかで居心地よさそうにしている姿、できあがった陶器を慈しむ様子は、そのような「心情の学び」によるところが大きいと実感しています。

生徒の声

・子どもの国で、乳しぼりをしました。指を順番に動かして、ぎゅーっと絞りました。柔らかくて、温かかったです。

・神だなをつけて、神様にかんしゃしました。1Fはきぼうの家で、2Fは光と風の家と名づけました!!みんなの「きぼう」がかないますように!!

学習成果発表の様子

保護者会でクラスの保護者に詳細な報告を行い、全学年の保護者が多数参加する運営会議の教育活動報告で概要を報告した。
学外に向けては、学園ニュースレターに文章による報告を掲載。また、学園の紀要『野ばら』や『サステイナブルスクール報告書』で、教育の意図の解説として報告したクラスもある。

サステイナブルスクール報告書における家づくりの授業の紹介ページ

教材ダウンロード

資料なし